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「フリージア」を読んだ感想・レビュー

フリージア表紙

 

暗めな物語、特に「もし〇〇という法律があったら…」みたいなIFの世界観が大好きです。普段から妄想したりもしているんだけど、特に現実世界では絶対にできないようなルールに興味があります。

例えば殺人事件を起こした人間が刑務所から出所してきた際、合法的に復讐が認められているとしたら?復讐は何も生まないとは言うものの、被害者(あるいは遺族)になった時に同じことを言える人間は少数派じゃないかと。

そういう意味では本作の設定はまさに神設定。というわけで今回は、敵討ちが合法的に認められている世界の話「フリージア(全12巻完結済み)」を紹介します。

 

 

フリージア あらすじ

復讐が合法化されセックス&バイオレンスが充満した世界を描く、松本次郎の最高傑作、愛蔵版にて復刻!!

 

フリージアの見所をチェック!!

犯罪者に対して復讐が認められている世界の物語

フリージア1

 

本作は殺人などの重犯罪の被害者が、加害者に対して復讐を認められている世界線の話です。ニュースなんかを見ていても、とんでもない事件を起こしておいて「たったこれだけで済むの?」という量刑になっているケースが多いと思いませんか?被害者だったらたまったもんじゃないです。

人の命を奪っておきながら数年、あるいは十数年で出てこられるような社会と決別し、被害者が直接、犯人に対して復讐することが許される「敵討ち法」が成立している世界…実際にこのような法律ができることはないと思われるだけに、非常に興味深い世界観が出来上がっています。

ちなみに自らが手を下したいという場合はそれもOKだし「復讐はしたいけど自分でやるのは自信がない」という場合は復讐代行業者に依頼することも可能です。また復讐される側も自分で防衛したり、業者を雇って自衛することが認められているので、プロ同士の殺戮合戦や水面下での買収などに大きな見所があります。

 

主人公の強さが危うい(絶対的な強さじゃない)

フリージア2

 

本作の主人公は見た目からは想像できないものの最強と言っていいほどの復讐代行屋です。「擬態」という能力を持っていてピストルの弾は当たらないし、人ごみに紛れると視認することも難しいという感じの能力を持っています。

ただしその能力が絶対的なものかどうかと言われると疑問で、急にその能力が失われてしまいそうな不安定さがあるんですよね。それに攻撃能力に特化しているわけではないし、運動能力が高いってわけでもないので、戦いの場面ではハラハラさせられること間違いなし。

 

主人公の過去、実態が気になる

フリージア3

 

本作を読み始めて真っ先に気になるのは「主人公の存在」です。少なくともまともな人間ではないし、何らかの見えない力によって復讐代行屋に勤務することになります。

まともじゃないと思える理由についてはあらゆる場面で独り言を喋っていたり、家庭環境も謎、家族構成も謎、感情的になることもない等々…。とにかく人間っぽさがないんですよね。

この主人公が仕事(復讐)を続けていった先に待っているもの、そして徐々に明かされていく主人公の過去や正体なんかは大きな見所があるはず。

 

フリージアを読んだ感想・レビュー

コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

まず「犯罪者に対して法の裁きとは別に、被害者は復讐することができる」というテーマが面白いです。これは世の中の理不尽な事件を見たり聞いたりしたときに「自分は加害者になるよりも被害者になる可能性が高い」と感じる人なら、少なからず興味を持てる題材じゃないかと思います。

で、それがどういう結果をもたらすのかって部分が非常に気になる1巻でした。復讐代行屋の正義感で人を何人も殺しておいて正気でいられるのかとか、復讐される側が上級国民で圧倒的な武力で対抗してきたらどうなるのかとか、本作の今後の展開に対する興味がつきません。

ただし絵はちょっと見にくい、あとは時系列もあっち行ったりこっち行ったり、主人公の精神疾患?ちょっと狂っている妄想みたいな部分があって事実が把握しにくい等、ちょっと複雑すぎる感を強く感じるので読む人を選ぶことは間違いないでしょう。

 

コミックス全12巻を読んだ感想・レビュー

良くも悪くもかなり複雑な内容で、ぶっちゃけ意味が良くわからない描写が多かったです。読者に対して考察の幅を持たせているのかなーって感じるくらい、ちゃんとした答えが用意されていないという印象を受けました。

でも主人公の妄想や独り言など精神的に壊れている部分が、完全にゼロから作られた妄想じゃないというケースは、まるで点と線が繋がったようなスッキリ感があります。所々に物語の核となる伏線が散りばめられている感じっていうのかな。

僕の理解力が追い付かないだけかもしれないけど、本当に複雑で読むたびに新たな発見があるバイオレンスアクション漫画だと思います。ただ、何度も読み返したくなるような読みやすい絵の漫画ではないので、そこは注意。

 

あとがき

フリージアの花言葉は「将来への展望」だそうです。

 

 

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