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「あたりまえのぜひたく。」を読んだ感想・レビュー

あたりまえのぜひたく。表紙
Ⓒあたりまえのぜひたく。

贅沢にも色々あると思うんだけど、僕が思ってたのと本作で描かれているのはちょっと違うやつでした。世間一般的には贅沢って敵のように思われてると思うんです。それこそ金持ちがその様子をSNSにアップしようもんなら、炎上しそうなやつっていうのかな。

でも本作で描かれている贅沢は絶対に炎上しないし、すごく素敵な贅沢と言っていいでしょう。というわけで今回は、料理したいと思わされてしまうほどの素敵な贅沢を描いた料理漫画「あたりまえのぜひたく。(連載中)」を紹介します。

あたりまえのぜひたく。のあらすじ

「なんでこんなに美味いんスか!? なんも言うことないっス!!」と叫んでしまうこと間違いなし。普段日常が美味しすぎる、こだわりグルメ漫画家のコミックエッセイ!! 累計発行部数100万部超えの大人気グルメコミック『おせん』シリーズの作者が描く初のコミックエッセイ。これまで15年以上にわたって料亭の女将を主人公にしたグルメ漫画で料理の神髄を追求してきた「きくち正太」。当然のことながら、料理に対するこだわり、技術や知識も半端ありません。普段日常こよなく酒を愛し、ひと手間かけた料理とともに客人との会話を楽しむ……そんな彼の私生活が美味しくないわけないですよね!! 「きくち家」でいただいたメニューの数々が収録された垂涎のコミックエッセイ。「今宵は、ちょっと料理してみようかな」と思わせること間違いなしです。

あたりまえのぜひたく。の見所をチェック!!

贅沢にあって贅沢にあらずな料理漫画

あたりまえのぜひたく。
Ⓒあたりまえのぜひたく。

グルメ漫画で当たり前の贅沢って言われると、給料日の次の日とかボーナスが入ったらちょっと良い所に外食しに行くとかそんなんかと思ってたけど、全然そういう感じじゃありませんでした。

日常生活で些細な気配りや心持ちをすることによって、普段の食事が少し贅沢に感じられるようになるという…ただそれだけの料理漫画です。でもこのシンプルなコンセプトがめちゃくちゃ良い!!

まして登場人物たちが「1800円のカレーそばが美味しい」と言いつつも、間髪入れずに「だってカレーよ、カレーそばよ」って言い放つ感じがたまりません。個人的には台無しって言ったらアレだけど「そういう高級な感じをカレーに落とし込むからこその贅沢じゃないの?」って思ったりもしたんですよね。

でも本作で描かれている贅沢は、すごく素敵な贅沢で誰もが真似できる感じになっています。この適度に「だって〇〇よ」っていう感性、めちゃくちゃ大事です。

各家庭で作れる料理が盛りだくさん

あたりまえのぜひたく。1
Ⓒあたりまえのぜひたく。

じゃあ本作の作者さんたちが考えるカレーうどんがどんな物かって話なんだけど、全然特別なことはしていません。もちろん手間はそれなりに掛かってるけど、わざわざこだわりの食材みたいなものは持ち出してないし、使用する材料を見ても一般家庭のキッチンに揃ってるものばかりです。

個人的にカレーってルウで作るのが一般的で普通だと思ってたけど、もしかしたら世の中には「カレー粉から作らないのは手抜き」って思ってる層も少なくないんだろうか…。もちろん本作で登場するカレーうどんにはカレールウやレトルトカレーなんかを使用したりしないし、もっと言うとめんつゆも手作りでした。

そして徹底的にこだわり抜いて作られたカレー味の出汁に対して、投入するのがまさかの冷凍そばっていうね。僕からしたら「そこは手打ちじゃねーのかよ!」って思ったけど、これが本作のめちゃくちゃ良い所です。贅沢に対するハードルが低く感じるのに満足感は贅沢そのもの!これは真似しないともはや損と言っていいレベルでしょう。

こだわりが強い贅沢の数々

あたりまえのぜひたく。3
Ⓒあたりまえのぜひたく。

ちなみにめんつゆとかポン酢を自家製して使ってる人ってどれくらいいるのか知らないけど、本作ではありとあらゆる部分にこだわりが用いられています。まさかポン酢まで手作りするとは…。

で、それも高級な昆布や果物を使うわけではなく、あくまで料理の引き立て役でしかないっていう考え方です。最初は「高級食材を使って出汁を取って~っていうのが贅沢なんじゃないの?」って思っちゃったけど、そういうのは富裕層に任せとけばOK。本作に描かれているそれは、僕でも堪能できる贅沢なんだと思いました。

このひと手間によって家庭料理が劇的においしくなって更に贅沢した気持ちになれるのであれば、これをやらない理由はないでしょう。毎日の食生活に豪華さを出したいっていう人には、文句なしにおすすめしたい料理漫画です。

あたりまえのぜひたく。を読んだ感想・レビュー

僕は料理に関しては「手間をかけたからと言って必ず美味しくなるとは限らない」と思っていて、便利な物はガンガン使っていったらいいと思ってるんです。それこそ味の素とかは料理が好きな人からすると邪道なのかな?

僕はそんなの全然気にしないし、クックドゥ的なものも手抜きだって思わないし、スーパーで買った刺身をパックのまま食べるのにも全く抵抗がありません。そんな僕ですら「これやってみてえ!」と思わされてしまうネタのオンパレードでした。

たぶんこれならお金をそんなに掛けずに贅沢が堪能できるんじゃないかと思います。もちろん手間とか時間は掛かるだろうけど、これを振る舞う相手がいる人や料理が好きな人にはぜひとも参考にしてほしい料理漫画です。

疲れてるときとかストレスを感じてるときは、結局大事なのって睡眠と食事っていいますから。そういう意味でも本作の贅沢は活力の源にもなるんじゃないかって思います。

あとがき

今日はちょっと料理してみようかな。