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「惡の華」を読んだ感想・レビュー

惡の華表紙

 

僕が小学生の頃、女子の体育着が盗まれたことがあって、当時は誰かが盗むっていう意味も分からなかったし、ただただ「体育着はもう学校に置きっぱなしにしちゃいけない」というルールができたことに対して面倒だと思った記憶しかありません。

で、それ以来はそれを口にするのもタブーみたいな感じになったので、大人になってから本作を読んで当時のことを思い出したという感じです。というわけで今回は、背徳感がやばくてある意味純愛なストーリー「惡の華(全11巻完結済み)」を紹介します。

 

 

惡の華 あらすじ

ボードレールを愛する、文学少年・春日高男(かすが・たかお)。ある日、彼は、放課後の教室に落ちていた大好きな佐伯奈々子(さえき・ななこ)の体操着を、思わず盗ってしまう。それを、嫌われ者の少女・仲村佐和(なかむら・さわ)に見られていたことが発覚!!バラされたくない春日に、彼女が求めた“契約”とは……!?話題沸騰!!奇才・押見修造が描く背徳的純愛ストーリー!

 

惡の華の見所をチェック!!

好きな女子の体育着を盗んだ所を目撃される

惡の華2

 

本作には主人公が好きな女の子の体育着を盗んじゃうシーンがあります。ぶっちゃけ物語の最初から背徳感がハンパない感じだし、押見修造氏の作風が分かってない状況で本作を読むと「どんな漫画やねん!」って思うはず。

好きな女子の体育着とかリコーダーとかは絶対にやっちゃいけないことだけど、まぁ中学生男子ならそういうことをしても仕方ないというか、理解できる部分はあるような気がしなくもないです(絶対にやっちゃだめだけどね)。

でも事件になることは明らかだし下手すりゃ警察が動く事案だし、もっと言えば自分が犯人だってバレた日には人生が終わったって思うんじゃないかなぁ。…なんて思って読んでたら、その時の状況を目撃されていたっていう流れです。この後主人公がどうなるかが気にならない人っていなくないですか?

 

普通の感覚だと少し理解しがたい異常性

惡の華3

 

弱みを握られた場合、普通なら「黙っておいて欲しければ…」ということで様々な要求をされることが想定されます。お金を要求されるケースもあれば、授業中になんかやれって感じで玩具にされる展開もあるし、いずれにしても弱みを盾にあれこれ要求される可能性大です。

じゃあ本作ではどうなったかと言うと、僕の引き出しには無かったことをやらされてました。コアなお客さんが集まる風俗店勤務の女性に聞けば「ごく稀にそんな感じのお客さんが…」って言うくらいの、すっげー特殊なやつです。控えめに言っても超アブノーマル。

僕の中ではこんなことをしたいという願望もされたいという願望もないんだけど、この物語がどう進んでいくのかが気になって仕方ありません。そういう意味では掴みが完璧すぎる。

 

黒歴史と呼ぶに相応しい出来事の数々

惡の華1

 

みなさんにも中二くらいの頃だと、思い出したくない黒歴史の1個や2個はあるかと思います。でもそれらのエピソードを集めたとしても、本作のそれは群を抜いてるくらいに黒歴史です。まずこういう発想が出てくるって時点でやばいというか、僕の観測範囲内には欠片もないという感じ。

そもそも体育着を盗んだ奴がいて仮にそれを目撃したとして、それをクラス全員にバラしてやろうって思ったら、普通は目撃者が放課後に黒板に書いたりするんじゃないの?もしくは怪文書みたいなやつを掲示板に貼りだしたりするんじゃないの?

てか、そもそも普通はクラス全員にバラしてやろうって発想はなく、当事者を脅して金を引っ張るとか先生にチクるくらいのことだと思うけど、本作のパターンは特殊すぎて開いた口が塞がりません。この展開は恐怖を感じる以上に夢中にさせられてしまいます。

 

惡の華 全11巻を読んだ感想・レビュー

女子の体育着が盗まれるっていう展開は、あるあるじゃないにしてもそこまで珍しくないことなのかなぁと思ったりします。でもその犯人がクラスメートだとしたら、誰にもバレずに盗むという時点でとてつもないスリルを味わっただろうし、家に持って帰ってからも親にバレないように隠さなきゃいけないってことで、かなりの苦労をしたんじゃないかと。普通の精神なら背徳感から後悔もしたはず。

で、その背徳感からめちゃくちゃになってしまって、人格が崩壊して…みたいな展開があったとしたら、本作みたいな展開になったのかなぁとか考えたんですけど、それをもってしても「まずあり得ない」という漫画でした。あり得ないんだけどどこかありそうな空気も孕んでいて、とにかく何とも言い難い不思議な魅力を持った恋愛漫画だと思います。

表現もどこか文学的で「この時の作者の心情を50文字以内で簡潔に答えなさい」みたいにして出されたら、十人十色の答えが返ってくる感じ。ただ気持ち悪いって言っちゃうとアレだけど、これの真意はなんだろうとか考えだすと深みにハマる危険な魅力を持った漫画です。

 

あとがき

クソムシが。

 

 

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