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「しっぽの声」を読んだ感想・レビュー

しっぽの声表紙
Ⓒしっぽの声

人間の子供を誘拐したらそれ相応の罪名になるじゃないですか?でも家族同然の犬を連れて行った場合は、誘拐とかそんなんじゃなくて窃盗になるそうです。

こういう事実を知るだけでも何とも言えない気持ちになると思うんだけど、本作は犬や猫を飼ううえで絶対に知っておきたい裏側にもスポットを当てている作品と言っても過言ではありません。

というわけで今回は、動物の悲鳴に耳を傾けるキッカケとなる作品「しっぽの声(連載中)」を紹介します。

著:夏緑, 著:ちくやまきよし, 著:杉本彩

しっぽの声のあらすじ

動物の悲鳴に耳を傾けて!!! 繁殖業者、生体展示販売、引き取り屋、殺処分………… ペット流通において、その命はどのように扱われているのか。誰かと共に生きたくて、生まれてきただけのペットが我々の想像を超える状況に置かれていることがある。声なき声に、力を与えるも殺すも人間。アニマルシェルターの所長を務める天原士狼と獣医師の獅子神太一は厳然と立ち向かう――

しっぽの声の見所をチェック!!

犬や猫に関する闇の部分にスポットを当てた作品

しっぽの声1
Ⓒしっぽの声

夏祭りや縁日などで行われる金魚すくいみたいなものに関しては「命を軽視している」という感情から、好意的に感じていない大人も少なくないと思います。でも犬や猫を取引するビジネスに関しては、金魚すくいほど批判を浴びることがないのは僕の気のせい?

本作は動物愛護団体にスポットを当てた作品で、ちゃんと飼育されていない犬や猫を保護したりする様子が描かれています。そもそも僕自身、飼い始めた犬や猫を途中で手放すっていうのは理解に苦しむんだけど、まぁやむを得ない事情もあるだろうからその辺はまぁいいです。

ただ、明らかに自分の目の届く範囲を超えてゴミ屋敷みたいな所で犬や猫を飼っている人もたまーにいるじゃないですか?「なんでそんなことすんの!?」って思ってたら、ちゃんとした闇がありました。本作はそういう闇部分にもスポットを当てている動物漫画と言っていいでしょう。

犬、猫との温かい触れ合いの物語

しっぽの声2
Ⓒしっぽの声

僕自身も猫を飼っていますが、初代の猫は海外に移住することになったという知人の猫を里親として迎い入れました。今の猫は二代目で山に捨てられていた子猫を拾ってきたんだけど、この子が亡くなったらもう猫は飼わないんじゃないかと思うし、仮に飼うことになったとしても里親として譲渡会などに行ってみることになると思います。

育児の一環としてペットを飼おうと思っている大人は少なくないはず。そんな時に子供の多くはペットショップでの購入を考えるんじゃないかと思うんです。別にペットショップを頭から否定するわけじゃないけど、ある程度ビジネスの裏側みたいなものを知っておいても損はないでしょう。

譲渡会は条件も結構厳しかったりするし、相性みたいな部分も見られたりするからなぁ。でも本作ではそんな譲渡会に関する温かい一面を覗くことも可能です。闇の部分も描かれているけど、それ以上に温かみのある部分も描かれているのでぜひ注目してみてください。

動物たちの殺処分について

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Ⓒしっぽの声

ペットショップで売れなかった犬・猫って最終的にどうなるんでしょうか。ここは色んなデマも飛び交っている部分だと思うんだけど、ペットショップでお金を出して買うってことを考えたら子犬や子猫、それも血統書付きの個体を選ぶ人がほとんどだと思います。

じゃあある程度大人になった個体が売れるのってどれくらいの割合か、売れなかった個体はどうなるのかが気になるのは自然の流れです。ここは人間の婚活市場とかを見ててもそうですが、データ化すると非常に残酷な部分が見えてくると言っても過言ではないでしょう。

そして人間と比べた時、罪人の死刑と動物たちの殺処分を照らし合わせたときに「殺処分の方法」って意外と知られていないんじゃないかと思いました。ここを多くの人に知ってもらうだけでも、動物たちに対する意識改革として大きな意義になるんじゃないかと。ぶっちゃけここは学校の授業でやってもらいたいくらいです。

しっぽの声 序盤を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

とにかく考えさせられる動物漫画という印象を受けました。いずれにしても本作を読むことで意識改革が行われることは間違いないでしょう。

僕は幼少期から親が「ペットショップでは動物を買わない」っていう教育方針で、その理由についてはちゃんと説明してもらえなかったんだけど、こういう一面を知っていたら素直に納得したんじゃないかと思いました。もちろんウチの親は言っても分からないって思ったのかもしれないけどね。

でもある程度大人になった犬・猫よりも生まれたての可愛い個体を欲しがる気持ちも分かるし、雑種とかじゃなくてちゃんとした名前の付いた個体を欲しがる気持ちも分かります。そういう感情とリアルを天秤にかけて色々自分なりに考えてみるってこと自体が、既に価値のあることに違いありません。

動物を飼っている人には当然として、これから飼ってみたいと考えている人たちの多くに読んでもらいたい作品です。

あとがき

金儲けの道具になるのは辛い。

著:夏緑, 著:ちくやまきよし, 著:杉本彩