記事内に広告を含みます

「子供はわかってあげない」を読んだ感想・レビュー

子供はわかってあげない表紙
Ⓒ子供はわかってあげない

本作のタイトルを見たときに色んな意味ですごいと思いました。普通は「子供はわかってくれない」だと思うんだけど本作は違うし、読了後の感想としてはまさにピッタリのタイトルだなぁと。

日常漫画が好きじゃないという人が読んでも退屈しない日常漫画と言ってもいいくらい、とにかく色々なことが駆け巡る青春のひとときと言っていいでしょう。というわけで今回は、新感覚のボーイミーツガール「子供はわかってあげない(全2巻完結済み)」を紹介します。

子供はわかってあげないのあらすじ

水泳×書道×アニオタ×新興宗教×超能力×父探し×夏休み=青春(?)。モーニング誌上で思わぬ超大好評を博した甘酸っぱすぎる新感覚ボーイミーツガール。センシティブでモラトリアム、マイペースな超新星・田島列島の初単行本。出会ったばかりの二人はお互いのことをまだ何も知らない。ああ、夏休み。

子供はわかってあげないの見所をチェック!!

青春と呼ぶには雑な感じ(褒め言葉)

子供はわかってあげない1
Ⓒ子供はわかってあげない

本作をジャンルに分けるとすれば青春漫画とかヒューマンドラマになるんじゃないかと思います。で、青春漫画において学校の屋上で男子生徒に「お兄さんを紹介してほしい」と言えば、十中八九は恋の相手になるような気がするんだけど、本作のそれは全然そんなんじゃありませんでした。

間違いなく青春はしているんだけど、青春といっても爽やかさとか甘酸っぱさみたいなものはなくて、ただただ「雑」っていうのかな…。よく言えばマイペースってことになるんだけど、青春と呼ぶには大雑把すぎるような日常を描いた作品です。

ただ、もう二度と訪れない夏のひとときという意味では、これは間違いなく青春と呼べるはず。で、僕はこんな壮絶な経験を1ミリも体験したことはないけど、それなのにどこか懐かしさを感じるような青春だと思いました。本作にかかれば日常のくだらない一コマもすべて見所。

探偵を雇って実の父を探す展開

子供はわかってあげない2
Ⓒ子供はわかってあげない

本作の主人公は底抜けの明るさを持っていて、所属している水泳部でもかなり良い成績を残せてるみたいだし、パッと見は「こんな高校生活なら楽しかっただろうなぁ」と感じさせるようなキャラクターです。

でも実は過去に両親が離婚していて今の父親とは血が繋がっておらず、血の繋がった父親は幼い頃から会っていないとのこと。その辺の事情は母親にも聞けないようで、探偵の力を借りて父親の所在を探るという展開になっています。

これが十代の少女の夏休みの一幕ってことを考えると、青春って呼ぶにはちょっとヘビーな気がしませんか?でも主人公が根明ってこともあって全然悲壮的じゃないし、読んでいてしんどくなることはありません。

さすがに「父親が見つかりませんでした!」で終わることがないっていうのは大体の読者が想像つくだろうし、これはネタバレにならないんじゃないかとは思うんだけど、父親を見つけるまでのプロセスにも見所がたくさんあるので注目です。

実の父親と再会して何を得るのか

子供はわかってあげない3
Ⓒ子供はわかってあげない

僕の家庭は両親が離婚することもなく、一応の表向きは家族円満っていう感じだったのでアレなんだけど、両親が離婚した場合に自分が付いて行かなかった方の親に会いたいものなんでしょうか。

ある程度まで一緒に暮らしていてハッキリとした記憶もあって…って感じなら会いたくなるのもわかるんです。でも本作の主人公の場合は、5歳の時に今のお父さんができたっていう話なんで、たぶん実のお父さんと何かしたっていう記憶が残っているかどうかは怪しいんじゃないかと思いました。

まぁ実際に対面したときに敬語から入るくらいの関係性なんで、そこまで親子っていうほどの距離間ではないんでしょう。とは言っても親子ですから、不思議な距離感を感じるのもまた一つの事実です。主人公は実の父親と会って何を思うのか、ここは非常に大きな見所と言っていいでしょう。

子供はわかってあげない 全2巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

日常漫画なんだけど、日常漫画と呼ぶには日常とは程遠いひとときです。青春漫画と呼べるほどのリア充って感じでもありません。でも読んでいてすごく心地良さを感じる作品だと思いました。

最初から最後まで夢中にさせられてしまったし、ウイットに富んでるって程じゃないけど小気味良いセリフ選びがめちゃくちゃ魅力的です。全2巻っていうボリュームも相まって一気読みやむなしという感じ。

こんな青春時代を送ったっていう読者はまずいないだろうけど、誰もがちょっとした懐かしさを感じるんじゃないかと思います。というか「こういう青春時代もいいなぁ」って思うくらいのやつです。…いや、思わないかも。

激しいバトルや必殺の応酬に疲れたっていう漫画好きの方にもおすすめだし、現実逃避じゃないけどリアルに疲れているという人にもおすすめします。

あとがき

左利きだ。