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「群青学舎」を読んだ感想・レビュー

群青学舎
Ⓒ群青学舎

好きな漫画作品が2つや3つある漫画家さんがいたら、短編集を出していないかを探してしまうくらいに短編集が好きです。でもあれこれ詰め込まれているものよりもバトルならバトル、ギャグならギャグという色は統一されてる方が好きでした。

それが本作を読んだ瞬間に「あれこれ詰め込まれてるのも悪くない!」っていう考えに変わったんですよね。本作は色んな物語を楽しみたいという欲張りさんにはめちゃくちゃおすすめしたい一作です。

というわけで今回は、世代も文化も何もかもが違う世界観から構成される掌編連作集「群青学舎(全4巻完結済み)」を紹介します。

群青学舎のあらすじ

世界や時代、思想、階級、文化を越えて、成長期の人々を描き連ねる瑞々しき掌篇連作集。

群青学舎の見所をチェック!!

考察ありきの不思議な世界観

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本作はオムニバス形式の掌篇連作集になっているので、実に色んな作品が収録されています。だからジャンル一つを取っても「これと言った型にはめるのが難しい作品」と言っていいでしょう。

個人的に印象深く残っているのは、考察ありきの不思議な世界観を持ったエピソードです。例えば上記画像の場合を例に出すと、クラスメートに狐のような尻尾が生えているのが分かるかと思います。

ここだけ見たら「クラスメイトだと思っていた彼は、実は狐が化けていた」みたいな話になるじゃないですか?でも実際に読んでみると、そんな単純な話でも無さそうなんです。かと言ってじゃあどんなストーリーかって聞かれても、簡単には説明できないような複雑さがあるエピソードなんですよね。

他にもセリフがほとんど出てこないエピソードなんかもあったりして、自分なりに「こうじゃないか?」っていうのを考えてみるのが楽しい作品となっています。

実際にありそうな恋愛物語

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まぁ考察ありきの作品って言えば神秘的な魅力を感じるかもしれませんが、悪く言えば「意味が分からない」という受けとらえ方をされかねません。ぶっちゃけ漫画って具体的過ぎても面白みに欠けるし、抽象的過ぎても伝わらないと思うんです。

というわけで本作には、実際にその辺で起きてそうな恋愛物語のようなエピソードも収録されています。こういうリアリティを感じる物語の中には言い回しが面白い掛け合いがあったり、複雑な心理描写に見応えがたっぷり用意されているんですよね。

現実味のあるエピソードは短編だからアレだけど、映画やドラマのワンシーンとしても成立しそうなクオリティで進行しているので、メルヘンやファンタジーだけじゃ物足りないという読者でも満足できるはずです。

「惚れ薬」などのファンタジー的な要素

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本作はマジで色んなジャンルが入っている闇鍋的な作品なんだけど、中にはドラえもんやキテレツのような世界観の物語もあったりします。例えば恋愛関係には程遠い二人が、実験的に惚れ薬を飲むっていうような展開です。

ぶっちゃけこういう展開って手垢が付くほど荒らされてきてるんで、ある程度の予測って出来るじゃないですか?でも本作に描かれているそれは、一般的なそれとは少し違うんです。

最後にどんでん返しが待っているっていう感じでもないし、かと言ってありきたりな展開っていうわけでもなく、とにかく結末が一辺倒じゃなくて多彩だという印象を受けました。色んなエピソードが収録されていて、色んな見せ方をしてくれていてパターン化されていないので、全く飽きが来ないと言っても過言ではありません。

ぶっちゃけ惚れ薬のエピソードなんて、女性の方は絵を見て女性だって思えなかったのもあって、まさかこんなにドキドキさせられるとは夢にも思わなかったし。とにかく期待を超えてくるエピソードが多い掌篇連作集です。

群青学舎 全4巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

絵が一緒だからアレだけど、内容だけで言ったら「本当に同じ作者の人が考えたの?」っていうくらい多彩なエピソードが詰まっている全4巻でした。登場人物も時代背景も設定も何もかもが違うので、本当の意味での掌篇連作集・オムニバスと言っていいと思います。

ただしテーマが本当に決まっていないので、漠然と「面白い漫画が読みたい」みたいな感じならいいけど、具体的なジャンルで読みたい作品がある場合はおすすめしにくいかもしれません。確かに恋愛要素やファンタジー要素が強めな感はあるものの、「恋愛漫画はいいかな…」みたいな感じになるとちょっと楽しむのが難しそうな気がします。

色んなエピソードをたくさん読みたいという人には文句なしにおすすめです。割と優しい世界観を持っているファンタジー的な作品が多いので、そういう物語をたくさん堪能したいという人はぜひ読んでみてください。

あとがき

まだまだ読んでいられたのに全4巻で完結です。