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「寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。」を読んだ感想・レビュー

 

自分の寿命に値段が付くとしたら、まず「どれくらいの金額で査定されるのかを受け入れる恐怖」みたいなものがあるわけです。それが一年につき一万円なんて言われたら、この先30年を売っても30万円…。自分にはその程度の価値しかないのかと思い知らされてしまうことでしょう。

そして、そうやって自分の命と引き換えたわずかなお金を果たして何に使うのか。美味しい物を食べるっていうのも何か違うし、何か買ってもどうせ死んでしまうわけで。というわけで今回は、そんな切ない物語「寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。(全3巻完結済み)」を紹介します。

 

 

寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。 あらすじ

毎日を無気力に過ごしていた青年クスノキは、ある日寿命を買い取ってくれる不思議な店の噂を耳にする。金に困って寿命の大半を売り払った彼は、余命3か月を「監視員」のミヤギと共に過ごすことになるが…。三秋縋の人気小説「三日間の幸福」を完全コミカライズ。

 

寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。の見所をチェック!!

自分の残りの人生をお金に変えたら幾らになるか

 

誰しも一度は考えたことがあるんじゃないかと思うんだけど、「自分の金銭的な価値は?」ってやつね。10年以上前だけど、ネットで簡単に出来る占いみたいなやつで流行った記憶があります。

まぁ10年以上寿命が残ってるなら、バイトでも何でもして稼げる金額くらいは付くんじゃねーかなって思う。でも、判断基準がそこそこシビアだったりもするわけで、もしかするとゼロかもしれないし、下手すりゃマイナスかもしれない。

 

本作では、主人公がお金に困った延長で寿命を売ることになるわけだけど、本作の趣旨からいっても「何億なんてお金が付くわけがない」って部分は、想像に容易いでしょう。

食べるものにも困って家にある本やらCDやらを売って、なんとか食費を繋いでいるっていう状況下で、彼女はおろか近しい友人もいなければ、今後の人生に夢も希望もない。

そんな主人公の残りの寿命に幾らの価値が付くのか。なんと「一年につき一万円」です。似たような境遇の人からすれば、すっげー刺さると思います(僕は他人の気がしなかったです)。

 

かつて結婚の約束をした幼馴染の存在

 

主人公にも昔、「お互いが売れ残ったら結婚しよう」という約束を交わすような幼馴染がいました。死ぬ間際になって、急に何かやりたいことを聞かれても思い浮かばないものですが、相場は過去の思い出ではないでしょうか。

っつーわけで、この存在が第一のキーパーソンです。ワケあって離れ離れになっていた2人が、何年かぶりに再開して2人の時計が再び動き出したとか、展開的にはベタだけど十分ありそうだよね。

 

軽くネタバレをすると、本作はそんな感じの終わり方はしません。物語の序盤で、本作の結末を予想できる人はいないんじゃないかと思う。別に奇をてらったエンディングってわけでもないけど。

この幼馴染はどういう人生を過ごし、この時の約束を覚えているのかどうか。「小さい頃に結婚の約束をした」って経験がある人は少なくないと思うけど、そんなもんあってないようなもんで、実現させた人なんてほぼいないでしょ。それが本作ではどういう形になるのか…。注目のシーンです。

 

監視員「ミヤギ」との出会い

 

寿命を売った後は、監視員が付きます。理由としては「余命が1年を切った時に自暴自棄になる人間が多いから」だそうです。ちなみに周りの人間には見えないとのことなので、イメージ的には「死神」に近いのかな。

僕は本作を読み始めた当初、少年ジャンプで連載されていたっていう背景的にも「今まではろくに恋愛もしてこなかった主人公が、この監視員に恋心を抱くようになり、寿命を売ったことを後悔する」的な流れなのかなーって思いました。

で、何らかの裏技で寿命を復活させるんじゃないかなぁと。まぁ予想が浅はかだったよね。いずれにしても、このミヤギが物語のキーパーソンであることは間違いないです。彼女の挙動や心情を観察しながら読むと、本作の深い部分を量り知ることができるでしょう。

 

寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。 コミックス全3巻を読んだ感想・レビュー

寿命を売るって行動自体が死を連想させるものだから、どういう結果になっても寂しい終わり方になるって予想をしていました。本作を読むにあたって、何パターンかの結末を予想してたんだけど、見事に外したよね。

とりあえず「普通になんもなく寿命を迎える」じゃエンタメとして成立しないし、なにかしらの発見や後悔がないといけないじゃないですか?じゃあどこで発見や後悔の要素が出るかってことを考えたら、恋愛要素しかないんじゃないかと。まぁこの辺は実際に読んでみてください。

人に誇れるような人生を送っていないって読者なら、少なくとも本作の主人公に共感できる部分が多々あるだろうから、全3巻ノンストップで読めるくらいに魅了されると思います。もちろん僕も自分の残りの寿命を売ったところで大金になるなんて思ってないから、めちゃくちゃ感情移入したし一気読みしました。

 

「明日死ぬって思ってないから、適当に生きてしまう今日がある」っていう意味では、本作から教訓が得られるって読者も少なくないはずなんで、ちょっと生きることに疲れてる読者にとって糧になるんじゃないかなぁと。

学校や仕事、恋愛で悩んでいる人が読んでもいいだろうし、単純に「自分の人生に金銭的な価値が付く」ってテーマが面白そうだと感じた人には、文句なしにおすすめです。

 

あとがき

1年につき100万もらえるなら5年くらい売ってもいいかなって思ったけど、1年で100万くらいバイトでも簡単に稼げそうだよね。

 

 

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