キンドルアンリミテッドで漫画を探していると、たまに超良作に出会うことがあります。本作もそのうちの1つです。漫画家にスポットを当てた作品なんだけど実話っぽいのに実話じゃないというか、建前上は「フェイク・ドキュメンタリー」って言って、あくまで虚構の物語をドキュメンタリー形式でお送りする作品となっています。
これが妙に生々しくて、リアリティがハンパないんです。むしろ「いや、これ実話でしょ?」くらいの感じ。というわけで今回は、生々しいフェイク・ドキュメンタリー「描クえもん(連載中)」を紹介します。
描クえもん あらすじ
「お前…漫画家目指すのやめろ」
「未来から来た自分」と名乗るおっさんに翻弄されながらも、漫画家を目指す青年・満賀描男(まんが かくお)。夢へ突き進む描男を待ち受けるものは…!?
フェイク・ドキュメンタリー的手法で明かされる漫画業界の光と闇。次巻予告付き
描クえもんの見所をチェック!!
〇〇えもん
本作を手に取ってまず最初に思うのが「描クえもんってなんやねん」って部分。まぁ漫画家にスポットが当たっているから描くってことになっていて、未来の自分が現代にやってくるって設定から「えもん」が付いてくるって話なんだけど…。
この緩い感じがとにかくいいです。表紙絵も綺麗なんだけど緩いし、肩に力を入れることなく読めます。でもまぁ読んでる最中はどんどん肩に力が入ってくる内容なんだけどね。
物語の根底にある「フェイク・ドキュメンタリー」という設定
本作は漫画家のアシスタントをしていた主人公が、初めて連載を任されてそれがヒットして一躍スターダムにのし上がる的な展開になっています。そしてその作品名が「魚猿」っていうね。
ドラマ化もされた某作品にすごく似ているネーミングや境遇を感じるあたり、フィクションとはされながらも「本当にそうなの?」って部分が否めません。体裁を繕ってフィクションってことにしてるんじゃないかって感じがすごく伝わってきます。
最近は芸能人が事務所をやめて独立するってニュースも出てきてるし、漫画家さんにおいても「なんらかの搾取」みたいなものは絶対にあると思うんですよね。ドラマ化やら映画化って聞くと華々しい世界のように思えるけど、実際は色んな奴が群がってくるんだろうなって感じがするというか。
「本当にこれって作り話?」と思えるような生々しいシーンの連続に、息を飲んで読み進めること間違いなし。
売れっ子漫画家の華やかじゃない部分
漫画家を題材にした漫画はこれまでにも数多くあったけど、大体は「新人から少しずつ日の目を浴びる」的なストーリーであることが多いです。とりわけ有名なのは「バクマン」でしょうか。
本作はそういう華やかな部分ではなく、いわゆる日陰の部分にスポットが当てられています。とは言いながらも実際には売れている漫画家さんが主人公になっているので、本当に「売れていない、才能ないという漫画家のどん底」ってわけではないんだけど、内容はかなり暗め。
隣の芝生は青く見えるじゃないけど、売れない漫画家からしたら「売れてるだけいいやんけ」って思う部分もあるだろうし、かと言って売れてるとは言っても「売れたからこそ気付く不条理」みたいな部分に苦しまされることもあるわけで。今までになかったタイプの漫画であることは間違いないです。
描クえもん コミックス序盤を読んだ感想・レビュー
どの業界にも悪い奴がいて、情弱を食い物にしているって構図は別に珍しくとも何ともないじゃないですか?でも漫画でそれを読めること自体がすごいことだと思いました。
例えば芸能人が芸能界の悪口を言うには、今度もうテレビ業界でやっていけなくなるリスクを背負うことになるわけで…。今なら「テレビやめてYouTubeやる」って選択肢もあるからアレだけど、漫画家さんで出版社のタブーに切り込むのって結構ヘビーだよね。
建前上はフェイク・ドキュメンタリーってことになってるけど、編集担当者を軽くディスって笑いにするという感じのジョーク感が一切ないってのがすごいです。だから読んでるこっちも「フィクションってことになってるけど、実はこれって実話なんじゃね?」って思わされます。
海猿、ブラックジャックによろしくで有名な佐藤秀峰氏の作品なので、絵も綺麗で読みやすいです。ちなみにKindle Unlimited登録者なら、無料で読めるのでぜひ読んでみてください。
あとがき
騙すのも騙されるのも嫌だねぇ。
職業・ビジネスがテーマ|面白くておすすめのお仕事漫画を厳選紹介!
Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)で無料で読める面白くておすすめの漫画を紹介する