芸人さんでも映画を作ったり小説を書いたりする人が増えていて、かなり有名な賞を獲る人も出てきました。特にコントを作ったりする芸人さんの場合、独自の世界観を持っていることが多いので、フィクション作品を手掛ける才能に溢れているのかもしれません。
そして本作は非常に面白い設定のあるハードアクションなんですが、お笑い芸人インパルスの板倉氏が手掛けた漫画作品です。というわけで今回は、合法的に拳銃のトリガーを引ける世界を描いた「トリガー(全5巻完結済み)」を紹介します。
トリガー あらすじ
人気コンビ・インパルスの板倉俊之が書いたハードアクション小説をコミック化! 近未来、射殺許可法が制定された日本で、各県に1人ずつ選ばれる「トリガー」たち。それぞれの信念に従い、≪悪≫と判断したターゲットに、彼らは弾丸を撃ち込む! 「国王」編、東京、千葉、静岡の「トリガー」編を完全収録。
トリガーの見所をチェック!!
各都道府県に殺人を許可された人間がいる世界
「日本が国王制になって、各都道府県に殺人を許可された人間を配備した世界の物語」です。殺人を許可するとは言っても事前にちゃんと適性がチェックされていて、信念に基づいて悪を裁く意味で拳銃を使用することが認められているという感じ。
例えばAがBを罵倒して、BがAを殴ってしまった場合、法律上はBが傷害罪で裁かれる立場にあるわけですが、これを「そもそもAが罵倒しなければBが殴ることもなかった=Aが諸悪の根源」という考え方の世界が舞台の物語です。
現実的にはまずあり得ないんだけど、心のどこかで「こういう世界なら今よりも平和になるんじゃないか?」と思える、ちょっと危険な香りが魅力のサスペンスチックな作品だと思います(kindleの商品紹介ではハードアクションと紹介されていました)。
私生活でもよく見るタイプの横柄な人が裁かれる展開
世の中には色んな人がいるので、自分の中の基準では計れない人も少なくありません。例えば店員さんを前に自分は神だと言わんばかりの横柄な態度をする客っているじゃないですか?あれを見ると自分自身が客側にいたとしても腹が立つことがあります。
逆に「お前接客する側だよな?」っていう従業員もいるじゃないですか?終始タメ口で運転の荒いタクシーの運転手とか。個人的にタクシーを利用するケースはあまりないので、心から「あるある」とはならないんですけど、芸人さんなんかはよくタクシーの運転手に対する愚痴を言っているイメージがあります。
そういう常識外れで人に迷惑をかけている人間が裁かれるという展開なので、色んな人の気遣いできない場面に腹が立っているという人ならめちゃくちゃ共感できるのではないでしょうか。
変に弄んだりせずにトリガーを引くだけ
この手の因果応報系の漫画に多いのは「いかに人に迷惑をかけているかということをターゲットに知らしめる」という感じの展開じゃないでしょうか。早い話が拷問めいた制裁です。
しかし本作はそういう回りくどいことはせず、ただ銃を向けて引き金を引くだけという簡単な作業になっています。もちろんそうなってしまった原因部分は掘り下げられていますが、正義の鉄槌を下す場面そのものは非常にあっさりです。
よくあるタイプの復讐系の漫画だとグロ耐性が無いと読みにくいものが多いんですが、本作はグロ耐性が無くても読みやすいと思います。殺される理由もそこまで胸糞悪い展開はないので、良くも悪くも両面でマイルドな復讐系漫画に近いと言えるでしょう。
トリガー コミックス全5巻を読んだ感想・レビュー
人が人を裁くっていう実際にあったら問題が山積みになりそうな世界観なんだけど、特に世の中に迷惑をかけている自覚がないっていう人なら楽しんで読める作品だと思います。個人的には「私利私欲じゃなくてちゃんと正義として機能するのであれば、この制度は大いにあり」と思ったくらい。
登場する悪人のほとんどが「こういう奴いるよなー」って感じの奴で、常識外れではあるんだけど当然ながら法律違反はしていないっていう絶妙なラインなんですよね。やたら偉そうにしている警官とか、海や山などの自然にゴミを捨てる奴とか(これはれっきとした法律違反かもしれないけど)。
ぶっちゃけ死ななきゃいけないほど悪いことはしてないんだけど、それでも消えてくれたらホッとできる人がターゲットになっているので、自分に非がない場合は好意的に読めるはず。この少し歪んだ世界観がインパルス板倉氏っぽくてめちゃくちゃ面白かったです。
あとがき
日本は国王制となっていた!!
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