あんまり酷いのはアレだけど、ちょっとしたバトル漫画にしても「主人公が戦わなければならない理由」みたいなものがあった方が面白いし、王道よりもダークっぽさがあった方が取っ付きやすかったりします。
そういう意味では本作はかなり面白い掴みの作品です。いわゆる胸糞悪い系の流れを汲んではいるんですが、いじめのシーンが割とあっさり描かれていて、そこまで腹が立つ前に復讐が始まるっていうね。いじめられっ子が強くなって復讐をしていくっていう展開が好きな読者には、マジでたまらない少年漫画と言っていいでしょう。
というわけで今回は、十字架を背負った六人のバトルロワイアル「十字架のろくにん(連載中)」を紹介します。
十字架のろくにんのあらすじ
“実験体A”と名付けられ、同級生5人から嬲られる日々。小学6年生の漆間俊は、壮絶ないじめに苦しむ「地獄」の中にいた。だが、そこには兄想いの弟と、子を守る父母という「救い」があった。あの日、5人の化け物たちが、鬼畜の所業で家族を奪い去るまでは……。やがて、全てを失い、真の地獄を見た俊の中に暗い「願い」が宿った。戦時中、秘密部隊に所属した祖父の指導の下、生まれ変わる少年。そして4年が経った時、彼は因縁の敵の前に姿を現す……。この復讐は誰にも渡さない。
十字架のろくにんの見所をチェック!!
壮絶ないじめに対する復讐劇
本作はいじめられている小学生の主人公が、修行を積んでいじめっ子に復讐するという物語です。ちょっとバトルファンタジー的な要素はあるんですが、あくまでリアル寄りで火の玉なんかは出しません。
で、小学生のいじめにしちゃあ内容がベビーです。これをいじめと呼んでいいのかどうかも微妙なくらい(ぶっちゃけ逮捕案件)。でも展開が早すぎて、主人公に対して可哀想だって感じる間もなく、主人公は急成長します。
やられっぱなしだった主人公が肉体的にも精神的にも強くなり、善のヒーローとは言い難い存在になってからの復讐は、スカッとする展開が続くことでしょう。因果応報系の物語が好きならたまらないんじゃないかと。
いじめの内容はかなりヘビーだけど、かなりあっさり進む
個人的にはいじめの復讐劇っていう展開は結構好きなんだけど、どうしても復讐するまでのやられてる期間の描写が苦手で、目を覆ってしまうことも少なくありません。そんな僕ですら「もうちょっと煽った方が良いのでは?」と感じるくらい、いじめのシーンについてはマイルドでした。
とは言っても、やってることは鬼畜だし、いじめで済ませちゃいけないやつです。これはもう犯罪。でも見せ方の問題なのか、あまり復讐の炎が燃えている感がないんですよね。これは良くも悪くもマイルドです。
個人的には今後の復讐において、主人公の方が酷いことをしているように感じてしまう展開が嫌なので、もっと徹底的にやられといて欲しかった部分はありました。よく言えば「胸糞系が苦手だけど復讐劇には興味がある」という人に受け入れられやすい展開なのかなぁと思います。
おじいちゃんによる英才教育
いじめられていた主人公は、危険人物と言われていたおじいちゃんの下で英才教育を受け、いじめっ子たちに復讐を遂げるために心身を鍛えていきます。おそらく死ぬほどきつい修業があったんだろうけど、ここも「昨日作って冷蔵庫に入れていた物を出します」みたいな感じで、かなりあっさり成長した主人公が出てくるっていうね。
おじいちゃんがどう危険人物なのか、どのような鍛錬を積んだのかみたいな部分が明かされるのかどうかは不明です。でもいじめられていた頃の主人公とは雰囲気がまるで違うし、下手すりゃ体が傷だらけになるほど特訓してた的な展開もあるんじゃないかと思います。
というか、ここで興味深いのはいじめに負けないくらい強くなるとかじゃなくて、いじめっ子たちに地獄を味わわせるという目的をもって修行しているという点です。この時点で普通のおじいちゃんではないし、復讐というダークなテーマにばっちりハマっている展開と言っていいでしょう。
十字架のろくにん コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
見所の項目でも書いたけど、もうちょっといじめ期間の煽りがあっても良いような気がしないでもないです。例えば「いじめの延長で家に火をつけられた」みたいな展開があったとして、これ自体はとんでもない犯罪行為じゃないですか?
でも描き方があっさりしていると「いじめっ子が家に火をつける→家族が焼死してしまう」みたいに淡々となってしまって、起こっている悲劇とは裏腹に怒りのモチベーションが湧いてこないんですよね。これを見ると、ドラマとかで執拗に胸糞悪いシーンが続く理由が分かります。
根底に「改心していたら許す」みたいな特殊ルールもあって、いじめっ子たちの中には改心している人物が出てくるかもしれません。その辺も含めて、今後の復讐がどう展開していくのかが楽しみです。
あ、ちなみにリアリティはほとんどありません。バトル的なシーンもそこまですごいやつではないけど、リアリティがあるような感じではないです。
あとがき
六人じゃない理由とかあるのかな。