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「チェンジザワールド―今日から殺人鬼―」を読んだ感想・レビュー

 

ふとしたことがキッカケになって、お互いの中身が入れ替わってしまう的な物語は、割と既視感あるネタだと思う。でもその大半が「入れ替わって得をする」という流れになっているのでは?

もちろん片方が得をするのであれば、もう片方は損をしているってことなんだけど、得をする側の目線で語られることが多いから、そう感じてるだけかもしれないけど。ただ、これが「一見すると得したように見えるけど、実は得してない。それどころか、むしろ損してんじゃね?」って初期設定は斬新すぎるような気がします。

今回紹介するのは、そんな斬新な入れ替わり系ストーリー「チェンジザワールド―今日から殺人鬼―(全5巻完結済み)」です。

 

 

チェンジザワールド あらすじ

 

斎藤唯一(ゆいち)は23歳になり、何もない空っぽな自分自身を悲観していた。唯一の意味は「ただ1つで他にないこと」を指しているのに、そこから名付けられた自分はありふれた存在であるからだ。そして唯一は自分自身の人生に終止符を打つべく、死に場所を探して旅に出る。辿り着いたのは廃墟と化したラブホテルだった。

そこで首を吊ろうと思い準備をしていると、その部屋にはヤクザのような男が倒れており、近くには拳銃も落ちていた。拳銃を拾い上げた瞬間、背後から近付いてきた警官らしき男に声を掛けられ、思わず発砲してしまう。

唯一は病室で目が覚めた。しかし、なんだか周りの様子がおかしい。鏡を見てみると、そこには自分の顔とは全く異なる、イケメンの姿が映し出されていた。

顔だけではなく、すべてが完璧なエリート刑事・光宗朔太郎へと変身を遂げた唯一。これまでの人生とは180度違う華やかな人生を歩めることに喜びを感じたのも束の間、光宗にはとんでもない秘密が隠されていたことを知る。

 

チェンジザワールドの見所をチェック!!

究極の二択に似てる境遇

 

誰しもが経験のある「究極の二択」ってあるじゃないですか?よく言われるのは「う〇こ味のカレー or カレー味のう〇こ」ってやつ。今の自分が嫌な人にとって「あいつみたいな顔に生まれていればなぁ」とか、1回か2回くらいは考えたことがあると思うんです。まして中身が入れ替われるって言われたら、大半の人が候補に何人か思い浮かぶんじゃないかと。

例えばですけど、今をときめく人気者に入れ替われるとして、何の条件もなければ「ぜひ入れ替わりたい!」っていう人も少なくないでしょう。ただ、そこに究極の条件を入れたらどうなるかって話です。

例えば「嵐の松潤になれる」って言われて、それを魅力的に感じる人でも、そこに「でも実は裏で愛人契約をしている変態ホモプロデューサーに抱かれなければいけない」とか言われたら、結構悩みませんか?

 

あとは「人気者でイケメンでお金持ちで…。でも殺人鬼として警察に追われている存在だった」とか。美味しい思いが出来る反面、自分がやってない罪で捕まるリスクが出てくるって言われたら、結構な割合の人が躊躇するんじゃないかと。

中身が入れ替わるって前提があるからリアリティはないんだけど、変な部分でリアルというか生々しくて面白い初期設定が素晴らしいと思います。

 

周りに別人であることをバレないように生きる難しさ

 

他人と入れ替わってまず心配になるのは「周りの人間にバレやしないか」という部分。どんなイケメンと入れ替わっても、その周りに悟られたら一巻の終わりだし…。

というか、冷静になって考えたら「バレないわけがない」と思いませんか?自分の身の回りでも、明らかに人格が変わった人がいたら異変に気付くでしょ。

とは言っても、さすがに「まさか中身が入れ替わった?」なんて思うことはないわけで…。でも疑われないように振舞う必要はあるわけで。その辺の難しさも大きな見所です。

 

入れ替わった相手(見た目は自分)との再会

 

誰かと入れ替わった時、自分は「このままいたい/元の身体に戻りたい」という二択から選ぶことになると思います。もちろん相手の意思も重要なわけで、元の身体に戻るにしたって方法が分からないってことになるけど。

本作では身体的な能力は体の方に依存するようで、光宗の身体を手に入れた唯一は「運動音痴だった自分が、驚くほどの身体能力を手に入れた!」という感じになってるんだけど、肝心な思考の部分は本人の人格依存です。

 

つまり相手は「エリート刑事としての知能と記憶を持っている、外見が変わった光宗」ということであり、刑事時代に弱みを握った相手に対しては常に優位に立てるということになります。

こうなるといくら身体能力が低くても脅威だよね。まして「相手の弱みを握って好き勝手やってた人物」とかが自分の中に入ってきたら、自分の周りにいる人が傷付けられていく可能性とかあるし。

とりあえず「相手はこの現状をどうしたいのか」を知るべき。というわけで、相手の入院先に会いに行くわけだけど、そこで万が一「俺が本当の光宗だ!」とか言い出したらどうなるんでしょうか。とにかく息の詰まる展開が続くので、手に汗握る緊張感のあるサスペンスが好きな人にはぜひ読んでみて欲しい。

 

チェンジザワールド コミックス1巻を読んだ感想

個人的には「ドラゴンボールのギニューがカエルになった後、どういう人生を送ったか」みたいなアナザーストーリーも気になるくらい、やっぱ「人と人とが入れ替わった時、得をする側がいれば損をする側もいる」って部分が気になるので、本作は結構ツボです。

いくらイケメンで大金持ちと入れ替わっても、そいつがシリアルキラーだったって展開を考えたら鳥肌が止まらないっていうか。「捕まったら死刑じゃね?」的な。最初は死に場所を探していたくせに、なぜか知らん奴の罪を被って死ぬのは嫌だって思う気持ちも分かるし、すっげー面白い。

 

一方で「シリアルキラーなんて息をするように殺人をする奴だろうから、入れ替わった先の自分の姿でもまた好き勝手にやるんじゃねーか?」って不安が出てきたりもして、周りにバレないかという不安だけじゃなく、自分の本体の方は大丈夫かなって不安もありつつ、息の詰まる展開が最高です。

学生ならまだしも社会人になって中身が入れ替わるって話だと、境遇とかでも苦労しそうだもんなぁ。その人の仕事のスキルとか、実際にやってないと分からないでしょ。まして急にエリート刑事になったとしたら専門用語とか分からないだろうし、絶対に墓穴掘りそう。そういうハラハラ感にも期待してます。

 

あとがき

昔はよく「美少女に生まれ変わりてぇ」って考えたけど、中身が男ならそれはあまり美味しくない気もする。

 

 

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