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「刑務官が明かす死刑の話」を読んだ感想・レビュー

刑務官が明かす死刑の話
Ⓒ刑務官が明かす死刑の話

とてつもない凶悪犯罪を起こした犯人が死刑判決を受けたって話は頻繁にニュースで見ている気がするんだけど、死刑が執行されたって話はあまり聞かないような気が。というか死刑については世界的に認めていない国の方が多く、こういうのは日本にいると「死刑=当たり前にあるもの」だと思ってしまいがちです。

まぁ冤罪の問題があるから反対派の意見は分からないでもないし、自白強要とか不透明な話を聞いちゃうとなんかね。いずれにしても「死刑」を一度でもYouTubeで検索したことがある人には、非常に興味深く映るであろう作品がこちらです。

というわけで今回は、死刑囚や死刑執行にまつわるあれこれが描かれている刑務官のお仕事漫画「刑務官が明かす死刑の話(全1巻完結済み)」を紹介します。

刑務官が明かす死刑の話のあらすじ

罪を犯した者の生命を奪う刑“死刑”。しかし、その詳細はあまり知られていない。死刑執行までの過程や死刑の決まりなど、漫画家・一之瀬はちが実際に死刑に立ち会った刑務官から聞いた知られざる話を漫画化。

刑務官が明かす死刑の話の見所をチェック!!

あまり表には出てこない「死刑」の話がてんこ盛り

刑務官が明かす死刑の話
Ⓒ刑務官が明かす死刑の話

僕自身、知り合いが死刑になったってこともなければ、かなり近しい人物が刑務所に入ったっていうこともないので、刑務所という場所がどういう場所なのかもほとんど分かっていません。だからこそちょっとした興味もあるし、脱獄犯のドキュメントなんかは興味津々に見てしまいます。

その延長でYouTubeで「死刑」を検索する程度には軽く調べたことがあるんだけど、本作にも死刑に関する話がてんこ盛りです。「首吊り死刑の際に床が抜けるボタンは複数用意されていて、刑務官の誰が押したかは分からないようになっている」っていうのは有名な話ですよね。

こんな感じでどこかで聞いたことがあるような話もあれば、思わず「へぇ~」と言ってしまうような情報まで様々でした。刑務所や死刑についてはあまり知られていないことだらけなので、そういうのに興味がある人なら楽しめる作品かと。

「死刑」についての学び

刑務官が明かす死刑の話
Ⓒ刑務官が明かす死刑の話

死刑の話って言われるとなぜか死刑される側に立って話を聞いたり見たりしてしまうんですが、実際には死刑を執行する側も人間なわけで…。そこに気が付くと実に様々な見方ができるようになりました。

というのは、死刑になるような人間に対しては色々と思うことがあるわけで、もちろん冤罪じゃないっていうのが大前提ではあるんだけど、人道的に配慮する必要なんてあるのかなぁと思ってたんですよね。でも執行する側がそれでトラウマになったりしたら元も子もないんだなぁと。

ちなみに死刑そのものの話というよりは、死刑囚の暮らしぶりとか死刑が執行されるまでの話が多く、突き詰めていくと「考えたことなかったけど言われてみれば確かにそうだろうな」っていうことが多かったです。単純に勉強にもなるし、刑務官という仕事についての理解が深まる感じ。

刑務官が明かす死刑の話を読んだ感想・レビュー

Kindleのレビューにもあったんだけど、幾つか気になる点がありました。まず冒頭で「守秘義務があるから言えない」という刑務官が、作中でべらべらと喋っている点。

個人的には「言える範囲内で喋ったんだろうなぁ」としか思わなかったんだけど、人によっては「信憑性がない、口が軽い刑務官に引く」というマイナスの印象を受けてしまうみたいです。ぶっちゃけここは賛否がありそう。

あとは過去の事例紹介にて、死刑囚が脱走した事件のことに言及されてるんですが、昭和40年代に起こった事件で、逃亡犯が警官によって刀で切られたって書いてまして…「昭和40年ってそういう時代だったの!?」っていうね。「刀って明治時代かよ!」って思ってたら、実際は明治30年の出来事だったようです。

恐らく間違いかとは思うんだけど、このレベルの間違いがあるともう作中でどんな情報が出てきても信頼できないっていうのは、僕もちょっと分かるような気がしました。描かれている内容が事実であるっていうことが担保されるのであれば、非常に興味深い死刑の話が学べたと思います。

あとがき

死刑って執行日に関するルールが明確にあるのに、そのルールが守られていない不思議。