記事内に広告を含みます

『「子供を殺してください」という親たち』を読んだ感想・レビュー

 

今までタイトルにインパクトがある作品っていうのは色々見てきたけど、ここまでストレートに作品内容を表している作品って、逆に気持ちが良いですね。

個人的には奇をてらったタイトルというか、タイトルを見た感じでは「どういう作品なんだろう?」って思わされてしまうような抽象的なものが好きなんだけど、これには素直にやられたと思った。

ノンフィクションで社会派の作品でもあるので、意外とこういうジャンルが好きな人も多いのでは?というわけで今回は、現代社会の裏側に潜む家族の闇を描いた『「子供を殺してください」という親たち(連載中)』を紹介します。

 

 

「子供を殺してください」という親たち あらすじ

 

家族や周囲の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘…。現代社会の裏側に潜む家族の闇と病理を抉り、その先に光を当てる――!! 様々なメディアで取り上げられた押川剛氏の衝撃のノンフィクションを鬼才・鈴木マサカズ氏の力で完全漫画化!

(Amazon kindle 紹介ページより)

 

「子供を殺してください」という親たちの見所をチェック!!

ちょっとおかしい人が登場人物

 

世の中には非常識な人とかが山ほどいるけど、そういうレベルじゃなくて「完全におかしい人」にスポットが当てられています。あまりにおかしい人すぎて、それすらも問題視されないような人っていませんでした?例えば常識外れなんてのは陰口の対象になったりするだろうけど、それにすらもならないような存在。

全裸で大声を挙げながら素振りしてたら、普通は近所の人が驚くでしょ。それでも全く動じないってことは、これが日常的なことで、近所の人たちからしても「あー、また始まった」みたいに思ってるってことじゃないですか?

こういう人たちに対して、しっかりと向き合っていく大人の姿が凄く印象に残ります。親ですら見捨てるような人間を、仕事とは言えちゃんと接する主人公に脱帽です。

 

色んなパターンの決着方法

 

本作はオムニバス形式のようになっていて、Aさんの場合を1つのエピソードとして語ったら、次はBさんというような感じで、色んな人のパターンが描かれています。

親が手を付けられないようになってしまった子供って部分だけを切り取ると、親御さんが可哀想って意見が多く出るんじゃないかと思うんだけど、世の中って結構「子を見れば親が分かる」みたいな部分ってありませんか?

 

それこそキラキラネームどうこうじゃないけど、スーパーでバカみたいに騒いでる後ろの髪だけ長い茶髪の男の子が1人でいたら「こんな子供をほったらかしにして、親何やってんだよ」って思うじゃないですか?

現れる親を見れば「あぁ…」ってなんとなく悟りますよね。十中八九、タンクトップとハーフパンツにグラサンで、ふくらはぎと肩にタトゥーみたいな(タンクトップやタトゥーを批判しているわけではありません)。

そんな感じで「子が悪い」ばかりじゃなく「これまでの育て方に問題があったんじゃないの?」という視点からも見つめているのが本作です。親は被害者でもあるんだけど、同時に加害者でもあるんじゃないかっていう視点が面白い。

 

少し興味のある謎がノーリスクで覗ける

 

僕の住んでる近所にもゴミ屋敷って感じのお家があって、人が出入りしているのは見たことないんだけど、窓ガラスとかはガッツリ新聞紙とかで目張りされてるお家があるんですよね。

で、それだけならまだいいんです。なんか白い紙に赤いペンで「ゴミの不法投棄をしたら罰金100万円いただきます」とか書いてるんですよ。正直言って、気持ちが悪い。

 

これが実際に自分の家の近くの話だから積極的に関わろうとはしないし、「世の中には変な人もいるもんだなぁ」って思うだけで見て見ぬふりみたいなことをするけど、ここに取材に行ったドキュメンタリーとかあったら絶対に見たいと思いますもん。

そんな感じで、世の中の人が目を背けてしまいがちな問題を、体当たりで取り上げているのが本作です。怖いもの見たさが強い人には文句無しにおすすめ。

 

「子供を殺してください」という親たち コミックス序盤を読んだ感想・レビュー

子と親の関係性にすごく考えさせられる作品です。たぶん子育てって正解が無いと思うんで、すごい子供の父親がさも「私があの子を育てました!」みたいに語ってるドキュメンタリーとかあるけど、個人的にはそんなのあまり意味がないと思ってるんです。

思い当たる所で松井秀喜さんとか大谷翔平選手、それから藤井聡太さんなんかの教育エピソードは色んなとこで見たことがあるけど、確かにご本人はもちろん、その親御さんも素晴らしい方々ですよ。

ただ、その教育法(テレビ放送のために切り取られた部分)のおかげで超優秀な子供になったかっていうと、そういうわけでもないと思うんです。それをテレビは面白がって「この教育法が素晴らしいから、みんなマネしてみては?」みたいな煽りをするじゃないですか?

 

そういうのを見るたびに僕は「じゃあ逆パターンも放送しろよ」って思ってました。凶悪犯罪者がどんな感じで教育されてきたかにスポットを当てて、それを反面教師にすれば財産になるんじゃないかと。それを表現しているのが本作だと思う。

親に問題があるパターン、子に問題があるパターンとか様々だけど、ちゃんと構成するパターンもあって見応えも抜群です。

 

あとがき

社会問題は色んな考えがあって面白い。

 

 

有害図書スレスレ!?ダークで暗い世界観を持った面白くておすすめの漫画を紹介する