家族を殺された主人公が復讐を誓うという設定は今まで散々見てきました。その設定ありきで「仇を取るためなら手段を選ばない」ってなるのか、あるいは「こんな形の復讐を家族たちは望んでいない」ってなるのかは作品次第なんだけど。
本作も初期設定は復讐をテーマにしたバトル漫画ですが、根底に民族間の争いがあり、リアルの世界でも起こっているような人種間の争いに似たテーマを感じます。壮大なテーマなのでどのような結末を迎えるのか、序盤から楽しみにしている読者も多いのでは?
というわけで今回は、星単位の民族間紛争を描いた作品「愚者の星(連載中)」を紹介します。
愚者の星 あらすじ
数世紀にわたり惑星連邦から見捨てられていた植民星スラースで、貴重な鉱物資源が発見された。再び大量の移民と開発の波が押し寄せる一方、差別を受けた原住スラース人達の間で独立運動が拡大。遂に新国家の建国を宣言するに至る。戦争の危機が迫るなか、スラース人と地球人との混血の少年シンタは家族を独立派に殺され、復讐の闘いに身を投じる… 『EDEN』×『オールラウンダー廻』遠藤浩輝の集大成:SF格闘戦記、開幕!!
愚者の星の見所をチェック!!
いじめ、差別問題に悩む主人公
本作には地球人の他にスラース人と呼ばれる人種が存在し、主人公は地球人とスラース人のハーフということで激しいいじめや差別に遭ってきたという設定があります。
もちろん主人公だけの問題ではなく、全スラース人にとっての問題なので、スラース人の中には地球人を憎む人もいるわけで…。中には大規模な復讐を企てる人物も出てくるでしょう。
もちろん差別に遭いながらも「武力で解決すべきではない」というスラース人もいるわけで、その辺りの部族間衝突のような部分にも見ごたえがありそうです。
スラース人の特異体質!?
物語の序盤では謎に包まれていますが、スラース人には特異体質があり、何らかのスイッチをきっかけに戦闘力が大幅に上昇するようです。これを作中ではトリガーと表現していて、第〇形態のような使い方をしています。
主人公はスラース人に家族を殺されてしまい、家族の仇を取るために復讐を誓うという…。割とありふれた展開になっていくんだけど、復讐の相手が地球人じゃなくて同族のスラース人である点や、戦闘能力はまだそこまで高くないのにポテンシャルを感じさせるという展開は、序盤からワクワクする要素と言っていいでしょう。
タイトルにある「愚者の星」とは…?
地球人とスラース人が暮らしていく中で、スラース人は「地球上の貴重な資源を地球人が独占している」と主張し、スラース人だけで構成される国家を樹立。
しかしスラース人の中にも地球人側の連邦軍に所属する人物は多く、主人公もスラース人に家族を殺されているため地球人側に付くという判断をするわけで、単純な「スラース人 vs 地球人」という感じでもありません。
誰が糸を引いているのかを含め、現実世界でも起こっている差別問題や民族間紛争などに一石を投じるようなテーマになっているんじゃないかと思いました。愚者というワードが使われているくらいですから、単なるバトル漫画に終始するような感じでもないのが楽しみです。
愚者の星 コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
トータル評価は割と高い作品なんだけど、上位表示されるKindleレビューが結構辛口なものが多くて、とりあえず注目度は高い作品なんだと思います。作者はEDENやオールラウンダー廻を描いた遠藤氏。前作は打ち切りになってしまったようで、本作の行く末を案じる声も多数投稿されていました。
個人的には「家族を殺された主人公が同族相手に復讐を誓う」という展開が、もう手垢がつくほど使いまわされているありきたりな設定であることに対し「またこれかよ」という感想はなかったです。
地球人に散々虐げられてきた過去がありながらも地球人側に付くことを判断した葛藤や、人種間の争いの結末など、この先の展開が気になる要素は多々あると思います。ぶっちゃけコミックス1巻の時点ではどっちに転んでもおかしくない感があるので、今後の展開に期待です。
あとがき
地球=愚者の星。
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