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「シノビノ」を読んだ感想・レビュー

 

これまでにも忍者を題材にした漫画作品は数多く見てきました。ファンタジー色が強くて完全なるファンタジーのNARUTOも好きだし、少し現実に寄せている感じもするバジリスクも好きだし…。

でも、完全に歴史そのものを描いていなくても、歴史上のifのようなものが描かれていると、なんだか勉強した気にもなりますよね。これが、なかなか面白いです。というわけで今回は、日本最後の忍びと名高い沢村保祐の姿を描いた歴史ファンタジー「シノビノ(全6巻完結済み)」を紹介します。

 

 

シノビノ あらすじ

 

忍者といえば誰を思い出すだろうか。猿飛佐助?服部半蔵?風魔小太郎?いずれにしても名が挙がるのは、戦国時代を中心に活躍した忍びではないだろうか。

本作で描かれているのは老忍、それも日本最後の忍びと名高い沢村保祐である。沢村保祐の半生にファンタジー要素を加え、迫力満点に描いた「シノビノ」。忍びにとっては時代遅れとも言われる幕末を舞台に、日本最後の忍びが暴れまわる。

 

シノビノの見所をチェック!!

歴史好きが唸る題材の数々

 

本作は幕末を舞台に描かれている作品なので、これまでの作品で言えば新選組なんかがスポットの当たった作品が多かったように思いますが、忍び目線で描かれる幕末ってのもなかなか斬新ですね。

例えばコミックスの1巻(というより1番最初のエピソード)では、黒船来航がテーマとなっています。黒船来航なんて学校の授業じゃ「ペリーが開国を迫った」くらいの感じでしか教えてもらわなかったように思うんだけどなぁ…。

Wikipediaみたら確かに沢村保祐っていう忍びが暗躍したという記録があるようです。僕は歴史に詳しくないから史実と比べてどれくらい盛られているのかはわかりません。でも自分の知らない歴史を覗けるのはめちゃくちゃ楽しいです。

 

カッコイイ演出が多彩

 

例えば忍びがどこかに侵入するとしたら、もう完全にコソコソして入っていくと思うじゃないですか?メタルギアソリッドとか天誅とかもステルスゲーだったし、いかに見張りの目を避けて忍び込むかが重要だと思ってたんだけど、時には大胆にいくことも重要だと思うわけで。

例えばマジシャンの手品なんかもそうだと思うんです。「バレたらどうしよう」的な気配を微塵も出さないから人は騙されるじゃないですか?

そういう意味では、本作で描かれる忍びっていうのは時に大胆に動きます。花火が上がっている最中の盗みが多いように、意外と大胆にやることの方がバレないんですよね。そういったコソコソするのと大胆にすることのコントラストがハッキリしていて演出が巧みに思える作品です。

 

メンタリストも驚きの駆け引き

 

昔、はじめの一歩っていうボクシング漫画で、試合中にわざとよそ見をするっていうシーンがあったんだけど、これは挑発でも何でもなくて「相手がよそ見をすると釣られてそっちを見てしまう」という人間の習性を利用しているらしいです。

確かにそういうの分かるじゃないですか?マジシャンのミスディレクションの掛け方みたいな。「油断しないように…」って思っていれば思っているほど、ちょっとした隙を作ってしまうこともあるでしょう。

そういう見せ方が非常に秀逸です。マジックとかを見ていて「あれ?いつの間に?」なんて思わされる瞬間が好きだという人なら、ぜひ見て欲しいシーンが多々あります。

 

シノビノを読んだ感想・レビュー

コミックス1巻を読んだ感想

表紙を見た感じではゴリゴリのアクション漫画かと思ってたけど、意外と演出がこっていてすごく見応えのある作品だと思いました。忍びらしさが随所に溢れていて、もちろん戦闘能力は高いんだけどそれだけじゃないんですよね。

良く言えば「虎視眈々とチャンスを伺うしたたかさを持っている存在」で、悪く言えば「物語の主人公にはあるまじき卑怯な感じ」って言うのかな。

ただ、歴史に詳しい人だと「沢村保祐ってそんなんじゃねーし」って言いたくなるかも。僕は全然名前を聞いたことがなかったから、色んな発見ができて面白い作品だと思いました。歴史の一説を楽しむという目的でもいいし、忍者が題材になっている漫画とかアクション漫画が好きな人におすすめです。

 

全6巻を読んだ感想

主人公がじーさんっていう要素を、存分に発揮した忍者マンガだと思いました。すっごい強いじーさんだから逆に新鮮味が出るし、衰えみたいな話が出てくるとやっぱ構えちゃうよね(もちろん良い意味で)。

人情劇みたいな部分もあって、登場人物の感情を考察したくなる瞬間も度々訪れるし…。絵も上手だし、忍者モノとかチャンバラが好きな読者なら、漏れなく夢中になるんじゃないかと思います。

全6巻っていうボリュームもあっという間で、本作は「〇〇編」っていう見方をすれば、何本かのストーリーが全6巻にまとまってるって感じなんだけど、最初の黒船編に結構なボリュームがあるんで、個人的には「黒船編くらい長尺のエピソードをまた読みたかった」っていう気持ちも。

それでもちゃんとした結末も堪能できるし、主人公を始めとする登場人物たちが魅力にあふれていて読んで良かったなぁと思える作品でした。次回作にも期待しています。

 

あとがき

忍者すっげーカッコイイ。

 

 

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