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「侠飯」を読んだ感想・レビュー

侠飯表紙
Ⓒ侠飯

ちょっと前まではヤクザを登場人物にした漫画と言えばドンパチやる抗争モノってのがセオリーだったのに対し、最近はヤクザが教師やってみたりサイキック少女と暮らしてみたり…。実に色んなジャンルのヤクザ漫画が増えてきました。

そんな中、料理が上手いヤクザってジャンルも確立されつつあるような気がします。意外と極道×グルメ漫画って多いんですよね、なんでだろう。というわけで今回は、家庭的なヤクザが作る男飯を描いたグルメ漫画「侠飯(全7巻)」の紹介です。

侠飯 あらすじ

侠飯1
Ⓒ侠飯

就活が上手くいかず自堕落な生活を送っていた主人公の若水は、コンビニに食料を買いに行った帰りにヤクザ同士の抗争に巻き込まれる。抗争は銃撃戦へと発展し、なんとかして命からがら助かったものの、今度はパトカーから身をひそめるためにヤクザ2人を家に上げることになってしまった。

ヤクザ2人は家に居座ることとなり、犯人蔵匿罪をチラつかされながら若水もこれを渋々了承するように。しかし嫌な事だけではない。そのヤクザが作る食事は格別に美味かった。

侠飯の登場人物

若水 良太

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Ⓒ 侠飯

本作の主人公。大学4年生で就職活動をしているが結果は芳しくない。ヤクザ同士の抗争に巻き込まれ柳刃たちと一緒に生活するようになってからは、食生活が一気に改善された。

柳刃 竜一

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Ⓒ 侠飯

料理が得意で綺麗好きなヤクザ。外見に反して非常に家庭的。警察から逃れるために、若水の住むアパートで暮らしている。

火野

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Ⓒ 侠飯

柳刃の部下で、柳刃を兄貴と慕っている。柳刃の手足となり抗争相手を調べたりするだけでなく、若水が警察に自分たちのことをチクらないかどうかも見張ったりしている。

侠飯の見所をチェック!!

誰でも真似できそうな即席メシが多い

侠飯2
Ⓒ侠飯

本作に登場する料理は第一に家ごはん。で、大学生が一人暮らしをしている家にあるような食材を使っての料理ってことで、お世辞にも豪華な食材とは言えないものが多いです。

でもそれこそが本作の魅力でもあり、特別な材料を使ったりしない家ご飯の究極系と言っていいかもしれません。普段の家庭料理に少しの手間と工夫を足すことで、見ているこっちが真似したくなるような究極の侠飯に昇華しているんですよね。

缶詰を使った即席めしも多いので、よく酒のつまみに缶詰を食べているという人なら絶対に読んで損はないです。誰かに振舞うようなオシャレ料理ではなく、家でサクッと自分のために作る料理のレシピが盛りだくさん!まさに侠飯!

ちょっとした豆知識が豊富

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Ⓒ侠飯

思わず「へぇ~」って言っちゃいそうな豆知識が多く、そのどれもが実用的な知識なのが嬉しいです。グルメ漫画の中には確かに豆知識が身に付く作品も多いんだけど、キャビアがどうたらトリュフがどうたら言われても僕なんか一生使うこと無さそうだし…。

でも本作に出てくる豆知識は家ごはんにまつわるモノばかりで実用的なので知っておいて損はないし、見方によっては私生活に役立つ雑学のレベルと言っても過言ではありません。一人暮らしをしている人とか料理が趣味だという人におすすめです。

ギャグ的な笑える要素

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Ⓒ侠飯

たまたま自分の家の前でドンパチやったヤクザが、警察から逃れるために部屋に上がり込んできて住み着いたっていうあり得ない初期設定からも分かるように、本作はツッコミ所が満載のグルメ漫画です。

ゆえに所々に笑える要素が織り込まれていて、クスッとさせられる場面が少なくなかったり。それでいてギャグ漫画ほど笑いにしつこくないっていうね。たぶん主人公がヤクザ相手に正面から突っ込めないからだと思うんだけど、このしつこくない笑いにニヤニヤさせられてしまいます。

基本的にはヤクザがやたら料理に凝っているってだけで面白いんだけど、それ以外にも見ていて微笑ましい場面も多く、読んでいて幸せになれる人も多いのでは?

侠飯を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

冴えない大学生の所に転がり込んできたアクの強い極道2人。見た目怖いし実際には怖いんだけど、主人公の生活に溶け込む速さがハンパないし、組長が作る料理はマジで美味しそう。

居候なのに態度が大きかったり、やたら料理に詳しい一面には思わずニヤけてしまう読者が続出するんじゃないかと思います。警察に追われているという背景があって、自然にお家ご飯になっているから再現性が高いのもありがたいです。

「んなアホな!」って言いたくなる展開も多いけど、ちょうど良いスパイスになっています。怖そうな組長だけどちゃんと人数分の料理を作ってくれる優しい一面もあって、今後どのような関係性になっていくのかが早くも気になりました。

全7巻を読んだ感想・レビュー

なるべくネタバレしないように書きますが、個人的には「そんな結末になんのかーい!」って感じ。もう物語の設定を全部ちゃぶ台返しされたというか、めちゃくちゃにされたような気がします。

でも「まぁこれも悪くないのかな」って思えるところが、本作の凄いところなんだと思います。最後なんかもう完全に泣くやつだし。部屋に転がり込んできたヤクザ2人との関係が、こんなにハートウォーミングなものになるとは…。

主人公の成長的なものも見られるし、主人公の目線に立って言えば結末に関しては大満足です。全7巻一気読み推奨。

あとがき

こんなヤクザなら家に来ても迷惑じゃないかも。いや、迷惑か。