個人的にコミックス1巻を読んだ感想が「なんでこれが支持されてるの?」というような、少し否定的な意見を抱いた漫画が最終的に面白くなるってことはあまり無いんですけど、本作はまさにこのパターンだったような気がします。
言葉を選ばずに言うと「1巻の時点では面白くなかったけど、最終的には面白かったと感じた漫画」です。少年サンデーの漫画なので僕みたいなオッサン読者が大声で面白いと声を上げるような作品ではないけど、タイムリープ作品として「GA〇TZのパクリ」みたいな一言で済ませるのは勿体ないような気がしました。
というわけで今回は、双子と5分後の未来を描いた「5分後の世界(コミックス全7巻完結済み)」を紹介します。
コミックス1巻のネタバレを含みます。
5分後の世界 あらすじ
戦慄のタイムリープ・パニックホラー!!平凡な高校生・白綾大和は、謎の占い師から不思議な腕輪をもらう。「たった一度未来に行き、この現在に帰ってこられる」「いつの未来に行けるかは誰にもわからない」
腕輪を使って跳躍した未来には―――仏像が人々を虐殺する惨劇が広がっていた。一変した世界。大和は腕輪で過去に戻り惨劇を防ごうとするが、その未来は、腕輪を使った“現在”からわずか5分後の世界だった…!たった5分間で、世界を救う方法はあるのか!?戦慄のタイムリープ・パニックホラー、開幕!!
5分後の世界の見所をチェック!!
タイムリープする先の未来が5分後
本作最大の設定は「タイムリープする先の未来が5分後」という点です。普通タイムリープする先って言えば「10年後の自分は何をしているのか」とか「100年後の未来はどう進化しているか?」とかじゃないですか?5分後ってのはあまりにもショボい。
でもこれが100年先とかだと緊張感が欠ける感じになっちゃうんで、本作の流れとしては5分後でいいんです。むしろ5分後がいい。これをショボいと言っちゃうような僕は完全に早合点をしていました。
というのも本作は「5分後に起きる悲劇を先回りで体験して、未来の世界でその悲劇に対する解決策を見つけてから戻ってきて悲劇を食い止める」というのが目的になっています。この設定は斬新なんじゃないかと思いました(まぁ似たような世界観の話もありそうだけど僕は知らないです)。
主な登場人物は双子の兄弟と幼馴染
本作の主な登場人物の中に双子の兄弟とその幼馴染が存在します。個人的にはこの設定にすごく既視感があって、ぶっちゃけあんまり本作の世界観が入ってきませんでした。
昔は何でもできる兄だったのにいつの間にか立場は逆転してしまって、何でもできる弟と落ちこぼれの兄。でも弟は兄を過小評価していないっていうね。いつ弟が死んで「綺麗な顔してるだろ?」的なセリフが出てくるのかと思ってしまった次第です。たぶん幼馴染はダメな兄貴の方を好きなんだろうな。
詳しくは後述しているレビュー部分にて言及しますが、純粋に本作を楽しめる人と他の作品が引っかかるという人の2パターンに大きく分かれるんじゃないかと思います。いずれにしても双子だからこその複雑な心理描写なんかが光る作品です。
仏像たちとのバトル(グロ多め)
仏像とバトルするっていう部分も既視感がある人が多いんじゃないかと思うけど、本作ではオド・ジーニアスと呼ばれる特殊能力でバトルが展開されます。ただしバトル漫画というよりは、パニックホラーとかデスゲーム寄りで「割と使い捨て感覚で登場人物たちが死んでしまう」という感じ。
絵のタッチがコミカルなのでグロさはあまり感じませんでした。でもkindleレビューではグロ部分に言及している意見が多かったので、そのような描写が苦手な人は見ない方がいいかも。
この能力も最初はただ単に鉄球のような形状をした物を体当たりに使うだけですが、物語が進むに連れて色んな工夫をしたり、能力が進化するようになっているはずです。そして謎の能力の起源を探っていくことで、それが世界を救うことに繋がるのかなぁと思ってます。
5分後の世界を読んだ感想・レビュー
コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
色んな設定に既視感を感じるスタートでした。一部ネタバレになりますが、以下の要素に対して「〇〇のパクリじゃねーか!」って感じちゃう人だと純粋に楽しめないかも。
- 双子の兄弟と女の子の幼馴染
- 仏像たちとバトル
- タイムリープした先の未来が日記から先読みできる
本当に個人的なことを言わせてもらうと「意外とkindleレビューの評価が高かった」という印象を受けました。もっと叩かれているかと思いきや、意外と人気あるんだなぁと。
もしかしたら「最終巻まで読んだ人がコミックス1巻のレビューに前編通しての感想を書いているのでは?」という部分で期待できると思います。
コミックス全7巻を読んだ感想・レビュー
序盤は「???」という感じだったんだけど、最後まで読んでみると面白い漫画だったと思いました。ちょっと最後が駆け足気味で、あえて憎まれ口を叩くのであれば「あんだけ色々やってきたのに、最終的にはそれで済むんかーい」っていうツッコミ無しには読めなかったような気がします。
でも粗削りな物語というか、こちらが細かい部分に拘らずに大雑把に読めれば面白いタイムリープ作品です。途中に張り巡らされた伏線もちゃんと回収してるし…。
個人的にはコミックス1巻を読んだ時点では不安しかなかったけど、全7巻を最後まで読んで良かったと思いました。最初は「タ〇チのパクリかよ」くらいにしか思えなかった双子ネタも、最後の最後にしっかりと生きてきたような気もします。
コミックス1巻で疑問符が付いた人も、最後まで読んでみて欲しいと思えたタイムリープ作品です。あ、でも「なんで5分後だったんだろう?」とかまで求めちゃうような人は、最後まで疑問符が消えることはないので読まなくていいかと。
あとがき
5分後の世界は誰にも分からない。
誰もが1度は想像!面白くておすすめのタイムスリップ、タイムリープを題材にした漫画を紹介する