本作は名前くらいは聞いたことがあったんだけど、ずっと包囲網をすり抜けてきて未だに読んだことがなかったんですよね。もしかしたら表紙絵だけを見て、あまり好みじゃなかったから読まなかったのかもしれないけど…。
ハッキリ言ってめちゃくちゃ面白い!読み始めたら止まらなくて、この先の展開もマジで気になります。典型的なダークファンタジーなんだけど戦争からの復興をテーマにした作品で、野党との武力衝突にも見応えがあるし政治的な背景も見逃せません。
ダークファンタジー好きには文句なしにおすすめだし、漠然と面白い漫画を探しているという人にもおすすめしたい!というわけで今回は、奥深すぎるダークファンタジー「Pumpkin Scissors(連載中)」を紹介します。
パンプキンシザーズ あらすじ
長かった戦争が終わり、遂に平和が訪れると思った。しかし、長く続いた戦争の影響で、一般人の多くは飢餓と疫病に苦しめられている。その一方で、兵隊の一部は野盗と化し、一般人を虐げているという。戦争が終わった今もなお、多くの人々は「戦災」と呼ばれる第二の戦争に苦しめられているのだ。
そこで立ち上がったのが「帝国陸軍情報部第3課(パンプキン・シザーズ)」である。戦災復興を掲げている彼らは、人々の支えになろうと奮闘していた。
そこに現れた1人の大男。青いランタンを携えて、銃1つで戦車を破壊してみせた。そして大男はパンプキン・シザースの一員として、戦災復興へと歩みを始める。
しかしパンプキン・シザーズを待っているのは、「正体不明の大男の過去」「存在意義の曖昧な3課」「腐敗している上層部」など、様々な困難であった。
パンプキン・シザーズの見所をチェック!!
戦車をいとも簡単に破壊する大男の正体
本作の主人公の1人である大男は、普段は虫も殺せなさそうな優男であるにも関わらず、部隊のピンチにおいてはランタンと拳銃1丁のみで戦車を破壊するほどの戦力を持っています。
しかし彼が戦時中に所属していたとされている部隊は、記録には残っていないため、本当に実在していたかどうかが不明です。さらに彼が所持している銃は、人間には取り扱えない代物として研究段階で却下され、1丁も生産されなかったという事実が浮き彫りになります。
普段から行動を共にしていて、少なくとも悪いヤツには見えない。でも正体不明で、とてつもない戦力を持っている…となれば、同じ舞台に所属している人間からしても、不気味に感じてしまうのかもしれません。彼の正体が気になるのは当然として、謎に包まれている彼に向けられる猜疑心など多くの見所に注目です。
信用できない帝国上層部
国は様々な政策を行い、表向きは国の為になるようにと動いているように思えます。しかし実際には、一部の人間の利益になるような政策であったり、弱者を切り捨てるための政策だったりするのは、どこの国も同じようです。
前項でも触れた大男の正体、所属していた部隊の記録が残っていないのも、もしかすると国の上層部にとって都合が悪かったからかもしれません。公式文書を残しておくと問題になるということで、予め破棄していた可能性があります。
これらのことが原因で、一般人の中にも「帝国を信用できない、災害復興部隊なんて信じられるか」という人たちが少なくないという…。忖度やら賄賂やらが横行している上層部と、国に対して不満を持っている国民の間に挟まれているパンプキン・シザーズ。様々な問題をどう乗り切っていくのか、必見の価値ありです。
何のための3課なのか、そして1課と2課の存在意義は!?
戦災復興を掲げている帝国陸軍情報部第3課。働いている本人たちは戦災復興に命を懸けているかもしれませんが、どんな意図でこの課が作られたのかについては、また話が別です。表向きは戦災復興というそれっぽい理由を用意することで、実は裏に本音が隠されているかもしれません。
それと同様に、3課の上には1課と2課も存在していて、この間にある権力の大きさは雲泥の差です。例えば市民の間に麻薬が横行している場合、戦災復興を担っている3課には通常犯罪に対する捜査・逮捕権がないため、戦災復興を盾にそれを取り締まるのはやや難しくもあります。
現行犯なら取り締まることも可能なのですが、それをやると煙たがる人間なんかもいたりして、賄賂によって手なづけられた腐敗した上層部の存在も浮き彫りに。
戦争が終わった今もなお、弱い者を虐げている存在が山ほどいるなかで、野党との武力衝突だけでなく、政治的な悪人とも向き合っていくパンプキン・シザーズの活躍は、一度読み始めたら目を離せなくなってしまうでしょう。
パンプキン・シザーズ コミックス序盤を読んだ感想・レビュー
長かった戦争のせいで国全体が疲弊していて、そこに野盗やら汚職に手を染める人間なんかが出てくるっていう、ダークファンタジーとしてはこれ以上ないくらいの初期設定だと思います。そしてバトル一辺倒じゃなくて政治的な背景も描いているっていう部分で、他のダークファンタジーにはない奥深さのようなものを感じました。
最初は門前払いをしてきた市民たちが、徐々に心を開いてくれる様子とか、そこに至るまでのパンプキン・シザーズの葛藤もそうだし、野党とバトルする時の命がけの様子なんかも、鬼気迫る迫力を感じます。単純にバトルどうこうでもないし、私怨に突き動かされてっていう感じでもない。戦災復興っていう素晴らしい目的がありながらも、その裏に影を潜めている本音…みたいな。
個人的にはめちゃくちゃ面白いと思ったし、この後20巻くらいまで一気読みしました。漠然と「なんか面白い漫画ない?」って人にぜひおすすめしたい漫画です(アニメもあるよ)。
あとがき
都合の悪い書類は破棄するとか、そういうのは物語の中だけにしてほしい。
心躍るファンタジーにひとつまみの闇を!面白くておすすめのダークファンタジー漫画を紹介する