普通にタイムスリップできる世の中になったとして、パラレルワールドじゃなければ過去の行いが未来に反映されて、最悪「自分の存在が消滅してしまう」みたいなことも考えられるでしょう。
本作はそんな感じの物語で、未来人がトラブルによって現代に降り立つこととなり、現代に干渉しないようにしようとする日常生活を描いたコメディーです。というわけで今回は、やわらかSFと呼ばれる新ジャンル漫画「おとうふ次元(全3巻完結済み)」を紹介します。
おとうふ次元のあらすじ
21世紀日本に漂着した未来人ジン・トライ。過去の歴史に干渉しないため、ひっそりと暮らそうとするトライに野蛮な旧世紀(=現代)の文化が次々に襲いかかる! 新ジャンル「やわらかSF」誕生!!
おとうふ次元の見所をチェック!!
未来人が現代に干渉しないようにする物語
未来人がちょっとしたトラブルで現代の日本に漂着してしまい、迎えが来るまでおとなしく待っているという日常生活を描いたコメディー漫画です。現代のことを野蛮な旧世紀と評しているくらいめちゃくちゃ進んだ未来の技術を持っていて、未来人でも現代でのコミュニケーションに困ることはありません。
例えば誰かに話しかけられることがあっても、その場で適切な答えをはじき出せる能力を持っているので、ジェネレーションギャップに困ることもないっていうね。この最先端技術のおかげで未来人であることを疑われずに済むというわけです。
例えばコンビニで「カードはお持ちですか?」と聞かれ、そんなやり取りを経験したことがない人からすれば「カードを持っていないことは問題なのか!?」みたいにうろたえてしまうこともあると思います。そういうのをかわせる能力を持った未来人の一つ一つの行動が、ちょっと面白いものになっているので注目です。
とんでもないバタフライエフェクトが面白い
現代人からの質問に対して最適解を見つけることができる主人公ですが、現代で主人公が取る行動によって未来が変わってしまう可能性があります。これは絶対にやってはいけないこととされていて、だからこそ「周りに干渉せずにただ迎えが来るのを待つことが重要」なんだけど、案外それは簡単なことじゃありません。
例えば引っ越してきたばかりの主人公を見かねて、大家さんが食事を振舞ってくれたりするわけです。ここで肉じゃがを出されてそれを残してしまった場合、大家さんが女性としての自信を失って子孫を作れなくなるリスクが発生するんだとか。
で、子供が一人減ると将来的に300人ほどの子孫が減ることになり…みたいなスケールのでかい話になるみたいです。こんな感じのちょっと考えすぎな思考というか、心配性な感じがめちゃくちゃ面白いので注目してみてください。
未来人からすれば違和感だらけの現代の風習
おそらくずっと先の未来には新聞なんて無くなってるだろうから、未来から来た主人公からすれば「新聞の勧誘」は底知れぬ恐怖を感じるというか、もはや意味が分からないのではないかと思います。
僕も実家にいた頃は新聞の勧誘をされたことがありました。そしてなぜ洗剤を付けるのかってマジで意味が分かりません。こんなの現代に生きている僕でも分からないのに、未来人が分かるわけないでしょ。
こういうジェネレーションギャップが非常に面白いです。時代の先を行ってるわけだから時代遅れってわけじゃないんだけど、現代の当たり前に対して対応できないというか難しく考えすぎてしまう感じがめちゃくちゃ面白い作品だと思います。
おとうふ次元 全3巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
ほんの些細な行動が未来に大きな影響を与えてしまうため、それを防ぐためにおとなしくしていようとする主人公の様子がめちゃくちゃ面白い全3巻でした。未来人からすれば現代の当たり前も不可解なことばかりだし、そういうものの幾つかは僕らからしても上手く説明できないようなものだったりするのも面白かったです。
コメディー要素があふれていてSFとしても楽しめるのに、最後はなんかちょっと良い話で終わったっていうのもお見事。この一冊でいくつものお楽しみ要素があるので、非常にコスパが優秀な作品だと思います。
アドベンチャーゲームとかノベルゲームとかで、色んな選択肢を試行錯誤するような楽しみに似ていると思いました。日常生活において「あーでもない、こーでもない」という面白要素を堪能したいという人におすすめです。
あとがき
「妖怪のせい」の次は「水の呼吸」かな。