記事内に広告を含みます

「推しが武道館いってくれたら死ぬ」を読んだ感想・レビュー

 

今のアイドル界の代表って誰になんのか分からないけど、生まれては消えるってパターンが繰り返されてるというか、今のアイドルも結婚して落ち着くくらいになれば、また新たなアイドルが生まれるんでしょう。

そんな感じで繰り返されていく歴史の中で、アイドルとファンの間の文化ってものも進化してきました。それが少しの笑いのエッセンスを足されて漫画化されているのが本作です。

過去に「加護ちゃんと辻ちゃんの区別が付かない」って言っていた親父を見て、こんな大人には絶対にならねぇって思ってたけど今まさに自分もそんな感じ。「乃木坂?欅坂ってのもあるの?」みたいな。

というわけで今回は、アイドルオタク気質を持っている人なら間違いなく楽しめる「推しが武道館いってくれたら死ぬ(連載中)」を紹介します。

 

 

推しが武道館いってくれたら死ぬ あらすじ

岡山県で活動するマイナー地下アイドル【ChamJam】の、内気で人見知りな人気最下位メンバー【舞菜(まいな)】に人生すべてを捧げて応援する熱狂的ファンがいる。収入は推しに貢ぐので、自分は高校時代の赤ジャージ。愛しすぎてライブ中に鼻血ブーする…伝説の女【えりぴよ】さん! 舞菜が武道館のステージに立つ日まで…えりぴよの全身全霊傾けたドルヲタ活動は続くっ!

 

推しが武道館いってくれたら死ぬの見所をチェック!!

アイドルオタクあるあるの宝庫

 

「オタクというものに興味が全くないという人が本作を手に取ることってあるんだろうか?」とは思ったりするんだけど、本作ではアイドルオタクあるあるが多々出てきます。

もちろん周りにいるのも自分と同じオタクなんで、馬鹿にするどころかむしろ尊敬の眼差しで見ることが多いんでしょうが、やっぱ頂点に君臨するようなアイドルオタクの人って変わり者が多いと思いました。その人のどんなところが変わっているのかは本作を読めば一目瞭然です。

オタクの気が全くないという人にどれくらい響くかどうかは知らんけど、僕は「かつてモーニング娘。のファンだった」「CDは聴く用と保存用で2枚買ってた」ってくらいのレベルで、本当のオタクに比べたらビギナーもいいとこ。それでも笑わせてもらってます。

 

アイドルとオタクの色々な距離感

 

ファンって言い方は幅広く出来るけど、これが「オタク」となると簡単には名乗れない称号みたいになるよね。もちろん世間一般的には「オタクっぽい」っていうのは嘲笑する雰囲気が強めであるものの、オタクからしたら「オタクっぽい」っていうのは最高の褒め言葉だから。

そんなオタクにも色んな人間がいて、それぞれで推しとの距離感が違うのが面白いです。最近のアイドル事情を見ていると塩対応なんてのがもてはやされていたりして、僕としては何が魅力か全然分からないけど、まぁ好きな人は好きなんだろうなぁって思ったり。

一方でアイドル側からすれば「握手券の為にCDを買いまくってくれる人=太客?」なのかなぁとか。コンビニの高校生アルバイトが客にあだ名付けてる感じなのかなぁとか。ファンの数だけアイドルとの関係性があって、それぞれの良さを楽しむのもおすすめです。

 

ちょこちょこ訪れる小ボケ

 

作者である平尾アウリ氏の笑いは個人的には結構ツボです。絵的に見ると完全な美少女が、それっぱくないことをしてるから笑えるって感じの。あとは「オタクあるある」で笑えるかどうかって部分で、本作の評価は大きく分かれると思います。もちろん完全なオタクじゃなくても「何かしらのアイドルに夢中になったことがある」という人なら分かるネタが多いです。

もしくは「アイドルオタクの意味がわからない」という人が読んだ場合、「やっぱオタクって感性が一般人のそれとは変わってるなー」って意味で楽しめるかも。

オタクってやっぱ人として何か欠けてないとなれない存在だと思うんですよね。もちろん馬鹿になんかしてません。将棋界の藤井総太さんもそうだし、野球界の大谷選手とかボクシング界の井上尚弥選手なんかも、ある種のオタクだと思ってるんで。

そういう意味では「アイドルとたった数秒間握手するだけのために、ウン百万ってお金を払って同じCDを何枚も買いあさる人って…」っていう読者が、興味本位で覗いてみるのもアリだと思います。

 

推しが武道館いってくれたら死ぬ コミックス1巻の感想・レビュー

昔は「アイドル=ファンの方にちやほやされてガッポリ稼げる夢の職業」って思ってたけど、それは昔のアイドルがプロだったから辛さを見せなかった的な部分があることに気付きました。プロ意識って言えばそれまでだけど頑なにスキャンダルは避けてたように思うし、体調不良で番組を欠席なんてケースもそんなになかったと思うんです。

ただ、最近のアイドルは「誰もが憧れる存在」から「身近に感じられる存在」にシフトしたのかなぁと。そして「後者の魅力はこれなんだろうなぁ」って部分が痛いほど伝わってきます。断片的に見ると「オタクって意味わかんねぇ」って部分が多いという人も、一定の理解を示せるというか「多くの人間が夢中になるほどの存在」に対する魅力が分かるというか…。

大半の人はここまでの情熱をアイドルに捧げたことなんてないと思うんで、そういう未知の世界を覗く面白さみたいなものも感じられると思います。アイドルオタク特有の近寄りがたい雰囲気というか、言葉を選ばずに言うと気持ち悪さみたいなものも感じないし、誰でもすんなり入っていけるんじゃないかと。

 

あとがき

推しが武道いっても死ぬこたぁねぇ。