完全に平和ボケしている僕からすれば「戦争」って映画の中の話のようにも思えます。現に世界のどこかでは今も起こっているものであるにもかかわらずです。
第二次世界大戦で敗戦国となった日本ですが、義務教育における歴史の授業では少し触って終わる程度なので、なぜ戦争になってしまったのかという経緯はもちろん、実際に戦争に参加した人の話を伺える機会はありませんでした(原爆の被害者は講演会とか聞くけど)。
本作は特攻から計9回の出撃をし、9回生還した特攻兵・佐々木友次氏にスポットを当てて書かれた「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」のコミカライズ版です。というわけで今回は、二度と繰り返してはいけない戦争の物語「不死身の特攻兵(全10巻完結済み)」を紹介します。
不死身の特攻兵 あらすじ
話題の新書、全身全霊のコミカライズ! 太平洋戦争末期に実施された”特別攻撃隊”により、多くの若者が亡くなっていった。だが、「必ず死んでこい」という上官の命令に背き、9回の出撃から生還した特攻兵がいた。飛行機がただ好きだった男が、なぜ、絶対命令から免れ、命の尊厳を守りぬけたのか。
不死身の特攻兵の見所をチェック!!
ただただ飛行機が大好きな主人公
本作の主人公は特攻から計9回の出撃をし、9回生還した特攻兵・佐々木友次氏。もちろん舞台は第二次世界大戦です。
一応、表向きには史実に沿った実話ということになっていて、生前の佐々木氏が語った内容を元に描かれている作品のようですが、Kindleレビューを見ても史実に基づいているかどうかについては賛否が分かれそう(脚色はあるだろうなぁと思う場面は少なくないです)。
それでも主人公の飛行機が好きな気持ちや、戦争で窮地に立たされた時の恐怖感は非常にリアルに伝わってきます。飛行機が好きという感情が「飛行機で敵国軍を駆逐したい」という感情になっている部分が、なんともいたたまれない感情になりますが、戦争の辛い一面を知ることができる作品であることは間違いないでしょう。
残酷すぎるほどの作戦
空でも海でも過去の戦争でやっていたことは似ていて、単純に爆弾を積んで突っ込むっていうね。こんなん復活前提のゲームなんかの話だと思ってたんだけど実際にあったことみたいです。当然ながら実際に見たわけではありませんが、YouTubeなんかでも検索すれば動画が出てきます。そして涙なしには見られません。
爆弾を積んだ飛行機に乗って飛行機ごと体当たりしてこいという…。このエピソードはテレビなんかでも耳にする機会があったんだけど「爆弾を積んでることによって操作性が悪くなる」などの一面は、冷静に考えれば分かってもなかなかね。現に空から敵国戦艦に突っ込む際に戦艦じゃなくて海に突っ込んでしまったなんて話も知られていると思います。
いずれにしても他人事だと思って「国のために行ってこい!」みたいな指示を出す上官がもう狂ってるし、それに従わなければならなかった当時の凄惨さったらないです。
誰もが思ったであろう「生きたい」という希望の光
飛行機に爆弾を積んで敵に突っ込むなんて発想は正気の沙汰じゃありません。国のためとか家族のためとか大義名分はあれど、それを見ていて感動なんかしないし、ただただ悲しいだけ。
でも本人だってやりたくてやったわけじゃないのは一目瞭然です。逆らえない空気だったってのもあるだろうし、時代によって洗脳されてたってこともあるだろうし…いずれにしてもとにかく痛々しい。でも、この人たちのおかげで今があるって思ったら、目を背けちゃいけない問題だとも思います。
「戦争に行きたくない」とかそういう次元の話ではなく「体当たりはそれで終わり。自分には爆弾を敵に落として生還できる自信がある」という言い分に、当時の歴史的な背景と覚悟が伺えました。これを見ちゃうと、今の自分が置かれてる状況なんかぬるいよね。
不死身の特攻兵 コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
特攻兵視点で描かれている作品で、実際どうだったかは定かではありませんが上層部のクソ具合がとにかくすごいです(まるで今の政治を見ているみたい)。
自分の手柄のために現場で自爆行為をさせて、成果が上がれば話を盛って報告するとか。戦況は覆せないほど不利になってるのに、それを現場に知らせないとか。現代でも似たようなことをやってる政治家が多くて腹が立ってる人が多いと思うけど、直接的な命のやり取りをしていた当時のことを考えたら当時は本当に酷い時代だったんだろうなぁと思います。
Kindleレビューを見ていると、史実通りじゃないという指摘がいくつかされているようです。個人的にはこれが史実だろうが何だろうが当時の凄惨さを知る一歩になることは間違いないと思ったので、戦争は二度と繰り返すべきではないという自戒の意味を込めて多くの人に読んでもらいたい戦争漫画だと思います。
あとがき
いつの時代も無能な上司のせいで部下が大変な思いをするんだろうな。