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「さよならフットボール」を読んだ感想・レビュー

 

サッカーとか野球に関しては、女子だけでチームを作る難しさというのがあるせいか、割と「男子に混じってプレイする」的な漫画も少なくないように思います。もちろんそれは幼少期の話。

やっぱ成長期にもなると、少しずつ自分が女性であることを認識して、周りの男子の身長が伸びてきたり、身体能力が高くなっていく様子を見て、言葉にならない感情を抱くことは想像に容易いじゃないですか?

小学校の頃はそんなに差はないのに、中学校で一気に差が開いちゃう感じ。女子サッカーって競技は確かに存在してるけど、サッカーとは別物だし、そもそも全ての中学校や高校に存在するような部活じゃないわけで。

そんな環境下でも、まっすぐサッカーをプレイする女子の物語がまさかこんなに熱いとは。というわけで今回は、サッカーに捧げた女子の青春が熱すぎる「さよならフットボール(全2巻完結済み)」を紹介します。

 

 

さよならフットボール あらすじ

 

体格に勝る男子と交じり、ひたむきにボールを追う。誰よりも理想のフットボールを求め、試合に出ることを渇望する少女、恩田希。14歳の少女の青春は、ある一人の少年との「再会」によって加速する――

本作は男子に混じってサッカーをプレイする女子の物語です。「さよならフットボール」というタイトルにもあるように、徐々に開いていく男子との体格差を感じたりして、中学生でサッカーを諦めるという感じなのかなぁと思いきや、ちゃんと続編があります。

 

 

「さよならフットボール」は全2巻で綺麗に完結し、物語は「さよなら私のクラマー」へと続きます。こっちは高校女子サッカーが舞台となっていて、相変わらず面白いのでこちらもおすすめ。

 

さよならフットボールの見所をチェック!!

新人戦に出たくても出られない焦燥感

 

男子がデフォの競技において、実力があるからと言って女子を出すのはいかがなものか。自分が中学生の時のことを考えたら、女子とガチで勝負しろって言われても、やっぱ気を遣っちゃうよね。万が一にも怪我をさせるわけにはいかないし…。直接的な接触の無いテニスとか卓球ならまだしも、サッカーとかバスケは厳しいと思う。

かと言って、同じ部活に所属していて同じように練習をしているイチ部員を「特別扱いすんのもどうなの?」って部分もあるし、このあたりは読者側も色々と考える部分が出てくるはずです。ただ、やっぱ相手が女子だと接触プレイは避けないといけないって思う選手も出てくるだろうし、勝っても負けても何らかのしこりが残りそうな気もしないでもないっていう。

多感な時期なだけに「出してやりゃいいのに」って思う反面「やっぱ難しいよな」って思ったりもします。どっちも間違いじゃないだけに、本作では部長や監督がどういう判断を下すのか、このあたりも注目。

 

力の差を認めたくない意地と現実

 

一般的に、女子よりも男子の方が骨格も大きいし、それに搭載できる筋肉量も大きく、フィジカルの面で非常に有利です。だからほとんどのスポーツで、男子と女子が分かれているわけで…。

しかしながら、本作の主人公にも意地があって「フィジカルは全てじゃない」「それだけで男の方がレベルが高いって言われると否定したくなる」という感情を持っています。

たぶん中学生ってそういう時期なんだと思いました。小学校の時ってまだそんなに男女に体格差はないし、なんなら女子の方が大きかったりもするし。それが一気に越されちゃうことに関して、スポーツ女子は焦りを感じるんだと思う(特に男子に混じってプレイしている場合は猶更)。

でも簡単に諦めるわけでもなく、自分に出来るプレイを模索して努力していく感じが読者に刺さらないわけがない!内に秘めている闘志という意味では、普通のサッカー漫画よりもむしろ熱いくらいです。

 

ライバルとの戦い

 

本作にはライバルも登場します。昔は金魚の糞みたいに付きまとってきて、同級生ながらにも弟のような感じで可愛がっていた泣き虫な男の子が、気付いたら自分よりも大きくなってるし、もっと言うと「自分のことを呼び捨てにしてきた」くらいの変貌ぶりを遂げたライバルです。

そんなライバルと戦うために試合出場に固執していたわけですが、その背景も熱すぎて物語にグイグイ引っ張られていくことになるかと。もちろん成長したライバルに勝てるかどうかって部分も見所だけど、ライバルがどれだけ努力してきたかとか、同じピッチに立つことを許してもらえるのかとか、色んな角度からの楽しみが用意されています。

 

さよならフットボール コミックス全2巻を読んだ感想・レビュー

個人的には「サッカーは好きだけど女子サッカーには興味がない」というスタンスなので、なでしこジャパンが優勝したっていうことも全く詳しくないんだけど、そんな僕でもさよならフットボールは面白かったです。

絵も綺麗でサッカーの描写にも見応えがあるし、心情風景が美しすぎて見応えありすぎ。青春時代ならではの葛藤とか、そういう部分もハッキリ見て取れるので、「自分の子供の成長を見守ってる感じ」って言っても過言じゃないくらいの熱量でした。

全2巻でサクッと読めるのもGOOD。ただし、本作を読んだら間違いなく続編の「さよなら私のクラマー」へと駒を進めることになると思うんで、その辺は覚悟して手に取った方がいいです。サッカー漫画としても、青春漫画としても良作で、老若男女問わずに読んで欲しいと思える作品でした。文句なしにおすすめ。

 

あとがき

フィジカルにとらわれていたのは私だ。

 

 

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