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『僕の名前は「少年A」 』を読んだ感想・レビュー

僕の名前は「少年A」
Ⓒ僕の名前は「少年A」

今から20年以上前に、世の中を震撼させた少年犯罪がありました。最近の若い人は知らないのかもしれないけど、30歳以上の人なら記憶に残っているのではないかと。

その元・少年が「少年A」って言われてて、この頃あたりから少年犯罪に対する意見が頻繁に取り沙汰されてきたような記憶があります。そんな少年Aの事件に関する実話にフィクションを加えた系の漫画かなーなんて思って読んだら、実際は全然違ったっていうね。

というわけで今回は、物議を醸す系の少年犯罪にスポットを当てたヒューマンドラマ『僕の名前は「少年A」 (全4巻完結済み)』を紹介します。

僕の名前は「少年A」 のあらすじ

13歳で人を殺したその日、僕の人生は一変した…。全てを偽り、嘘で塗り固めた毎日を送る。これまで存在していた自分という存在は消え、「少年A」という名前だけが一人歩きする。でも僕は必ず君を守り抜くと決めたから―――…。

僕の名前は「少年A」 の見所をチェック!!

殺人を犯してしまった少年が主人公

僕の名前は「少年A」
Ⓒ僕の名前は「少年A」

とある理由で担任の先生をバットで殴り〇してしまった少年が主人公のサスペンス系漫画です。ぶっちゃけ僕が学生時代の頃は叩いたり蹴ったりする武闘派の先生がまだ幅を利かせていた時代だったので、まぁ普通に「あいつ〇ねばいいのに」くらいに思ったことのある先生が何人かいました。

とは言っても軽い想像くらいで、学校帰りに友達と愚痴ったりするくらいはしたけど、さすがにやり返すなんて度胸はなかったし、ましてバットで殴り〇すなんて…。もちろん衝動的ではあるんだけど、まぁ主人公の気持ちが分らんでもないっていう理由がちゃんとあるので、この辺りは主人公目線で読み進められるはず。

深層部分でギミックというか二転三転する真相みたいなものも隠されていて、ヒューマンドラマでありながらもサスペンスっぽさにも見応えがある漫画作品です。「〇す方が悪いのか、それとも〇される方が悪いのか」みたいなテーマで話し合ったら、割と賛否両論になりそうな展開も見所たっぷりです。

殺人犯の家族が受ける仕打ち

僕の名前は「少年A」
Ⓒ僕の名前は「少年A」

どんな理由があっても殺人は良くないことだし、そこに情状酌量の余地があるのかどうかは裁判で明らかにされるんだろうけど、当事者だけの問題では済まないことが多いです。それこそ家族を失った被害者側からすれば、元の生活に戻ることなんか一生ないだろうし…。

一方で加害者側の家族もそれなりの余波というか、嫌がらせみたいなものを受けることがあるでしょう。僕の身近にこういう人はいないからアレだけど、壁に落書きされたりとか友達から距離を置かれたりみたいなことは結構あるのかな。この辺は想像に容易いです。

僕自身もこういう妄想をすることがありまして、子供もいないし結婚もしてないのに「自分の息子が殺人事件を起こしたら…」みたいなことを考えたりすることがあります。被害者のことを考えたら無関係ってわけにはいかないだろうけど、中学生とか高校生くらいになってて自我のある息子の起こした事件は「んなこと知らねーよ」みたいになっちゃうような気がしないでもないです…。

本当の被害者からは石を投げられても仕方ないって部分がありつつも、関係ない第三者からの私刑を受け入れなきゃいけない不条理、それも自分のじゃなく自分の家族の罪による不条理っていう部分に色々と考えさせられるでしょう。

自分の周りで燃え上がる復讐の炎

僕の名前は「少年A」3
Ⓒ僕の名前は「少年A」

何か罪を犯した人間は刑務所に入るなりして、法に則って定められた罪を償ってから出所してくるわけですが、それでも「その程度でお前の罪が清算されたと思うなよ」って言いたくなる感は分かります。特に自分の大切な人の命を奪われてしまったような場合、10年や15年の懲役を経たからと言っても許されたとは思わないで欲しいです。

そして本作で取り扱われているのは少年犯罪ということで、刑務所に入ったわけでも懲役を受けたわけでもないっていうね。そしたら被害者の近しい人物は納得がいかないって考えの人間も少なくないだろうし、中には復讐に動き出す人間がいるかも。

「ずっと下向いて歩いて行け」くらいのことを思ったら、相手が嫌がるようなことをSNSで拡散してやろうってくらいのことは普通にしそう。というか、これは被害者じゃなくてもマスコミが素でやるような時代だからね。このあたりの主人公を待ち受ける制裁の数々には、何かを思わずにはいられないと思います。

僕の名前は「少年A」  全4巻を読んだ感想・レビュー

当ブログではサスペンスとかヒューマンドラマに位置付けたけど、ぶっちゃけ純粋なサスペンスじゃないし、純粋なヒューマンドラマでもなかったです。それにグロい感じで話題をかっさらう系のストーリーでもなければ、そもそもそんなに胸糞悪い系の物語でもないっていう…。

最初は「担任の先生を殺しちゃった少年Aが、社会復帰してから待ち受けている困難や嫌がらせに対峙していく物語」みたいなやつだと思っていたら、途中から二転三転していって、挙句「え、そんな展開なの!?」って感じの方向に進んでいきます。ここはネタバレなしで、実際に読んでみてほしいです。

面白いかって聞かれたら個人的には微妙でした。というか二転三転したところが衝撃的で、リアリティの無さに度肝を抜かれたというか、サスペンスってリアル系なのが面白味だと思ってたんで、色んな意味でインパクトのある作品であることは間違いないかと。

もうちょい精神を病むくらいの胸糞悪いシーンがあっても良かったような気がします。あとは徹底的にゲスイやつがいても良かった。主人公もヒロインも親友も遺族も、みんな毒にも薬にもなれてない感じが勿体なかったかなぁ(個人的な意見です)。

あとがき

少女Aって見出しの極悪犯罪って見ないよね。