マンガのキャラクターに憧れたことがある人って少なくないと思います。僕も幼稚園時代はドラゴンボールの悟空に憧れていて、かめはめ波の練習とかしてたし…。
それは男の子ならではの「純粋な強さへの憧れ」だったけど、世の中には復讐のために力を求めたって人もいるんじゃないかと。本作の主人公は母親をそそのかした男に復讐するために、北斗神拳の伝承者になろうとした1人の男の物語です。
というわけで今回は、北斗の拳リスペクトのマッサージ師による「ケンシロウによろしく(連載中)」を紹介します。
ケンシロウによろしく あらすじ
沼倉孝一は、幼い頃に木村という名のヤクザに母を奪われた。復讐を誓った沼倉は、漫画『北斗の拳』を読み続けることによって伝説の暗殺拳を体得し仇を討とうとする。
これは復讐に燃える男が暗殺拳を極めようとした果てに人々を幸せにする物語である。
ケンシロウによろしくの見所をチェック!!
出オチ感満載のスタート
物語の趣旨は「母親を奪った男に復讐する」というもの。復讐するために北斗神拳の絶対的な強さに憧れ、北斗の拳のコミックスを読み漁っては身体を鍛えるという日々を過ごし…。
ようやく復讐のチャンスが訪れても、北斗の拳だけでは正確なツボ(秘孔)の位置が分からないっていうね。で、正確なツボの位置を勉強したら、気付いたら国家資格を取得していたとかアホにもほどがあるでしょ(褒め言葉)。
ぶっちゃけ出オチ感がハンパなくて、この先どうやって面白くしていくのかが不安になるくらい、物語の最初に爆弾を投下している作品なんだけど、作者のジャスミン・ギュ氏は「バックストリートガールズ」を手掛けた人なので、壮大な出オチをかましても失速せずにストーリーを描き上げてくれるんじゃないかと思います。
ギャグの中にも光っているマジもんのマッサージ
本作を一言で説明するなら「復讐の為にケンシロウになることを目指したけど北斗神拳を身に付けることは出来ず、一流のマッサージ師になった男の話」って感じになります。
この設定自体が壮大なギャグなんで、ぶっちゃけマッサージのなんたるかみたいなものは不要というか、ギャグ漫画なのにギャグじゃない要素も込みで描かれているというか…。なんか色々と読者側から突っ込まずにはいられない要素がてんこ盛りです。
まぁ本作を読んだところで、よほど頑張らないと「ケンシロウによろしくによろしく」みたいなことにはならないと思うけど、ツボ押しに関することも多少は出てくるのでギャグ漫画の一部に職業漫画みたいな部分も入ってると言っても良さげ。
目的と手段を見誤る壮大なコメディー
元々は母親を奪った男への復讐が大きなテーマになっていたのに、そこから血の滲むような努力を重ねてマッサージ師になり、気付いたら「復讐にはマッサージを使わないと勿体ない」みたいになってます。
「いやいやいや、復讐が大きな目的なんだから手段はどうでもいいでしょ」と思うのは読者だけで、主人公は至って大真面目に「マッサージの力で復讐を遂げる」ということを誓っているっていうね。
それだけならまだ良いんだけど、気が付いたら「このままだと死んじゃうから助けなきゃ」みたいになります。あいつに復讐するつもりで始めたマッサージであいつの命を救おうとし始めます。この本末転倒な感じ、復讐という壮大なテーマがありながらも平和な感じに仕上がっている雰囲気が本作最大の魅力です。主人公の人の良さが滲み出る感じ、たまりません。
ケンシロウによろしく コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
復讐の為に北斗の拳のコミックスを読んで北斗神拳を身に付けようとしたっていう設定がメチャクチャ面白い。何重にもパロディーになっていて、漫画好きが手に取ってみようかなと思う要素を抜群に満たしている作品だと思います。
ただ一方で、ちょっとやべー奴というか「北斗神拳がそんなんで身に付くわけねーじゃん」的な出オチになっていて、主人公が普通の超一流マッサージ師っていうだけの話なので、この先どのような笑いを展開していくのかって部分に注目が集まるわけだけど、ぶっちゃけ「このペースで持つのかな?」っていうのは感じました。
この手のパロディー作品は、僕みたいな素人が読んでも「こうすりゃ面白いんじゃない?」みたいなネタが湯水のごとく湧いてきて、読者同士でキャッキャやれる部分も魅力の1つじゃないですか?でも本作の場合、マッサージでお客さんを幸せにするって展開だとどうしても同じことの繰り返しになるんじゃないかって気がします。
とは言え描いているのはプロの方ですし、前作の「バックストリートガールズ」も壮大な出オチがあったにも関わらず、失速せずに描き上げているので期待です。
あとがき
わが生涯に一片の悔いなし?