ハッキリ言って僕は警察があんまり好きじゃないです。でも悪人を捕まえたり、市民の安全を守るっていう職務からなのか「警察＝正義」というイメージが一般的なようですね。
警察に限らず消防や自衛隊でも何でもいいんだけど、公務員を題材にした漫画って「職務に生きがいを持っている」的な部分が熱く描かれている作品ばかりじゃないですか？
学校の先生を題材にした漫画なんかは尖った作品も出てきたけど、国家公務員となると難しいんだろうなぁと。そんな冷めた視線を送っている警察嫌いの僕が読んでも「これは面白い！」と絶賛したい警察漫画があるんです。
というわけで今回は、誰も見たことがない警察漫画「ハコヅメ 交番女子の逆襲(連載中)」を紹介します。
ハコヅメ 交番女子の逆襲のあらすじ
本作は実際に某県警に10年勤務していた元警察官によって描かれている警察漫画である。取材によって描かれたものではなく、自身の目で見たことや耳で聞いたこと、実際に体感したことなどが題材として描かれている作品だ。
良くも悪くも「警察としての使命感に燃えている熱血系の漫画」ではない。決して市民には見せない自然体の警察の姿が覗けると言っても過言ではないだろう。
そして本作の主人公は今まさに警察を辞めようと辞表を握りしめている新米女性警察官だ。そしてここに、部下へのパワハラが原因で転属してきた美人上司の存在と共に嵐が巻き起こる。
ハコヅメ 交番女子の逆襲の見所をチェック!!
かなり尖った内容の警察漫画
普通の警察漫画は職務に燃えている熱血漢が主人公というのが大体の相場です。で、真っ直ぐすぎて統制を乱したりしながらも、市民の安全は誰よりも考えていて…みたいなのがデフォかな。
ぶっちゃけ警察と一括りにしても色んな課があるからアレだけど、すっげー個人的なことを言うと交通課にはあまり良いイメージを持っていません。「見晴らしの良い田舎道に隠れて、速度超過をしている車を捕まえることが本気で世直しになると思っている人間にしか務まらない仕事」だと僕は思っています。
僕は一度も捕まったことがないけど、速度超過も10キロオーバーはセーフとかになってくるともはや意味が分からないし、捕まえる警察官の裁量次第っていうのが気に入らないんですよね。で、たぶん取り締まってる方にもそういう気持ちがあるんじゃないかと思うんです。
普通は「こんなんやりたくねーけど上からの命令でやらされてるんだよ！」とか「ノルマがあるんだよ！」とか言う警察漫画がもっとあってもいいと思うんだけどね。そのあたりを考えると女性警察官が「子供が嫌いだから、交通安全指導に行きたくない」っていうセリフ一つを取っても、すごく斬新な警察漫画だと思います。
言い回しが秀逸だと思うシーンが多い
僕はかなり捻くれている性格だから、みんながAだっていうものはBだとは言わないまでも「Aとは限らない」って言いたくなるという厄介な性格です。小学生低学年に向けた道徳の授業なんかだと「1円を拾ったらどうするか」って話題になったら、おそらく「警察に届ける」とかが正解なんだと思います。
でも僕は先生がそうやって答えるように誘導しているっていう空気を感じてしまって、逆に「先生の思い通りにはさせたくない」っていう欲求が勝っちゃうんですよね。そんな捻くれた僕でも素直に聞けるくらい良いエピソードが出てきます。
例えば自転車の二人乗りなんて些細なことだと思うんだけど、これが大きな犯罪に繋がるみたいなことは割とよくあることなんだなぁと思いました。確かにゴミだらけの街にポイ捨てするのと、すごく綺麗な街にポイ捨てするのとでは難易度も変わってくるだろうし…これには本気で脱帽した。こんな感じで諭されたらカツ丼なくても腹割るわ。
警察嫌いでも楽しめる
そもそも警察官が嫌われているっていう視点で描かれている警察漫画ってあったっけ？前項にも書いたように僕は捻くれてるから、警察官になった理由なんかに「市民の安全を守るため」って言われると「それ本当に？」とか思っちゃいます。
もし自分がお世話になるんなら「市民の為に全力で…」とか言う人よりも、逆に「安定してるから」っていう理由で警察官になったって人を信用するし、お世話になりたいって思う部分ってありませんか？弁護士とかでもそうだけど、お金のために頑張る人の方が信用できるみたいな部分ってあると思うんです。
そんな僕でも「こういう見せ方をされたら警察としての使命にやりがいを感じるって言われても納得しちゃう」っていうくらい見せ方が上手いんですよね。嫌味もないし着飾ってる感じもないし。
やってることは熱血漢バリバリの使命感に燃える警察漫画と一緒な気もするんだけどね。見せ方が少し違うだけでこうも印象が変わるものかと本気で感心しました。
ハコヅメ 交番女子の逆襲 1巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
「これ読んで面白くないって人いるのかなぁ…」ってくらい夢中になって読んでます。がむしゃらがセオリーの公務員系漫画において、掟破りな空気感が斬新で面白いです。
例えば医者を題材にした作品にしても、JINとかDr.コトーとかの王道がある一方で、白い巨塔の財前みたいなのがいても面白いじゃないですか？何も心底平和を愛していて、少しの悪も許さない的な熱血物語もすべてじゃないと思うんで、本作はすごくバランスが良くて素直に読める作品です。
警察官になる以上は、根底には「国を良くしたい」とか「市民の為に」って崇高な志はあるんだろうと思います。でも本音で言えば、そればっかじゃないでしょ？
そういう部分の見せ方、描き方が本当に上手いと思いました。これは実写化待ったなし。たぶん勢いのある女優のW主演でフジテレビあたりがドラマ化するとみた。
戸田恵梨香さんと永野芽郁さんのW主演で日本テレビにてドラマ化(2021年7月)されました。
あとがき
こういう警察漫画、待ってた。
