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「エスニシティ ゼロワン」を読んだ感想・レビュー

 

これまでにも人類の歴史において「革命」と呼ばれるものが何度か起きてきたわけですが、それの近未来バージョンのようなものがこちら。「人間にとって害であるものを排除し続けて、果たして本当に幸せになれるのかどうか」的な、ちょっとした哲学的な教えも感じるんだけど非常に身近な世界観のような気もします。

普段の行いがすべてポイント管理されていて減点されると様々な罰や規制を与えらる…。そしてポイントがゼロになると世界の外側に追放されてしまうという世の中に、あなたなら住んでみたいと思いますか?というわけで今回は、ポイント管理された世の中を描いた作品「エスニシティ ゼロワン(全3巻完結済み)」を紹介します。

 

 

エスニシティ ゼロワン あらすじ

大規模な気候変動の後、人々は悪環境から人類を守るために囲郭都市を作りあげた。そこでは市民は厳格に管理され、少しでも秩序を乱すような者は囲郭都市から追放されてしまう。しかし、追放された人々は空白地帯と呼ばれる外界で生き延び、この世界の在り方に疑問を持つようになった。

 

エスニシティ ゼロワンの見所をチェック!!

陰謀論などで囁かれそうな謎めく世界観

 

本作は簡単に言うと「秩序に守られた都市があって、そこで悪いことをすると都市から追放されてしまう」って感じの話。市民ポイントってのがあって主に減点制です。秩序に守られた都市って聞くと何となく良さげな感じもするけど、某国のように「政府によって都合の悪い言論者なんかも封殺される世界」って考えたら色々複雑に感じませんか?

日本でも昔、お上に逆らえないように刀狩りをしたって歴史があるように、秩序を守るためには武器の存在は不要ってことで持つことは当然許されないとして、何なら「見ただけで拒絶反応を示す」ように管理されていたりします。

「今見ている世界が、果たして本当に良い世界なのか」と問いかけられているようで、読者の数だけ思うところが出てきそうなストーリーです。

 

デスブリンガーという存在

 

元々は囲郭都市と呼ばれる都市で生まれ育ち、その過程で空白地帯と呼ばれる外の世界に追放されるかどうかという感じなのですが、その境界にはデスブリンガーと呼ばれる機械が人の行き来を禁じています。

この存在が非常に不思議かつ不気味なものになっていて、ちょっとでも興味本位で囲郭都市の外を見に行こうとしようものなら、デスブリンガーによって液体プラスチックで固められてしまうという感じ。

確かに「秩序を乱したもの=追放」であるなら、外の世界からの反乱分子に備えるという意味でもデスブリンガーのような存在は必要だと思うけど、こういう存在に守られているってだけで本当の意味での平和ではないような気も。

「デスブリンガーを作ったのは誰なのか」「本当に囲郭都市を守るためだけの存在なのか」とか、こういう部分を考えながら読むと、本作をより深く楽しめるんじゃないかと思います。

 

外の世界がどうなっているのか

 

ぶっちゃけ本作の漠然としたイメージは「秩序を乱した者が島流しされた」みたいな部分があるんで、外の世界がどうなっているのかについて興味は尽きません。もちろん犯罪者集団と化してヒャッハーな世界である可能性は高いです。もしかすると「空白地帯のみんなが手を組んで、囲郭都市を襲撃しよう!」くらいに思ってるかも。

ただ、もしかすると囲郭都市ではポイント管理されて保たれている秩序が、外の世界ではモラルだけで保たれているって可能性もあります。罰則ありきで保たれる秩序よりも罰則なしで秩序が保てるのであれば、それに越したことはないじゃないですか?

そもそも誰がどんな目的でこんなシステムを作り上げたのか。そして外の世界はどのような形で作られているのか。この辺も非常に見応えのある要素です。

 

エスニシティ ゼロワン コミックス全3巻を読んだ感想・レビュー

個人的には「目に見えるものだけが真実じゃない」って考え方が非常に好きで、それこそ政府の陰謀論とか、信じる・信じないは別にして面白いって思うんだけど…。本作の世界観はまさにそんな感じ。

ちょっとでも都市の不都合になりそうな行動は禁止したり、ポイントが満点なら物資が無料、ポイントが減ると色んな規制を受けるっていう飴と鞭。なんとなく無機質な世界です。

それでいて気になる部分が徐々に明かされていく爽快感というか、満足感みたいなものがあります。「誰が何のためにポイント制度を導入したか」っていう部分とか「ルールを破ったら空白地帯に行くことになるって言うけど、それって罰になっているのか」とかね。

題材としてはすごく面白い感じだったと思います。これまでの歴史で「革命」と表現されてきたものの近未来バージョンという感じで、割と遠くない未来のシナリオとして読めるんじゃないかと。

一方で全3巻のボリュームで上手くまとまらなかった感も感じます。もうちょっと掘り下げて欲しい部分が手付かずで残されていたりして、個人的には質問コーナーとか設けて欲しいくらい。決して打ち切りみたいな中途半端な感じで終わってこそいないものの、説明不足に感じる部分はあったかなぁ。そこが少し残念です。

 

あとがき

島流しされた先の島が楽園である確率もゼロではない。

 

 

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