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「前科者」を読んだ感想・レビュー

前科者表紙

 

みなさんは前科者って言われて、どんなイメージを持ちますか?普通に考えたら何の前科かによっても印象は大きく変わるので、前科者って言われただけだと何も想像できないのが正しいんじゃないかと思うんだけど、個人的にはものすごく悪いイメージを持ってしまいます。

だから身の回りにそういう人がいるなら、なるべく近寄りたくないというか距離を置きたいというか…。まぁ端的に言えばビビってるだけなんですが、そういう前科者と積極的に接していこうとする保護司の方には感服してしまいます。

というわけで今回は、保護司のリアルを描いた核心的人間ドラマ「前科者(連載中)」を紹介します。

 

 

前科者 あらすじ

現代日本のリアルを抉った核心的人間ドラマ

現代日本において再犯防止を考えるのは、必須の課題である。「罪を犯してしまった」者や「道を踏み外した」非行少年の社会更正の橋渡しをするのが、保護司の役目だ。保護司は法務省が委嘱する非常勤で無報酬の国家公務員であり、ボランティアである。

立場の弱い人間が抱える問題に、主人公である保護司・阿川佳代は真摯に対峙する。保護司制度の存続が危ぶまれている今、保護司に求められている姿とは何であろうか?本作は現代日本が抱える問題を掘り下げる本格ヒューマンドラマです。

 

前科者の見所をチェック!!

「保護司」が主人公のヒューマンドラマ

前科者1

 

タイトルは前科者ですが、前科者と接する保護司目線の漫画です。どっちかと言えば保護司ってタイトルのほうが適切なような気がしないでもないけど、エピソード毎に登場する前科者が主役みたいな部分も大きいので、まぁこの辺はどっちでも。

保護司とは「保護司法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員(本質的にはボランティア)」だそうです。内容を覗いてみると、ぶっちゃけ報酬があってもしんどい内容のように思えたので、ボランティアで保護司をやっている人の存在に興味を持たない人はいないんじゃないかと思いました。

しかも主人公は女性の保護司であるにも関わらず、殺人罪で服役していた男性の前科者を担当するという…。ちょっと不穏な空気を残しつつ、保護司がどのような形で前科者の力になっていくのかが大きな見所と言えるでしょう。

 

前科者に関わってくる様々な人間たち

前科者2

 

知らない人が実は前科者でしたっていうパターンだと、ちょっと恐怖を感じてしまうって人も多いだろうけど、昔から知ってる人が前科者になったっていうパターンだと、色んな人が寄ってくることが想像できます。

場合によっちゃ「俺の知り合いは人を殺してるんだぞ!」みたいに虎の威を借りる狐みたいな奴も出てくるだろうし、仮釈放中ってことを逆手にとって嫌がらせをしてくる奴もいるでしょう。無報酬で保護司をやっている人間もいれば、仮釈放中の前科者に対して酷いことをする奴もいるわけです。

普通の人は腹が立っても人を殺したりはしません。その一線を越えた前科者と、それを無駄に煽る第三者と、同じ過ちを繰り返させないように努める保護司。人間の良い部分と悪い部分がごちゃごちゃになっていて、複雑なテーマに心を揺さぶられることでしょう。

 

美談にならないリアルなクオリティ

前科者3

 

「自分の兄を殺した男」って言われたらただの最低野郎だけど、「婚約寸前の女性をレ〇プした兄を殺した男」となれば印象は大きく変わってきます。そして婚約寸前だった女性にとっては「自分のためにレ〇プ犯を殺してくれた人」にもなるわけです。

で、その後で婚約を解消するのかどうかを含め、気になるのは「前科者になっても愛は冷めていないかどうか」という点。もし愛情がなくなったら突き放せばいいだけで、現実にはこのパターンが多いんじゃないかと思います。ただし、出所までずっと待ち続けていたパターンがあるとして、それを漫画やドラマにするのであれば絶対に美談になるように話を持っていくと思うんです。

本作においても「今度は私が悪者になる番」みたいな感じで自分の本心を隠すというシーンがあるんですが、全然美談になってない。それどころか「むしろ逆効果じゃね?」くらいに思えます。この辺にすごくリアリティがあって、作られたヒューマンドラマっていう感じがしないのも本作の魅力です。

 

前科者 コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

まず保護司という仕事がボランティアということに驚きました。自分だったら絶対にやらないので、そういう献身的な人の考えを覗いてみたいっていう興味もそそられるし、あとは単純に「どんな犯罪者とどんな感じで接していくのか」みたいなゲスい興味もあります。

コミックス1巻では1人の前科者と接する一部始終が描かれていたので、1巻1人のペースなのかもしれません。いずれにしても何の前科を持っているかによって物語の雰囲気はガラっと変わるだろうし、何より「無事に保護司としての務めを終えることができるとは限らない」というハラハラ感も大きいような気がしました。

楽しみって言ったら語弊があるかもしれないけど、保護司に対して感謝というよりウザいと思う前科者も出てくるだろうし、素直に言うことを聞かない前科者も出てくることが予想されます。何より服役中に「あいつは絶対に許さねぇ」くらいの復讐心を持って仮出所してくる奴だっているかも。

そういう人たちに対しても毅然とした態度で向き合うことができるのか。個人的には多少のお金を貰えたとしても割に合わないと思ってるけど、それを無報酬でできる主人公のバックボーンみたいなものにも注目しています。

 

あとがき

前科者も色々。

 

 

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