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「走馬灯株式会社」を読んだ感想・レビュー

走馬灯株式会社表紙
Ⓒ走馬灯株式会社

今のところまだ終わる予定はないけど、後悔ばかりの人生を送ってきました。もし明日交通事故に遭って、これまでの人生が走馬灯のように流れるみたいなことがあったら、後悔以外の感情が何もないかもしれません。

…っていうのは言い過ぎだけど、もし事故に遭わずに人生のターニングポイントを振り返ることができるって言われたら、あなたならどうしますか?というわけで今回は、死ななくても自分の人生を振り返ることができる「走馬灯株式会社(全10巻完結済み)」を紹介します。

走馬灯株式会社 あらすじ

走馬灯株式会社。それは、自分の視点で記録された人生を観ることができる、不思議な会社。妻と子を失った男性、集団自殺希望の若者3人組、様々な人々が迷いこみDVDを観始めると、そこには、今まで知らなかった過去の真実、心の奥底にしまいこんだはずの秘密が。全てを観た後、彼らは…?新鋭漫画家が贈る極上ミステリー。

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自分の人生をDVDで振り返ることができる

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Ⓒ走馬灯株式会社

人が死を迎えるとき、これまでの人生が走馬灯のように脳内を駆け巡る…みたいな話を聞いたことがあると思います。走馬灯株式会社では、生きながらにしてそれを体験できるというビジネスモデルを実現しました。

とは言ってもビジネス系の漫画ではなく、あくまで依頼人によるヒューマンドラマのようになっていて、依頼人の目線で依頼人のこれまでの人生を振り返るという感じ。依頼人もエピソード毎に変わるオムニバス形式となっています。

大雑把に言えば良い人生・悪い人生があるんだけど、振り返ることで「悪い人生が自業自得だった」というように気付く展開もあったりして、読了後は何とも言えない気持ちになることも少なくありません。この奇妙な体験こそが本作の魅力と言っていいでしょう。

自分と深く関わった相手の人生も覗ける

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Ⓒ走馬灯株式会社

走馬灯株式会社では自分の人生だけでなく、自分と深く関わった相手の人生も覗くことができます。結婚して子供がいるのであれば、結婚相手や子供の人生も覗くことができるでしょう。

ただし相手の人生を覗くためには名前を知っている必要があり、場合によっては「偽名」という可能性も考えられます。「交際中の異性の人生を覗こうと思ったら、自分と接している場面しかない」みたいなこともあり得るっていう話です。

結婚相手、交際相手の人生を覗くということは、必ずしも良い結末が待っているとは限らず、むしろ自分が知らないところで別の相手と付き合っていたりするかもしれません。こういう「知らなくていいこともある」というようなダークな雰囲気も本作の魅力のひとつとなっています。

飼い猫の目線で気付く別角度の展開

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Ⓒ走馬灯株式会社

ぶっちゃけ本作は「世にも奇妙な物語」なんかでありそうなテーマなので、一般的なエンディングと言えば因果応報というシリアスな展開が待っているケースが多いです。昔、悪いことをしてしまい、それが自分に降りかかって今の自分が不幸になってしまう原因になった…みたいな感じですね。

でも中にはハートフルでもないけど、ちょっとだけ心が温まるような物語もあります。「やたらと口うるさい姑が実は…」とかそういうやつ。ただ罵声を浴びせられるにしても、自分に悪意があるかどうかを知るだけでも印象って変わるじゃないですか?

例を挙げると僕には妹がいて、父親はやたら妹に甘くて僕には無駄に厳しかったような気がします。これを僕は「妹=可愛い、僕=可愛くない」みたいに感じていた幼少期を送ったんだけど、これが期待の表れだったとかなら父親に対する印象も大きく変わるよね。

知らなくていいことも多いけど、知ることで深みが出るっていうパターンもあるのが走馬灯株式会社です。

走馬灯株式会社 全10巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

最初は「自分の人生を振り返る→バッドエンド」の一辺倒だと思ってたんだけど、読み進めていくうちに色んなパターンが展開されていくので、全然飽きが来ない全10巻でした。ただ、DVDで振り返るっていう部分に時代を感じなくもないです(どうせならVHSくらいにしてたら逆に良かったかも)。

何より自分にとって関係が深かった相手の人生を覗いている時に「えっ!?」って思うようなシーンに驚かされる瞬間がたまりません。例えば「いじめられているところを助けてくれた相手こそがいじめの首謀者だった」的なやつ。もちろんこれの逆パターンも考えられます。

知らない方が良かったパターンと知ることでプラスになるパターンの落差が激しく、前者だと何とも言えない気持ちになるのでダークな雰囲気を持つ漫画が好きな人なら文句なしに楽しめるはず。僕にとっては本作を読むことで「自分の人生はどうだったかな?」と振り返るきっかけになりました。過去は変えられないけど、今後の行いにプラスをもたらしてくれるような気がする全10巻です(絶対とは言ってない)。

あとがき

交際相手が偽名使ってたとか知るのって嫌だなぁ。