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「サバイビー」を読んだ感想・レビュー

サバイビー
Ⓒサバイビー

ハチって意外と面白い習性があったりします。なんか人間からすると「オス=凶暴」みたいなイメージがあるけど、ハチとかアリの世界ってまた全然違うんですよね。そして女王以外のメスに繁殖能力がないっていうのも非常に興味深いです。

大人の読者だと昆虫ってだけでちょっと敬遠したくなる人も少なくないでしょうが、本作はミツバチを主人公にしたサバイバル漫画でサクッと読める上にめちゃくちゃ面白いので、ぜひ多くの方に読んでほしい!

というわけで今回は、ミツバチが大活躍するちょっとシリアスなサバイバル漫画「サバイビー(全3巻完結済み)」を紹介します。

サバイビーのあらすじ

ボクはバズー。親や兄弟の顔も知らないミツバチだけど、ほかの昆虫の仲間たちと楽しくすごしていたんだ。ところが、スズメバチの集団に追われている同じミツバチから、『オーダイ』ってものを預けられて…!!

サバイビーの見所をチェック!!

ミツバチが主人公のサバイバル漫画

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本作はミツバチが主人公のサバイバル漫画です。ミツバチは一昔前と比べてめちゃくちゃ貴重になってきているっていう話を聞くじゃないですか?それにミツバチに対してそこまで敵意を持っている人ってそんなにいないと思うんです。

まず働き者だし、働けば働くほど我々人間にとってもメリットがあるっていうのがね。ハチミツもらったり植物の受粉作業だったり…最悪、敵対することになっても毒は弱いし、刺せば死んじゃうっていうのはもはや嫌いになれない理由だらけと言ってもいいのでは?

そんなミツバチがスズメバチを相手に生き抜く様子が描かれています。ミツバチとスズメバチだったら前者に感情移入する人が大半だろうし、多くの読者が「ミツバチ頑張れ!」ってなるだろうから、その辺の登場人物たちとの一体感も含めて楽しめるサバイバル漫画と言っていいでしょう。

スズメバチを相手に生き抜くバトル要素

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ミツバチの天敵って言ったらスズメバチです。数十~数百のミツバチのコロニーに数匹で乗り込んで、跡形もなくなるくらいに破壊するみたいなシーンを何度か見たことがあります。

一応、ミツバチもミツバチで「蜂球」だっけ?スズメバチ一匹に対して大群で突っ込んでいって団子状に囲み、そこで体温を上げることによって相手を蒸し殺す的な技を持ってるんですよね。でも一匹に対して全力で行かなきゃいけないし、何より「切り込み隊長とか先行部隊は嚙み殺されてしまう」っていうリスクありきの戦法っていうのが何とも言えません。

ぶっちゃけバトル要素はあるけど、ミツバチとしての勝ちはあくまで種の生存っていう部分があるので、スズメバチに目を付けられたミツバチが生き抜くことができるのかっていう部分にも注目です。

生き残りを賭けた展開だけに感動の嵐

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厳密に言うと主人公のミツバチに対しても思う部分はあるんです。肉食を過度に目の敵にしているっていう部分があって、クモの巣にかかってるトンボを助けたりってことを平気でするので、この辺はミツバチに肩入れしすぎるのもどうなんだろうって思う部分はあるんだけど…。

それでも感動せざるを得ないシーンが少なくありません。初期設定の段階で「大雨によって命を落とした昆虫がたくさんいる→生き残った虫たちが一緒に暮らしている」みたいな感じになっているので、主人公もミツバチの生き残りだし、一緒に行動しているのがミツバチじゃない別の昆虫っていう要素も大きいんじゃないかと思いました。

ミツバチがミツバチを助けるっていうのでも感動するんだから、別の昆虫がミツバチを助ける的な展開に感動しないわけがないでしょ。こんなのはピッコロが悟飯を助けた時のあの感動を彷彿とさせるかもしれません。

サバイビー 全3巻を読んだ感想・レビュー

最後の最後はちょっと駆け足な感じもしたけど、すごく見応えのある全3巻でした。主人公の熱血漢っぽさが良い方向に出ていて、思わず「ミツバチ頑張れ!」になっちゃう展開は一気読みやむなしという感じ。

例えば消防士が上官からの命令で「行くな!」って言われてるのに、それを聞かない主人公が火の中から子供を救出するシーンがあるとするじゃないですか?第一に子供が助かって良かったっていうのがあるんだけど、それと同時に「命令を無視する主人公ってどうなの?」って部分があると思うんです。

本作の場合は文字通りの自業自得になるというか自然界の厳しさが伝わってきやすくなるだけなので、そういう感じの引っかかる部分が少なかったから純粋に楽しめたんじゃないかと。ミツバチにとっては「個が死んでも女王さえ守れれば勝ち」みたいな、僕らからするとちょっと理解しがたい価値観で生きているっていうのも面白いです。

ちょっと鼻穴が気になる絵のタッチなので読まず嫌いな人も少なくないと思うんだけど、マジで面白い作品だと思うのでぜひ読んでみてください。これを読んだら面白すぎて、つの丸氏の他の作品も読みたくなるはず。「みどりのマキバオー」とか読みたくなるはず。

あとがき

サバイバー×Bee。