動物漫画を手に取る場合は、基本的には対象となっている動物が可愛いかどうかで決めることが多いです。これは見た目が可愛いのはもちろん、ぶさかわ(不細工+可愛い)も含まれます。
しかし本作の主人公は可愛いんだろうか…ぶさかわに該当するんだろうか…。ちょっと失礼かもしれないけど、良い意味で気持ち悪いです、良い意味で。見てる分には面白いです。というわけで今回は、小4男子並みの知能を持つ天才犬が見ている世界を描いた物語「横須賀こずえ(全4巻完結済み)」を紹介します。
横須賀こずえ あらすじ
駄犬好き必見!ワン!&オンリーな犬漫画!王島家一家はペットに縁がない家庭だった。しかし、長男・王島(♂)がつい拾ってきてしまったのは、小4男子程度の知能を持つ天才犬(♀)。
その犬を可愛がりたい次男・まさお(♂)。あくまで預かっているだけと受け入れない母(♀)。恐妻家で母に同調するだけの父(♂)。果たして犬(♀)は王島家の一員になれるのか…!?
横須賀こずえの見所をチェック!!
小4男子程度の知能を持った犬が主人公
本作の主人公は、王島さんのお家に拾われてきた犬です。見た目はちょっと特徴的な髪形をしていて、結構前に国際弁護士としてバラエティー番組に出まくっていた湯浅弁護士、あるいは海原はるか師匠を思わせるかのような風貌(髪型)をしています。
それでいて中身は、小学校4年生の男子と同程度の知能を持っている天才犬です。普通、天才犬って言われたら想像するビジョンが読者にはあると思うんですが、そのいずれとも違う意味での賢さを感じます。
例えば「子供を前にいたずらしても問題ないけど、お母さんを前にいたずらするとややこしいことになる」とか。でもまぁ僕が小4の時も、おかんには暴言吐いてたけど親父出てきたら泣いて謝ってたな、そんなもんか。
こずえの賢さが面白い方向に発揮されている
動物のエピソードで言えば、「カラスがくるみを割ろうと思って、走ってる車がそれを踏んでいくように空中から道路に落とす」みたいな賢さこそが、天才〇〇と言わしめる根拠だと思うんです。でもこずえの場合は、確かに天才なんだけど根本的に何かがおかしいと感じさせられます。
例えば全力で走り回りたいとか、全力で何かを追いかけたいという本能が犬全体のものだったとして、散歩の時にその欲求を満たせないという場合は、どうにかしてその欲求を満たそうと考えるはず。
そんな時に子供がボール遊びをしていて、坂道を転がっているボールから着想を得て、それをヒントに坂道の上でう〇こをするっていうのは賢いんです、賢いんだけどなんか違う!自分が飼ってる犬がこんな感じだったらちょっと引くってくらいに賢いけど、見てる分には面白いです。
中にはよくわからないエピソードも
本作の主人公は天才犬のこずえなので、近所の犬同士の会話みたいなシーンはたくさん出てきます。そういう意味ではリアルよりじゃなくて日常ファンタジーって感じなんだけど、もっとすごいのは「よくわからないエピソード」も出てくるという点です。
こずえが天才だから周りの変人・奇人を呼び寄せてるって説も有力で、とりあえず「面白いという感想に終始しないだけのエピソード」も多々存在します。1日だけ人間に戻れる的な割とよくあるものなら分かるけど、近所のおじいさんに声をかけられてリヤカー引くとかそんな話ある?
ギャグテイストが強めな作品ではあるにもかかわらず、その裏には哀愁というか切なさみたいなものも兼ね備えていて、エピソードによってがらりと雰囲気が変わるんですよね。それも本作の大きな見所だと思います。
横須賀こずえ コミックス全4巻を読んだ感想・レビュー
喜怒哀楽の色んな感情を揺さぶられる全4巻でした。…怒って感情はなかったかな。コンスタントにシュールな笑いというか、才能の無駄遣いみたいなものを楽しませてもらい、たまに間にわけの分からないエピソードがあったり、かと思ったらしんみりさせるかのような良い話があったり…。感情があっち行ったりこっち行ったりで忙しいです。
最後の4巻目は最終巻ということもあってか、これまでとは一気に空気が変わった感じがします。終わりなんだからそれでいいって意見があるかもしれないけど、個人的には序盤のテンションのまま走り切って欲しかった感も。動物漫画が好きな人の中でも、特に「人間っぽい動物、前世は人間だったと思われるような犬」が好きな人におすすめです。
あとがき
犬のはずがうっかり人間に生まれてきただけよ、きっと。
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