個人的にはギャンブルがめちゃくちゃ好きだった時期があって、パチンコやスロットで遊んでいたこともありました。パチンコとかやったことない人はわからないだろうけど、あれはギャンブルであるのと同時にパチンコ屋のビジネスでもあるので、勝つ為の仕組みを理解していればしっかりと勝てます。
例えばトランプのババ抜きだって、そこにちょっとルールを足してやれば立派なギャンブルになりますし、人vs人である以上そこに何かしらのクセも出てくるでしょう。本作で描かれているギャンブルはそんなクセなどを見抜いたり、相手のイカサマを逆手にとって勝利への糸口を手繰り寄せるような熱い展開ばかりです。
というわけで今回は、天才ギャンブラーの生き様を描いた心理戦・頭脳戦漫画「嘘喰い(全49巻完結済み)」を紹介します。
嘘喰いのあらすじ
本作は多くの人が知っている「ババ抜き」などの簡単なものから、想像に容易い「ストップウォッチをいかに指定タイムに近く停止させるか」などの勝負で、命を賭けていく男たちの生き様を描いたギャンブル漫画だ。
秘密組織・賭郎には、国家権力にも負けないほどの巨大な力がある。その賭郎のトップは、現トップと選ばれし挑戦者によるギャンブルの勝ち負けで、勝った方が賭郎のトップとなる決まりがあった。
本作の主人公である斑目貘は天才的なギャンブラーであるが、たった一度だけギャンブルに敗れている。それが賭郎のトップを決めるギャンブルだったのだ。本来この勝負に負けた方は命を失う決まりであったが相手の気まぐれで命拾いをした貘は、もう一度この賭郎のトップに挑戦するためにゼロから歩み始める。
嘘喰いの見所をチェック!!
ギャンブルで勝つということの発想の違い
例えばルーレットで番号を当てるっていうのは普通に考えたら確率論です。もしここに「○○番が出やすい」みたいなことがあるんだとしたら、それはもう競馬みたいな感じでオッズがないと成立しないし、ルーレットなんてもんはサイコロと一緒だと思いませんか?
もしこれで「限りなく勝ちに近付く方法」があるんだとしたら、僕みたいな人間からすると「ルーレットに細工して重心をずらすことで確率を操作する」とかそんなんしか思い浮かばないんですよね。
でも本作で描かれている内容は「その手があったか!」って思わされるはず。頭を柔らかくしていないとまず辿り着けない境地が体感できます。ギャンブルの勝ち負けって最終的には確率勝負だけど、少しでもアドバンテージを得られるようにするには「発想の逆転が重要」だと改めて実感させられました。
迫力満点で圧巻のバトルシーン
元々「賭郎」という組織はギャンブルの審判みたいな存在だということもあり、戦闘能力もめちゃくちゃ高いです。力のある者とない者(例えばヤクザと一般市民みたいな)がギャンブル対決をして、もし力のある者が負けたとしても、その勝負は簡単に反故にできるじゃないですか?それを公正な立場で取り仕切るのが賭郎です。
そのため知らぬ存ぜぬで拳銃を突き付けてギャンブルそのものを無かったことにしようとする連中を、簡単に黙らせるだけの戦闘能力を持っています。この戦闘シーンは非常に線が細かくて迫力も抜群です。ギャンブル漫画なんだけど「嘘喰いはバトルシーンもいいんだよなぁ」と思わされるはず。
嘘喰いに登場するギャンブルごとの感想・レビュー
廃ビル脱出勝負
ちょっとギャンブルって言っていいのか分からない感じの内容で、簡単に言うと「生きてビルを脱出できたら勝ち」っていうゲームです。
相手はピストルとか撃ってくるし、ワイヤーなんかの罠も仕掛けまくってて、ハッキリ言って心理戦でも何でもないと思うんだけど、相手から武器を取り上げたり、相手の罠をそのままうまく利用したりするあたりには心理戦の要素が多少あるのかなって感じ。
個人的にはここは全然面白いと思ってなくて、この後から爆発的に面白くなっていくから、とりあえず「ここは我慢して読んで!」って思います。
ハングマン
負けた方が首をつって死ぬというルールで行われたババ抜き対決です。ハッキリ言ってここまで読んだら、もう嘘喰いの虜になってしまう読者が続出すると言っても過言じゃありません。控えめに言ってもめちゃくちゃ面白いです。
みんなが知ってるババ抜きで対決するんだけど、それこそメンタリストか何かが相手の心理状態を読み解くとかすれば、ババ抜きの勝率は格段に上がると思います。
でもババ抜きなんて多少の心理戦的な揺さぶりはあっても、結局は運みたいなところがあるじゃないですか?しかし本作で描かれているのは「相手のイカサマに気付いてそれを逆に利用する」という手法です。
ぶっちゃけただのババ抜きがここまで高度な心理戦になるとは夢にも思いませんでした。僕みたいにあまり賢くない人間が理解するのには何回か読み直さなきゃいけないくらい複雑だけど、理解した時のスッキリ感と言ったらハンパ無いです。
ラビリンス
決められたルールに則ってお互いが方眼紙に迷路を作って、それをお互いに解くというギャンブル。壁にぶつかると相手にターンが移るという感じで、少しずつ歩みを進めていって先にゴールした方が勝ちってルールです。
この勝負に勝てば1億円がもらえるんだけど、こっちのリスクはゼロっていう部分が見所で、そんな美味い話があるわけーねーじゃんっていうのが根底にあります。ちなみに勝負に負けた場合は「ある日の思い出を語るだけ」です。
このエピソードに関しては、ギャンブルで実は賭けさせられていたものに対して驚きを禁じ得ません。こんなぶっ飛んだ発想を描かれたら、マジで嘘喰いを読むのが止められなくなるはず。
あとがき
あんた、嘘つきだね。