簡単に言うと「能面を付けた女子高生が主人公のギャグ漫画」です。ジャンルとしてはギャグ漫画になるんだろうけど、面白いセリフが出てくるとか、周りのキャラが主人公にビシバシ突っ込んでいくという感じじゃなくて、とにかくシュール。
個人的には「一部の人にしか理解されないようなマニアックな笑い」ならいいんだけど、「つまらないもの=シュールと逃げる文化」があまり好きじゃなくて…。そういう意味では、本作はシュールと言っていいのではないかと。
というわけで今回は、千鳥のノブさんなら思わず「クセが強い!」と突っ込んでしまいそうなシュールなギャグ漫画「能面女子の花子さん(連載中)」を紹介します。
能面女子の花子さん あらすじ
家庭の事情で能面をつけて生活する女子高生・花子さん。見かけはホラー、中身はキュートな花子さんのスクールライフは、恋あり、友情あり、能面あり!! まわりの視線もなんのその! 能面女子の青春コメディ!!
能面女子の花子さんの見所をチェック!!
花子さんの謎、明らかにならない素性
人間っつーのは隠されているものに興味を示しがちです。もし能面女子の花子さんみたいな人が身近にいたら、間違いなく「能面の中身」が気になったんじゃないかと思います。
もちろんここには一定の興味はあるんだけど、見たいようで見たくない感覚って言うのかな…。たぶん本作が終わる頃にも明かされることは無いだろうし、むしろ開けちゃいけないパンドラの箱みたいな扱いがベストな気がするんですよね。
個人的には「女子に対する採点が厳しくて、芸能人の綺麗どころに対しても普通にブスって言葉を使う友人の奥さんに初めて会う時の感覚」みたいな感じ。見たいような見たくないような。
本作では花子さんが能面を付けていることによって花子さんの心情が分かりにくく、笑ってるのか泣いてるのかさえ区別が付きません。謎が謎を呼ぶ感じ、ますます本作のシュールさに磨きをかけている要素と言っていいでしょう。
ひたすらシュールで特別なことはしない(なのに面白い)
本作は女子高生が能面を付けてるってだけで、あとはその日常を描いているだけの作品です(「だけ」って言ったらアレだけど)。花子さんにボケる意図はなさそうだし、周りが花子さんの行動にツッコミを入れるということも基本的には無く、ただただ花子さんは普通に生活しているだけっていう…。
でも何かしらの行動を起こした際の花子さんの表情をうかがい知ることができないために、あれこれ読者が想像せざるを得ないという部分に不思議な感覚が残ります。上記コマみたいに包丁をただ見てるだけでも怖いし、やっぱり不思議。
これまでの代表的なシュールなギャグ漫画と言えば、言葉で笑わすというよりも「意味不明な行動や表情でクスッとさせる」っていうスタンスの作品が多かったように思います。なのに本作は意味不明な行動もしていないし、表情もわからない(まぁお面付けて生活してるってのが既に意味不明って説はあるけど)。
この不思議な感覚がシュールな感じに繋がっているのも面白いし、能面付けてるだけでこんなに変わるのかぁってのは新発見でした。笑えるって感じでもないし、ニヤけるって感じでもないんだけど…なんか不思議な面白さがあります。
能面女子の花子さん コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
僕の中でシュールなギャグ漫画と言えばジャガーなんだけど、ぶっちゃけジャガーみたいにクスッと出来るかって聞かれたら出来ないと思う。少なくとも「表情が崩れてしまうくらい笑える」って感じのギャグ漫画ではないです。本作は多分「読み手が色んな情報を保管して、笑いどころを見つけていくタイプのギャグ漫画」じゃないかと思いました。
例えば高校生活において「勉学に必要のないものを没収する」っていうのは、学校あるあるの代表的なやつだと思うんだけど、ここで能面をスルーされる不思議さとか。あとはクラスのみんなが自分の噂話をしていたのを聞いてしまった時の心情で、褒められたら嬉しいだろうし、けなされたら悔しいというのは想像できるとして、どっち付かずの陰口を聞いてしまった時とかね。
やっぱ表情が分からないと何を考えてるのかが分からなくて、不思議な感覚になります。ただでさえ学校に能面付けてくるような人物ですから、普通の人とは思考回路も違うだろうし…。
「能面外したら美人」っつーのは褒め言葉なの?「すっぴんが綺麗」っつーのは、人によっては褒め言葉のようにも思えるけど、逆に言えば「化粧が下手」みたいにならない?「そのバイク、カスタムしない方がいいのに…」みたいにならない?とりあえず不思議な魅力の光る漫画です。シュールな笑い、不思議な癒しを求めている人におすすめします。
あとがき
僕の時代だと花子さんって言われるとトイレを連想したけど、最近の若者は能面を連想する日も遠くないと思う。
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