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「おかえりアリス」を読んだ感想・レビュー

おかえりアリス
Ⓒおかえりアリス

ちょっと下世話な話をすると「男性が男の娘という存在に対して何を思うか」っていうのは、すっげー興味深いです。昔は男同士でキスをするみたいな流れに対して、やれ罰ゲームだなんだって思ったし、気持ち悪いっていうリアクションを取ることに違和感はなかったんだけど…。

今思えば、唇を重ねるっていうことに対して相手が男とか女とかってあんまり関係なくて、ぶっちゃけそれ一緒だろって思ったりもするんですよね。要は気持ちの問題ってだけで、目隠しとかしてたら全然わからないってくらいに些細な問題だろうと。

こういう思考をしてしまう僕がアブノーマルな可能性はさて置き、ほんの1mmでも理解できるという人なら間違いなく夢中になれる作品がこちら。というわけで今回は、歪な三角関係と青春時代「おかえりアリス(連載中)」を紹介します。

おかえりアリスのあらすじ

『惡の華』『ハピネス』に続く、押見修造 待望の最新作!! オレ、ボク、ワタシ、アタシ。キミにゆさぶられる アオイセイシュン。亀川洋平、室田 慧、三谷結衣──幼馴染だった3人の関係は、高1の春、突然の再会に揺らぎ始める。“君”でなくなった君が翻弄する、僕たちの性を、セイシュンを。

おかえりアリスの見所をチェック!!

性への目覚めから始まる青春ストーリー

おかえりアリス
Ⓒおかえりアリス

これまでの人生を振り返った時に「中1~中2が楽しかったなぁ」と思うんです。で、きっとこういう人って少なくないんじゃないかって思うんですが、この頃は目に見える全ての物が新鮮だったなぁと。

それこそ性に対する興味が湧いてきたのもちょうどこの頃。誰と誰が付き合ってるとか、誰かが大人の階段を登り始めたら興味津々になって話を聞いていました。

そういう多感な時期であるゆえに、いとも簡単に傷付いてしまうのもちょうどこの頃。この時期に失恋なんてしようもんなら、それこそ人生詰んだってくらいに悲観的になったもんです。

そんなデリケートな時期の酸いも甘いもストレートにぶち込んでくるのが本作です。実体験があるかどうかはさて置き、誰しもが懐かしさを感じてグッと引き寄せられる導入部分に注目してください。

プラスαがエグすぎる展開

おかえりアリス
Ⓒおかえりアリス

最近の漫画を読んでいると斬新な発想でもって、実に読み手の興味を引くような初期設定が多いじゃないですか?それこそ恋愛漫画にしても、単純に恋愛するだけじゃ味気ないと言わんばかりに、プラスαを取り入れているケースが多いような気がします。

で、本作にはどんなプラスαがあるかと思ったら、これがまぁエグい。作者が押見修造氏ということで、単純な分かりやすい物語ではないだろうってことが簡単に想像できるんですが、それにしても変化球すぎて驚きを禁じえません。

そして青春時代の影の部分で飛び交っているようなキーワード、当時想像していたけど誰にも明かせなかった妄想のようなものまで、明け透けに描かれているっていうのが本当にすごい。

物語の行く末、結末がどのような方向に向かうのか

おかえりアリス
Ⓒおかえりアリス

「男子は学ラン、女子はスカート」みたいな価値観はもう終わってきているようで、実際に小学生のランドセルの色だって変わってきてるんだから「もう好きなの着りゃーいいじゃん」って思ったりもするんですが…。

やはり男子生徒が女子生徒の格好をしてたらまだ好奇の目に晒されるような気がします。そして僕なんかの場合は「そういう人もいるんだから対応を間違って失礼になっちゃいけない」と考えて、不自然なくらいに距離を取ってしまうような気も。

いずれにしても「仲の良かった幼馴染と高校で再会したら女の子のような見た目になっていた」ってだけでも十分な要素なのに、そこからさらに「初恋の男子生徒と高校で再会したら女の子のような見た目になっていた」っていう展開も同時に進行されます。

何がどうなればハッピーエンド(もしくはバッドエンド)なのかも全く想像できません。先の見えない展開こそが、本作最大の見所です。

おかえりアリス コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

本作は「中学時代に幼馴染の男の子が自分の好きな女の子と深い関係になっていて、それに腹が立って無視をしていたらある日突然転校してしまい、高校で再会したらその幼馴染の男の子が女の子みたいになっていた」的なスタートを切る物語です。

いわゆる「男の娘」みたいな展開なのかな…。ただ、この手の人たちって細分化されてるじゃないですか?だから「女性らしい格好が好きなだけで、心も身体も男性」ってパターンもあるし、もしかしたら「身体は男性だけど心は女性」っていうトランスジェンダーかもしれません。

とりあえずちょっとアブノーマルな三角関係があって、分かりやすいんだけど複雑というか、今までに見たことがない複雑さなんですよね。それでいて現実にこのようなシチュエーションになったとしたら下手に首を突っ込むことはできないだろうってこともあって、野次馬気分のような感じで興味を惹かれてしまう部分も大きいです。

押見修造ワールドが好きな人には文句なしにおすすめ。あとはちょっと歪な青春時代を覗いてみたいって人にもおすすめします。

あとがき

僕は一応男ですが男はもう降りました。