藤本タツキ氏の「ファイアパンチ」を読んだ時、分かりやすいタイトルとは裏腹にストーリーの奥深さを思い知らされました。良くも悪くもクセが強く、それでも少年ジャンプで大人気だった事実から、ファイアパンチは間違いなくダークファンタジーとしての最高傑作だったと言えるでしょう。
そんな藤本氏が手掛けるのは、またもダークファンタジー。今度は悪魔と人間の戦いです。というわけで今回は、恐怖の象徴が大暴れするダークファンタジー「チェンソーマン(全11巻完結済み)」を紹介します。
チェンソーマン あらすじ
悪魔のポチタと共にデビルハンターとして借金取りにこき使われる超貧乏な少年・デンジ。ド底辺の日々は、残忍な裏切りで一変する!! 悪魔をその身に宿し、悪魔を狩る、新時代ダークヒーローアクション、開幕!
チェンソーマンの見所をチェック!!
悪魔と絆を育んだ人間の物語
孤独な状態で自暴自棄になっていた主人公・デンジは、チェンソーの悪魔と出会います。悪魔が怪我をしていることを察知したデンジは、自分の血を分け与えることで悪魔(ポチタ)を助け、その見返りに自分を助けることを要求。
そして2人はパートナーとなりデビルハンターとして活躍するんだけど、これがコンビ愛というか「飼い主と犬のような信頼関係」のように見えて少しハートフルなんですよね。悪魔の世界に情や仁義があるのかは不明。でも2人は確実に絆で結ばれていて、デンジが死にかけてしまった時に2人は融合することになります。
悪魔の中には人間の身体を乗っ取ることができるものがいるとのことですが、ポチタがそれを出来たのか否かは定かではないものの、融合した2人は「チェンソーの戦闘能力を持ったデンジ」となりました。本作はチェンソーマン1人の物語なんだけど、間違いなくデンジとポチタ2人の物語です。
迫力のあるバトルシーン
本作はデビルハンター vs 悪魔 のバトルがメインで、デビルハンターというのは基本的に「悪魔と契約したもの」を指します。主人公のデンジは悪魔と融合したかたちなので、一般的なデビルハンターとは異なり、人間とも悪魔とも言えない特異な存在という感じ。
で、この悪魔の能力がそれぞれ特殊なので、無限大の可能性を持つ能力バトルを実現しています。口寄せみたいに強力な悪魔を呼び寄せる奴もいれば、能力が不明の状態でバトルに発展するケースもしばしば。そんな中でデンジはチェンソーという分かりやすい能力を持っていて、分かりやすいのが特徴です。
それでいてデンジ自身の成熟されていない感じが不安要素になりつつ、しかし特質な存在という様々な要素がバランス良く組み合わさっているため、ファンタジー作品としては非常にドキドキできるパワーバランスだと感じました。やっぱ日本刀で一刀両断っていうよりもチェンソーの方が怖いじゃん。その辺も見応えアリです。
仲間たちとの絆
家族を失い、絶望していた時にポチタと出会い、そしてポチタと1つになったデンジはデビルハンターとしての活躍の場を与えられるわけですが、やはり最初から認められるというわけではありませんでした。
デビルハンターを肉体に宿しているというのが恐怖の対象でもあるし、やっぱ外様大名的なものもあったんじゃないかと思います。
それでも徐々に仲間たちの信頼を勝ち取っていく様子は、孤独だったデンジの居場所が見つかったようで、読者としても応援したくなるんですよね。組織そのものの闇みたいなものも気にしつつ、デンジと仲間たちの距離感の変化にも注目です。
チェンソーマン コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
話の導入部分は非常に分かりやすく、引き込まれる要素も多いダークファンタジーです。主人公の人柄もそうだし、悪い奴らのゲスさもそう。そして主人公が使う武器がチェンソーっていうのも最高です。読者を引き込む要素が非常に多い漫画だと思います。
主人公の少年っぽさにギャグっぽさもあり、シリアスな展開にも関わらず空気にそぐわないセリフも多い中、違和感として残らないのも凄いです。
僕としては前作のファイアパンチが途中から分かりにくくなった感があるので、今作はこのまま行ってほしいような複雑な心境も否定できませんが、もっともっと面白くなる可能性を秘めている作品だと思ってます。本作が最終的にどのような結末を迎えるのか今から楽しみです。
あとがき
チェンソーマンのファイアパンチ。
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