麻雀漫画の中にはとんでもない物を賭けてまで麻雀を打つ作品も少なくありませんが、本作の狂気はかなり群を抜いている作品だと思います。普通は「負けたら指」とかなのに、腹を切ったまま麻雀を打ったりするからね。
そして主人公が強いにもかかわらず、周りのライバルたちはもっと強いっていう部分にも魅力たっぷりです。というわけで今回は、冷徹な思考と圧倒的なヒキで勝利を引き寄せる麻雀漫画「凍牌-裏レート麻雀闘牌録-(全12巻完結済み)」を紹介します。
凍牌-裏レート麻雀闘牌録-のあらすじ
金、女、臓器…欲望蠢く裏レート雀荘を荒らし回る男がいるという。その男、いまだ少年にして、冷徹なる思考、冷艶なる打牌、裏世界からは“氷のK”と呼ばれているが、自宅には少女を飼っていると噂される…。
凍牌-裏レート麻雀闘牌録-の見所をチェック!!
圧倒的な記憶力と強ヒキで勝負するタイプの麻雀
本作の主人公は「氷のK」という異名を持っていて、冷徹とも言える判断と圧倒的なヒキ、そして類まれなる記憶力で勝負をしていくタイプの麻雀打ちです。特に記憶力に関しては控えめに言ってもヤバいレベルに達していて、食事のメニューは当然として短時間で簡単な外国語すら理解できるレベルっていうね。
もちろん牌のすり替えみたいなこともするんだけどあまりイカサマにはスポットが当てられず、ここぞというときにイカサマの説明が入るという作風になっています。ダカラポンポン役満は成立するものの、それがサマなのかヒラなのかは読んでるこっちは分からないことが多いです。
いずれにしても「魔法でも使ってんじゃないか?」ってくらいに強いことは間違いありません。
一緒に暮らしている少女の存在
本作の主人公には秘密があって、それは「異国の少女と暮らしている」ということです。この少女は麻雀対決の時の賞金代わりに保護したんだけど、氷のKが冷徹になれる理由と同時に人の血が通う理由にもなっています。
なんでこの少女にここまで肩入れするのかは分からないんだけど、この少女が安心して暮らせるように莫大な費用が必要なことや生活費を稼ぐ目的で、ヤクザの代打ちを買って出るという感じ。このヤクザの代打ちが金稼ぎにはめちゃくちゃ良いんだけど、命も軽く扱われてるので「果たして生きて帰ってこれるか」みたいなスリルもたまりません。
ちなみに対局中にもかかわらず指とか歯とかもガンガン持っていかれるし、血を流しながら打つこともしばしば。少年が主人公で少女要素もあるけど結構えげつないシーンも多く、この温度差も本作の魅力の一つです。
主人公以上に強いライバルたち
主人公も当然めちゃくちゃ麻雀が強いんだけど、それ以上に強いライバルがゴロゴロ出てきます。本作のすごく面白い点は「主人公が普通に負ける」という点でしょう。指とか賭けてる対決で普通に負けるからね。
危険を伴う系のギャンブル漫画って確かにスリルは凄いんだけど、主人公が滅多に負けないっていうのがあるじゃないですか?だからハラハラしながらも「どうせ主人公が勝つんでしょ?」とか冷めちゃう部分があると思うんです。でも本作はそういうのがないように感じました。
主人公は強いけどそれ以上に強いライバルも少なくないので、主人公が負ける姿っていうのも大きな見所です。
凍牌-裏レート麻雀闘牌録- 全12巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
最初は垢抜けてない少年がヤクザ相手に無双する麻雀漫画だと思ったし、あり得ない運勝負をするので冷めてしまう部分もありました。
例えば完全な運勝負で「裏ドラが乗るかどうか」みたいなシーンって作者次第でどっちにも転ぶのに、そこで裏ドラが乗って「こいつは天が味方している!?」みたいにやられても…っていう感じ。そこはバレないようなイカサマをしていて、乗るべくして乗ったっていう展開にしてほしいなぁとか思いました。
でも徐々に狂気の方が勝ってきて、少しずつリスクも増してくるとめちゃくちゃ面白くなってきます。グロとまでは言わないけど残酷なシーンも少なくないので、その辺は評価が分かれそうな気もするけど、冷酷な判断をする主人公っていう意味では珍しいので麻雀漫画好きな人には読んでもらいたい作品です。
ちなみに本作は全12巻で完結していますが物語は「凍牌~人柱篇~」へと続き、しかも本作は続編ありきな終わり方をしているので、12巻完結とは思わない方がいいかもしれません。
あとがき
凍死。