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「すまひとらしむ」を読んだ感想・レビュー

すまひとらしむ表紙

 

相撲は格闘技やスポーツとはまた違う「国技」と呼ばれている競技なので、どうしたって格闘技とかスポーツと比べるのは難しいんだけど、ちょっと理解しにくい部分が少なくありません。

勝ち方ひとつを取っても「その勝ち方は認められない(勝ち星は付くけど卑怯だ)」みたいなことを言われるケースもあるし、昔から根付いてる慣習が多いうえに不文律が多すぎるような気がしませんか?

本作はそんな相撲界に反旗を翻した1人の新米力士の物語です。というわけで今回は、圧倒的迫力の相撲漫画「すまひとらしむ(連載中)」を紹介します。

 

 

すまひとらしむ あらすじ

新弟子たちが挑む前相撲の場で、ひときわ異彩を放つ白髪の力士・蔵王。取組にあっけなく敗れた彼は、しかし何故か笑みを浮かべていた。歴史・文化・興行・神事・競技…。様々な側面を持つ国技”相撲”とは一体何なのか?規格外の力士・蔵王が角界に嵐を巻き起こす――。叛逆の相撲漫画、開幕!!

 

すまひとらしむの見所をチェック!!

ダークヒーロー感満載の力士が主人公

すまひとらしむ3

 

相撲界と言えば国技という看板があるため、何かしらの問題があると大々的に報じられます。八百長、暴行事件、性差別などなど、一般社会であればブラック企業と表現しても足りないくらいの不祥事の連続に、「相撲協会って何してるの?」と感じている人も多いのでは?

完全なる縦社会ということもあって古い慣習も多く、自浄作用が行き届かない面もあるでしょう。そんな相撲界に一石どころか大きな岩を放り投げるかのような漫画が本作です。

第一印象としては「相撲という競技をもう一度見つめ直したい」という問題提起じゃないかと思いました。蔵王という型破りのカリスマ力士を描くことで、相撲界のおかしい部分を斬っていくという感じの作風です。本当にこんな力士がいたら全力の可愛がりで潰されるだろうけど、そんなダークヒーロー感がたまりません。

 

圧倒的な迫力の立ち合い

すまひとらしむ1

 

主人公がはねっ返りで品性もモラルも義理人情もなく、ただ勝負に徹するという力士なので「友情要素のないヤンキー漫画」みたいな一面があります。ゆえに立ち合いの迫力はハンパないです。

そっぷ(やせ型の力士)が自分の倍以上もある力士を手玉に取るような感じが強く、ぶっちゃけリアリティはありません。まるで不良高校の番長が1人で他校の不良100人と戦い、無傷で勝つみたいな展開が続くと思われます。

だからこそって言ったらアレだけど体の大きい力士とぶつかり合ったり、投げ飛ばしたりする様子は圧巻の一言。太い線と細い線を巧みに描き分けているからか、絵から伝わってくる迫力がえげつないレベルです。相撲がバトル漫画化してるけど、この圧倒的な迫力は本作最大の見所だと思います。

 

相撲の序列や仕組み、細かい部分の解説など

すまひとらしむ2

 

プロスポーツとか格闘技の場合は、選手たちがどのような仕組みでお金を設けているかが分かりやすいじゃないですか?でも相撲取りのお給料ってどうなってるのか分からなくないですか?

というか明確にされてない部分が多く、結構「空気読めよ」みたいになってる部分が多すぎるような気がするんです。例えば横綱はどうなったら辞めなきゃいけないのかとか。

野球みたいに球団が不要と判断したらクビみたいな分かりやすいルールもないし、そもそも力士の給料ってどれくらいで誰から貰ってるのか等が意外と知られていないような気がします。競技の性質上ケガも多いだろうし、ケガでも給料は変わらないなら悪いことを考えるやつがいっぱいいそうだけどね。

そんな感じの「相撲界の裏側」みたいなものを解説してくれている場面もあります。相撲に詳しい人なら知っていることなんだろうけど、ただ「立ち合いを見るのが好き」程度であれば目から鱗が落ちるような解説が楽しめるはず。

 

すまひとらしむ コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

残念ながらリアリティは感じませんが、相撲のような無差別級の競技において小さい者が大きい者を倒すという、ジャイアントキリングに期待しない読者はいないのではないでしょうか。

僕は主人公のダークヒーローっぽさが好きだし、先輩に対して礼儀が欠けている面も含めてカッコイイと思いました。実際にこんな奴がいたら好きになれないだろうけど、漫画というコンテンツの中では非常に魅力的なキャラクターだと思ってます。

まだ1巻時点なので長く続くかどうかも分かりませんが、現時点では主人公の蔵王がどこまで上り詰めるのかが気になって仕方ありません。今は序列も低くて無双状態だけど、いつか苦戦する時がくるのかな…とにかく楽しみ。

 

あとがき

こんなものが大相撲ならこの俺が潰してやろう。