こんなにキュンキュンしない恋愛漫画ってのも珍しいし、こんなに羨ましくない許嫁設定があることに驚きました。でもこれはネガティブなものではなくて褒め言葉であって、ドスの効いた設定にわくわくしてます。
恋愛漫画なのに応援したくなる感が一切ないけど、応援なんかしなくたって彼女ならやるし、たぶん期待以上のものを見せてくれるでしょう。というわけで今回は、ヤクザの娘と息子の恋模様「来世は他人がいい(連載中)」を紹介します。
来世は他人がいい あらすじ
極道の家で生まれ育った女子高生、染井吉乃。家庭環境は特殊でも、おとなしく平穏に日々を過ごしてきた。婚約者の深山霧島（みやま・きりしま）と出会うまでは――！デビュー作『春の呪い』で「このマンガがすごい！2017」（オンナ編）2位にランクインした小西明日翔の最新作。はみ出し者たちが織りなす、スリルと笑いが融合した極道エンタメがここに誕生!!
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話の成り行きで婚約の手前まで行った男が最低野郎
本作の流れを簡単に説明すると、関東と関西の巨大ヤクザ組織の組長同士が息子と娘(主人公)の縁談に乗り気になったまでは良かったけど、その息子が最低野郎だったという話です。しかもこれについては、最初は絵に描いたような好青年だと思っただけに、本質に気付いた時の落差が凄かったので余計にね。
そして最低野郎とは言っても一般的に想像されるようなそれとは大きく異なり、「ヤクザの娘なのに普通っぽい女だったからガッカリした」という感じ。自分が相手に興味がなくなったから、もう嫌われてもいいやっていうことで、あえて最低に振る舞っている感があります。
ちなみに彼の理想は「女友達なんか一人もいないような女に、人権無視でメチャクチャに振り回されたい」というもの。なかなか特殊な性癖をお持ちのようで、期待のハードルがグッと上がります。
屈辱を受けて下を向いちゃあ極道は務まらない
恋愛面も私生活も上手くいかず、ホームシックになりかけた主人公。相手の男には「帰りたきゃ俺を悪者にして帰れ」みたいに言われ、実の父には「1年は帰ってくんな」と言われます。もし自分だったらって考えると、逃げ道がなくなって相当しんどいなぁと思いました。
まるで地元から離れて就職した会社で上手くいかず、会社の上司には「お前使えねーから会社やめろ」みたいに言われ、実家に電話したら「あんたが頑張るって言って入った会社なんだから、最低でも1年は死ぬ気で頑張ってこい！」って言われたみたいな感じ。
普通の家庭なら「辛くなったらいつでも帰っておいで」って言ってくれる家庭も少なくないんだろうけど、さすが極道「1年かけて死ぬほど惚れさせてから捨ててやれ」だそうです。これを一人娘に軽々と言い放ってしまうあたり、普通の恋愛漫画にはならない気しかしないし、ワクワクが止まりません。
迫力のある啖呵と達者な返し
極道の世界は腕っぷしの強さも求められるのかもしれないけど、女性の場合は姉さんとして腕っぷしよりも口が達者であるとか、包容力があるみたいなことを求められると思うんです。
婚約者に「お前の取り柄は顔と体なんだから、それ売って稼いで来い」と言われ、普通に顔と体で稼ぐといえば真っ先に飲み屋とか風俗を連想するじゃないですか？でもそれに素直に従うようじゃ、意地もないし面白くない。
ということで、内臓を売るっていうね。この返しはとんちが利いているというか、普通の女だったら絶対にやらない返しです。そして標準語に徹していたのもやめて関西弁で喋るようになってるもんだから、セリフに覇気すら感じるレベル。
これこそ彼が理想だと言っていた「女友達なんか一人もいないような女に、人権無視でメチャクチャに振り回されたい」を可能にする女性だと思うんだけど、果たして2人の恋の行方は…？
来世は他人がいい コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
普通じゃない恋愛物語で、自分が何度人生をやり直しても経験できないであろうストーリーに心が躍ります。許嫁みたいな展開って、らんま1/2とかを見ていると羨ましいと思った時もあったけど、これは全然羨ましくないやつです。
ヤクザならではのウィットに富んだ返しに魅了されてしまったので、今後もそんな感じのセリフ・シーンが出てくることをめちゃくちゃ期待してしまうんですよね。そして肝心の恋の行方もすっげー気になります。
惚れさすとこまで行って結ばれるってパターンもあるし、惚れさして1年後に捨てるってパターンも十二分にあると思うし、下手すりゃ相手の男がヤクザ同士の抗争で死ぬまであるかも。とにかく1巻時点ですでにめちゃくちゃ面白いです。全然キュンキュンしないけど、それでもいいって人におすすめ。
あとがき
腎臓って片方400万で売れるの？
