特殊能力系の漫画を読むと必ずと言っていいほど「自分ならこの能力が欲しい!」とか「こういう能力あったら面白くない?」と言いながら内輪で大盛り上がりしています。それこそハンターハンターの念能力もそうだし、ジョジョのスタンド能力なんかもそうでした。
まぁこれらは物語の主軸となっている重要な要素なので、内輪でやいのやいの言っているこっちもそれなりに真剣に考えているわけですけど、じゃあそれらの能力が大したものじゃなかったとしたら…?
というわけで今回は、ちょっと不思議な職場コメディ「しょうもないのうりょく(全3巻完結済み)」を紹介します。
しょうもないのうりょくのあらすじ
見るだけで服のサイズが分かる異能、果物の旬が分かる異能、蚊を一撃で倒せる異能など、この世界では誰もが取るに足らない「異能」を持っている。主人公OL・星野は、書類を崩さずに詰める異能と、あともう一つ、人には言えない異能を持っていた。それは他人の異能が分かる異能。そしてしょっちゅう風邪を引いている同僚の藤原に、超レアな不老不死の異能があると分かり!?ちょっぴり変わったオフィスを舞台に繰り広げられるSF(すこし不思議な)異能力オフィスコメディ!
しょうもないのうりょくの見所をチェック!!
特技の延長のような「異能力」が認められる世界が舞台
異能って聞くと凄まじい能力のように感じてしまうかも分かりませんが、本作で語られているのはタイトルにもあるように「しょうもない能力」です。ぶっちゃけ特技の延長って言っても差し支えないようなやつがほとんど。
スマホの防護フィルムを上手に貼れるとか、どんなに雑に卵を割っても殻が入らないとか…。中には「時間指定の配達物がいつ届くかを秒単位で察知できる」とかエスパーっぽいのもありつつ、まぁあればあったで便利ではあるんだけど別にいらないっちゃいらないって感じの能力です。ただ、当たりはずれはやや激しいイメージを感じました。
で、これらは血液型のような感じで検査を受けると判明するという仕組みになっています。だから調べてない人は自分の能力に気付いてないって人もいるし、そこまで重要なものでもないっていうね。この緩い世界観が非常に面白いコメディーです。
主人公の能力は「他人の異能がわかる」異能
個人的にはジョジョの4部で主人公が「壊れたものを直す能力」だった時にめちゃくちゃテンションが上がったのを覚えてるんだけど、やっぱ主人公の能力って重要じゃないですか?本作においては「他人の異能がわかる」という能力になっています。
異能は自己申告みたいな部分があって、ぶっちゃけ嘘をつこうと思ったらいくらでも嘘がつけるんですよね。履歴書に書くときくらいしか直視しないことも多いだろうし、何なら検査にはお金がかかるからと言って調べていない人もいるくらいなんで。
そういう人の能力がわかるっていうのは、使い道が多いようで実はそんなに無いっていう…。これが分かったところでどういう物語になるのかっていうのが非常に面白くもあり、この能力じゃなきゃこうはならなかっただろうなぁっていう展開も面白い作品と言っていいでしょう。
不老不死な同僚とのラブコメ展開
しょうもないのうりょくとは言いながらも、中にはしょうもなくない能力もあります。なんせ同僚の一人が持つ異能は「不老不死」ですから。
不死身ならまぁいいとして不老不死ってなっちゃうと「この年齢になるまではどうだったの?」とか「年を取らないんだから嫌でも気付くんじゃないの?」みたいな疑問も残るし、それこそ能力によっては矛盾が生じるケースもあったりして、この辺の世界観は割とガバガバです。だがそれがいい!
他人の異能がわかる能力を持っていると、友達や恋人を選ぶ基準にもなりそうなわけで、それこそ「他人のウソを見抜く能力」みたいなのを持っている人とは付き合いたくないなぁとかあるじゃないですか?そんな中、不老不死な彼ってどうなの?
しょうもないのうりょく 全3巻を読んだ感想・レビュー
終始ほのぼのしている感じのオフィス・ラブコメでした。年収やら学歴やらでマウントするんじゃなく、生まれ持った異能がある程度の力を持っているという世界観が面白かったです。
異能もほとんどが「羨ましいような羨ましくないような…」っていう微妙なラインなのが良いですね。親ガチャやら国ガチャみたいな話を聞くと、隣の芝生が青く見えてしょうがないってのもありそうだけど、本作の異能に関してはそこまでの嫉妬はあんまり生まれませんし。
オフィスを舞台にした漫画なのに、愚痴っぽさや殺伐とした感じが皆無なのもGOOD。異能というSF要素がありながらも、あるあるに溢れた日常コメディーなので多くの読者がほっこり楽しめる作品と言っていいでしょう。OLの日常物語みたいな作風が好きな人におすすめです。
あとがき
絶対に相手を納得させる能力 vs 相手の思い通りにはならない能力。