政治家なんかでも接待費に関する話題がニュースになったりしていますが、悪質なものじゃない接待はそこら中に溢れているかと思います。漫画家さんにおいても打ち合わせと称する接待は日常茶飯事なんでしょう。
個人的には接待されるような立場でもないし、得意先に対して接待が必要な仕事をしているわけでもないので、経費を使ってご飯を食べるという行為そのものに一種の憧れを感じます。憧れっていうより「お、大人やん…」みたいな感じでしょうか。
というわけで今回は、漫画家 vs 編集者による打ち合わせ系グルメコミック「漫画家接待ごはん(全3巻完結済み)」を紹介します。
漫画家接待ごはんのあらすじ
漫画家と編集者が集うお店という名の戦場、そこで漫画家・濱ケンジは今日も打ち合わせと言う名の“デュエル”に向かう。和食・洋食・中華…あらゆるごはんの誘惑に打ち勝ち、濱は自分の主張を編集者に伝えきれるのか!? 漫画家vs編集者による打ち合わせ系グルメコミック!
漫画家接待ごはんの見所をチェック!!
漫画家のテンションを上げさせるための接待ごはんがテーマ
最初にタイトルを見たときは「漫画家さんが編集担当を締め切りから気をそらさせるために、美味しい料理でおもてなしするのかな?」なんて思ってましたが、どうやら逆で「漫画家さんにやる気を出してもらうために接待する」という流れ。
漫画家が主役になっている作品って意外と多いんですよね。なんでかって思ったら、自分のことを漫画にすればいいってことで「取材の手間や費用が掛からない」みたいなことを聞いたことがあります。でもこれはあくまで描く側の意見であり、描かせる側は気も遣ってお金も使っているってことなんでしょう。
おそらく実体験を漫画にされているはずなので、料理だけじゃなく編集との付き合い方にも妙なリアルさを感じました。業界の愚痴や漫画家ならではの人間不信になりそうな空気感も興味深く楽しめます。
王道料理から地方料理まで様々
ちょっと小太りで人柄が良さそうにデフォルメされている主人公ということもあり、料理を美味しく食べている演出は非常に良き。そして舞台が博多⇔東京ということもあって、王道料理から地方ならではの料理まで手広く取り扱われています。
僕自身、地元をあまり出たことがないんで、全国各地の美味しいものを食べたことがほとんどないんだけど、それでも博多は美味しいものが多いって聞きますから、非常に興味深く楽しむことができました。そして接待ごはんっていうこともあって、それなりの料亭に足を運んでいるケースが多いのも面白かったです。
個人的には接待をしたこともされたこともなく、会社の経費で美味しいものを食べるっていう経験も発想もゼロなので、普通に憧れも膨らんでいった感じ。来世で生まれ変わったら編集担当に転生したい、そうしたい。
ちょっとしたグルメ系・漫画家系の雑学あり
意外とって言ったらアレだけど、ちょっとした小ネタも多数あります。それはグルメ的な雑学から、漫画家ならではの発想・悩みまで様々です。僕みたいな一般人からすると「仕事で褒められる→素直に嬉しい」って感覚になるんだけど、漫画家さんの場合は「神輿に担がれる→騙されているのでは?」みたいになるって気持ちも分かるっていうね(もちろん人によるだろうけど)。
いずれにしても打ち合わせに綺麗な女性をよこす…みたいなのって、営業や接待なら普通にありそうな気がするし、地方在住の漫画家さんが東京から来た編集担当者を逆にもてなすっていう展開も想像に容易かったです。
ちなみにアニサキスによる腹痛のニュースとかめちゃくちゃ聞くけど、僕は生魚(それも安いやつ)を食べることが割と多いのに被害に遭ったことがなくて…もしかしたら地域性の問題なのかも。これは勉強になりました。
漫画家接待ごはん 全3巻を読んだ感想・レビュー
様々な切り口のグルメ漫画がある中で、自身が漫画家であるという強みを活かしながらの「接待ごはん」にフォーカスしている点が非常に面白いです。その辺の営業マンが接待してるんじゃなく、漫画家さんが接待されている様子を漫画家さん視点で描かれているわけですから、そりゃ漫画好きの読者としては惹かれるものがあります。
あと主人公の絵だけ見るとマスコットキャラっぽい感じなんだけど、料理は美味しそうだし、女の子の絵は可愛らしいです。やっぱ料理の絵が上手っていうのは武器になるなぁと感じました。
あとは「懐疑的な漫画家 vs あの手この手で仕事をさせようとする編集」みたいな縮図も面白く、全3巻という読みやすいボリュームも良かった!漫画家さんの裏側みたいな描写も少なくないので、そういうの興味がある人にはおすすめです。
あとがき
接待されたい、会社のお金で美味しいご飯が食べたい。