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「シガレット&チェリー」を読んだ感想・レビュー

 

あんまり恋愛漫画は読まない方だけど、今作のそれは恋愛漫画というよりは心理戦に近いのかな…。「大学デビューを目論む童貞男子を手玉に取る先輩クール&ビューティー」という縮図は、これまでに無かった関係性じゃないかと。

男なら誰しもがちょっと背伸びしたくなった頃があったんじゃないかと思うし、そういう部分を影で笑ったりするでもなく、真正面から受け止めてくれる女性って素敵だなぁって思いました。最近はマイナスイメージしか無いタバコも、なんだかミステリアスな雰囲気として際立っているようなそうでもないような…。

というわけで今回は、童貞男子とタバコを吸うクール&ビューティーの恋愛を描いた「シガレット&チェリー(全11巻完結済み)」を紹介します。

 

 

シガレット&チェリー あらすじ

大学デビューで彼女作りを心に誓う後輩童貞くんの前に現れたのはタバコが似合うクールな美人先輩だった! 童貞丸出しの後輩くんから様々なアプローチを受けるも、先輩は鮮やかにそして、クールにあしらい続ける…! 美人先輩×童貞後輩の不器用すれ違いキャンパスラブコメディ!

 

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タバコを吸う年上女性の妖艶な雰囲気

 

今じゃ過度とも言えるほどの嫌煙ブームとなり、タバコを吸う行為は百害あって一利なしというのが常識です。カッコ付けるために吸い始める人が多かったタバコが、今や吸っている方がカッコ悪いっていうね。

最近の十代や若い人たちはそれが常識なんだろうけど、僕くらいの年代ならカッコ付けてタバコを吸い始めるってことがよくあったし、喫煙所で綺麗な女性がタバコを吸っている姿にドキドキしたことが何度かあります。

ここで冷静に「髪とか服がヤニ臭くなるし歯も黄ばむしで良い事ないよ」って冷静になる人に、本作の魅力が伝わるかどうかは謎。でも「綺麗な女性って1mmのロング吸ってない?」とか、そんな感じの話で盛り上がれるという人なら本作の恋愛観は確実にヒットすると思います。

タバコを吸うことは決して褒められたことではないんだけど、それを吸う女性の妖艶な雰囲気っていうのかな…。そういうのが少しでも分かるという人なら絶対に刺さるので読んでみて欲しいです。

 

童貞&大学デビューを目論む主人公の黒歴史

 

本作のテーマは「彼女無しで大学デビューを目論む主人公がタバコを吸う年上女性に恋をした」というもの。童貞というか精神年齢が浅い時の男にありがちな「間違った背伸びの仕方のオンパレード」なので、男性読者の中には読んでてちょっと恥ずかしくなるくらいの人もいるんじゃないかと。

普通、男性向けの恋愛漫画となると「距離が近付く2人を描きつつ、適度に下心が見えるようなエロいシーンを入れておく」みたいな作品が多いような気がしませんか?でも本作はこれまでのそれとは大きく異なる作品です。ぶっちゃけ全ての面で上を行く経験豊富な年上女性をテーマにしている作品が、まさかここまで面白いとは…という感じ。

簡単に言うと男なんて結局は単純な人が多いと思うし「好きな子に意地悪をしてしまう」というやつの2歩くらい先で止まっているような恋愛観が本作で描かれているものだと思います。

やることなすことが全て裏目に出たり、ちょっとわざとらしい演出をしたりしてしまう黒歴史みたいなものに共感できるという人には文句なしにおすすめです。

 

恋愛の格言が刺さる

 

単なる「こじらせ童貞と年上女性の恋愛」で、童貞男子が右往左往する黒歴史を眺めるだけの漫画ならそこまで珍しくもないです。本作がそれらと一線を画しているのは、タバコを吸う女性という要素以外にも「恋愛の格言に重みがある」という部分が無視できません。

実際に人気のある恋愛漫画っていうのは「いかに読者からの共感を得るか」というのが1つのテーマじゃないかと思うんだけど、本作の恋愛は「主人公の失敗には共感できても、こういう女性は滅多にいない」という意味で共感できる要素としてはやや薄目です。

それでも年上女性が言うセリフの1つ1つが芯に響く重みを持っていて「こんな女性がいたらいいなぁ」という願望に変わっているような気がします。共感としての魅力じゃなく、理想とか憧れの類。

僕なんかも学生時代は大して経験もないくせにマニュアル本なんかを読んで恋愛した気になったりしたもんだけど、そういう人にとっては時に痛く、時に甘いセリフが多いのも見所です。

 

シガレット&チェリー コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

ぶっちゃけめちゃくちゃ面白い。普段は恋愛漫画を敬遠しがちだっていう男性読者にも読んで欲しいと思えるほど、色んな魅力の詰まった恋愛漫画です。

女性向けの恋愛漫画だと美男美女(設定としては女性側は冴えない設定)であることが多く、一方で男性向けの恋愛漫画だと男性側がオタクとか冴えない男子という設定が多いような気がするんだけど、本作はそのどちらにも当てはまりません。

登場するヒロインもキュート系でもなければ、学校一の美女という立ち位置でもない、どこにでもいそうなお姉さん的ポジションのクール&ビューティーという感じ。まぁ実際にいそうで、実はいないって感じの存在なんだけど。

そんな女性相手に手玉に取られている童貞男子の戸惑いとか葛藤とか、まさに若い頃の自分とダブる部分があるようで、ちょっと切なく感じたり、恥ずかしく感じたりしてしまうところが本作の超おすすめしたいポイントの1つです。

現にクール&ビューティー系の年上女性に恋愛しているっていう男性読者にもおすすめだし、過去にそういう経験がある人には鉄板。あるいは「あまりない感じの恋愛漫画」を求めている人にもいいと思う。実際に「好きです!」とか「付き合ってください!」みたいなプロセスを踏んでいない無形の恋愛であるがゆえに、今後の2人の関係が大いに気になります。

 

あとがき

喫煙者減ってるっていうけど、コンビニ横でタバコを吸っているのは女性が多い気がする。

 

 

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