将棋の対局を見ていると「歩でたたく」みたいな言葉が出てくることがあります。本作はそんな感じの表現を使った、将棋インスパイア系のラブコメです。
普通のラブコメ要素はそのままに、セリフ選びなどが将棋のルールや専門用語に寄せたものになっていて、将棋が好きな人に刺さりやすいような空気感を巧く作っている作品と言えるでしょう。
というわけで今回は、将棋好きに超おすすめのラブコメ「それでも歩は寄せてくる(連載中)」を紹介します。
それでも歩は寄せてくる あらすじ
「からかい上手の高木さん」山本崇一朗が描く超尊い将棋ラブコメ!この恋、詰むや詰まざるや…?将棋の初心者・田中歩は部長の八乙女うるしに勝って告白したい。棋力は程遠いけれども、ぐいぐい攻めてくる歩の姿勢に別の意味でセンパイは“詰む”かもしれない…というお話。
それでも歩は寄せてくるの見所をチェック!!
将棋部(愛好会?)を舞台に展開されるラブコメ
本作は高校1年生の歩くんと高校2年生のうるしちゃんによるラブコメで、舞台は高校の将棋部となっています(とは言っても部員が2人なので部として認められてない)。歩くんはうるしちゃん目当てで将棋部に入部したのか、最初はろくにルールも分からず、対局ではうるしちゃんにいつも負けっぱなし。
しかし対局では守りに入りがちな歩くんも、恋愛ベースの会話では常に先手を取り続けます。ひたすら攻めの一手を繰り出し、防戦一方のうるしちゃんという構図がなんと言っても面白い!本来なら「惚れた弱み」みたいに言われるはずなのに、なぜか先に惚れた歩くんの方が上の立場っぽいのがね。
部長として将棋部を盛り立てたいという思いで部員を増やそうとするうるしちゃん、少しでも長く2人きりでいたい歩くん…みたいな攻防が見応えたっぷりです。
Sっ気や言葉攻めのような技を繰り出す歩くん
基本的に歩くんは、自信がうるしちゃん抱いている恋愛感情を隠していません。ストレートに「先輩かわいいですね」とか言うし、言動だけ見てたら大都会にいるチャラ男のそれに匹敵するほど。
その様子からうるしちゃんも「こいつ、絶対に私のこと好きだ!」ということに気が付いていて、なんならうるしちゃん自身も歩くんをアリだと思ってます。しかし歩くんはド直球なアプローチをしてくるものの、最後までは踏み込んでこないという…。
まさに「歩を使って追い詰めてはくるものの、歩で詰ますことはない」みたいな、将棋さながらの恋愛模様が楽しめるんです。うるしちゃんが王手の連続にたじたじしてしまう様子が可愛くて、対局とは真逆の力関係になっている様子がクセになります。
合駒も利かない怒涛の攻め
ここまでに「歩くんの愛情表現がストレートですごい」みたいなことを散々紹介してきましたが、名前は歩だけど攻めの火力は龍そのもので、うるしちゃんの矢倉を軽々と突破します。
もし本作がドラマ化されるとして、歩くんを演じることになった俳優さんが照れなしにこのセリフを言うっていうのは、それこそアカデミー賞ものなんじゃないかと思うレベルのやつです。歯が浮くようなセリフっていうのは、まさにこのことだと言えるでしょう。
それに対するうるしちゃんのリアクションもいちいち可愛いので、誰も不幸になんかならないし、読んでいて幸せのお裾分けがもらえるほどの惚気と言っても過言ではありません。他人の惚気に対して「ごちそうさま」って言う意味が分かりました。
それでも歩は寄せてくる コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
将棋インスパイア系のラブコメとは言っても、将棋が分からなくても全然楽しめる作品です。所々にちょっとした専門用語が出てくるけど、その後の会話の雰囲気とかで意味が分かると思うし…。ただし将棋を知っていると、より深堀して楽しめるんじゃないかと思います。
例えば将棋って相手の王を取れば勝ちっていうルールなんですが、歩を打ってとどめを刺しちゃいけないってルールがあるんです。歩くんがうるしちゃんにやっているのはまさにそれで、これは将棋のルールを知っているからこそ理解できる背景となってます。
最終的に詰ますのか、それとも「2人の日常はこれからも続いていく」みたいに余韻を持たせて終わるのかは分かりませんが、読んでいて幸せな気持ちになれるラブコメ漫画なので、最後までこの2人の恋の結末を見守っていこうと思っている次第です。
あとがき
うるしちゃんにしてみれば二歩ばりの反則手。
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