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「イリオス」を読んだ感想・レビュー

イリオス
Ⓒイリオス

ギリシャ神話の神々について、そういう名前の召喚獣聞いたことあるなぁとか。あるいはパチスロ・ミリオンゴッドに出てくるなぁっていう程度の知識しかないにもかかわらず、ギリシャ神話って聞くと胸が躍ってしまうのは中二病か何かでしょうか。

ヤクザ漫画も今や単純にヤクザをやっていれば良いというものではなく、子守りしたりなど工夫を凝らさなければならない時代です。そんな中、まさかギリシャ神話に手を出してくるとは…。

というわけで今回は、ギリシャ神話をモチーフにしたアウトローヒーロー叙事詩「イリオス(連載中)」を紹介します。

イリオスのあらすじ

アウトローヒーロー叙事詩、開幕!! 亀松組の亀山パリスは、パーティーで出会った朱維屋会の幹部の妻・エレネを連れ去ってしまう。激怒した朱維屋会は、パリスを追うために“半神”と呼ばれる男・アキレスを呼び出し…。

イリオスの見所をチェック!!

国、勝利、美しい女のどれを選ぶか

イリオス
Ⓒイリオス

ゲームなんかでありがちな最初の餞別です。本作は主人公のパリスが「国、勝利、美しい女」のいずれかを手にして物語をスタートするところから始まります。これは優柔不断な人だと三日三晩悩んでもおかしくないくらい魅力的な提案ではないでしょうか。

個人的には「勝利があれば国や美しい女もいずれは手に入れられそう」って考えて、ほぼノータイムで勝利を選んでしまいそうですが…。自分なら何を選ぶか、そして物語の主人公であるパリスが何を選んだかを比較するのは単純に面白いです。

とは言えですよ。3つの選択肢を与えられてその中から選ぶっていう行為は、言ったらこの時点で「相手の手のひらで転がっている」わけですから、僕は物語の主人公にはなれないってことを痛感しました。この辺が掟破りな主人公のパリス、そしてそのパリスがどのような物語を作っていくのかに注目です。

ギリシャ神話×ヤクザというコンセプト

イリオス
Ⓒイリオス

タイトルがイリオス、そして主人公の名前がパリスということで、勘の良い人ならすぐに気付くかと思いますが、本作はギリシャ神話が一つのテーマになっています。そして主人公がヤクザの若頭(現組長の息子)ということで、極道漫画とギリシャ神話の融合と言っていいでしょう。

これまでにもヤクザが先生になったり主夫になったりっていう作品はあったし、ギリシャ神話の神々と歴史上の人物がバトルするみたいな切り口も見たけど、ヤクザ×ギリシャ神話は分かりやすい面白さがあるような気がしませんか?

ヤクザって聞くと男臭さが全面的に出てくるのに対し、主人公が中性的っていうギャップ。そして見た目に反して内に秘めている野望の大きさっていうのが、今後の物語のポテンシャルを表していると言っても過言ではありません。単純にバトル漫画としても面白く、ヤクザとしての勢力争いや腹の探り合いなんかにも見所がありそうです。

敵やライバルにもギリシャ神話の神々が登場

イリオス
Ⓒイリオス

もちろんギリシャ神話の恩恵を受けているのは主人公だけというわけにはいかず、対抗している組の中にもギリシャ神話に登場した神がいます。組同士の抗争に神が参戦するっていう大規模な流れです。

本作では「半分が人間で半分が神」という存在になっていますが、身体能力はもう完全に人間離れしていて、例えアサルトライフルを持ったヤクザが集まったとしても勝てないんじゃないかってくらいの能力を持っているっていうね。目には目を、神には神をっていう流れになるんだろうと思われます。

このバトルが見応えたっぷりで、確かに人間離れはしているんだけどまんま神っていうわけでもなく、程良いバランスで展開されているように思いました。テンポも良く、絵も見やすいので「これからどんな神が登場するんだろう」という楽しみも大きいヤクザ漫画です。

イリオス コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

掴みの「国、勝利、美しい女のどれを選ぶか」っていう問いかけから、既に心を奪われました。まるで初代ポケモンのような問いかけで、童心に戻って「自分なら…」みたいに考えちゃったっていうね。そして実際に主人公が何を選んだかっていう回答も百点満点だったんじゃないかと。

僕にとってギリシャ神話と言えば、ファイナルファンタジーの召喚で気になって軽く調べたことがある程度なんですが、その程度の知識でもワクワク感がハンパないです。ぶっちゃけどんな奴でもチート級の強さを持っているのは間違いなく、その辺は半分が人間っていう設定でうまくバランスを取っているのが上手いと思いました。

絵はちょっとベルサイユのバラを連想させるような、軽くエレガントさが漂うタッチの絵となっているものの、内容はゴリゴリのバトル漫画です。スピーディーかつ熱いバトルが楽しめるので、ギリシャ神話×ヤクザというコンセプトに魅力を感じるなら、読んで損はない漫画と言っていいでしょう。

あとがき

ヤクザ漫画も遂にここまできたか。