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「無頼伝 涯」を読んだ感想・レビュー

 

福本伸行氏の漫画と言えば圧倒的に「カイジ」が人気だと思うんだけど、個人的にお勧めしたいのは「銀と金」か本作です(「天-天和通りの快男児」も好きだけど、これは麻雀を知らないと楽しさ半減だからなぁ)。

とりわけ本作に関して言えば5巻で終わるボリュームということもあって一気読みにも最適ですし、手に汗握るハラハラ感やアンダーグラウンドな世界観が秀逸なバランスで描かれていて、ちょっと闇の世界が好きだという人にはたまらない作品と言えるでしょう。

というわけで今回は、スリルとピンチの連続が病みつきになる「無頼伝 涯(全5巻完結済み)」を紹介します。

 

 

無頼伝 涯 あらすじ

「見てろっ………! オレは必ず這い上がるっ…………!」資産家の老人を殺害した犯人に仕立て上げられた中学生・工藤涯(くどう・がい)が、自分の無実を証明するために闘っていくサスペンスアクション。鳳臨グループの会長・平田隆鳳(ひらた・りゅうほう)を刺殺した容疑者として追われる工藤涯は、ビルの路地に追い込まれ、警部・安部(あべ)と対峙する。そこで涯は、自分ははめられたのだと告白するのだが……!?

 

無頼伝 涯の見所をチェック!!

冤罪から始まる物語

 

個人的には少年法を含め、色んな部分で「犯罪者の刑罰が軽すぎる」と思うことが多いんだけど、それと同時に「万が一、自分が冤罪で捕まったら?」ということを考えたりもします。本作は普段の素行の悪さに目を付けられた主人公が、殺人の濡れ衣を着せられて施設送りになってしまうという物語です。

未成年の少年Aであれば、刑務所じゃなくて少年院とかになるのかな?それが本作では「人間学園」と呼ばれる、非人道的な人間矯正施設になっていて…という感じ。

もちろん本人は無罪なわけで、誰がどんな目的でこのような罪をでっち上げたのかという部分にも、人間の欲とか醜い部分が巧みに表現されているし、序盤から真相が気になることは間違いないです。

 

問題児としてマークされながらの脱走劇

 

何度も言うように本作の主人公は冤罪で逮捕されています。世間的には凶悪犯ということになっているけど実際は何もしておらず、本人からすれば「なんとか脱出したい/自分の無罪を証明しなければならない」という考えで一杯です。

そのため施設内から事件の概要を洗い出したり、それと同時に施設から脱走することを考えたりするんだけど、中には当然「黒幕の息のかかった者」がいるわけで、そういう人物からの徹底した監視をどう潜り抜けていくのかというのが本作の見所の1つとなっています。

近寄ってくる人間たちの1人1人を注意深く観察して仲間に引き入れるべきかどうかの判断など、中学生とは思えないくらいの観察眼も見応えアリです。

 

非人道的な制裁の数々

 

単なる脱走劇としてもスリルはハンパないのに、本作には「捕まったら殺される可能性がある」という多大なリスクが付きまとっています。そもそも脱走しなくても死人とかバンバン出そうだけど。

いずれにしても「非人道的な制裁の数々」が、本作のスリルや緊張感を数レベル上のモノに押し上げていると言っても過言ではありません。カイジと比較してもこんなんは正気の沙汰じゃない。

管理する側としては、何とかして「変な気を起こさなければそれなりの生活が出来る」ということを刷り込むことが目的なんだろうけど、それを安全圏から見られるっていうのは完全に娯楽です。

読者として安全が担保されている状態で、人の不幸じゃないけど「主人公がこの窮地をどうやって脱出するのか」を見ていられるのはぶっちゃけクセになりそう。

 

無頼伝 涯 全5巻を読んだ感想・レビュー

僕は本作をリアルタイムでは読んでいなくて、カイジから入って福本作品を読み漁っていた時に本作に辿り着きました。結論から言うとめちゃくちゃ面白いです。

カイジとかアカギにあるようなギャンブル要素は全くないものの、人間の思考の外側を突く考え方みたいなものは本作にもあって、やはり「固定概念に囚われているようじゃ損をするなぁ」ということを痛感する読者も多いんじゃないかと思いました。

例えば10階建てのビルの5階にいて、何者かに追われている状態で「下じゃなくて上を目指せる人間」って言うのかな。普通は一刻も早く逃げたいから下に行くのに対して、ちゃんとした理由付けで逆の発想を見出す人種っているじゃないですか?本作はまさにそんな感じ。

福本氏の作品の中では珍しく全5巻完結となっているのもどうやら打ち切りだったようですが、最後の終わり方を見ても打ち切りっぽさはないです。スリリングな展開、ダークな世界観を求めている人が読んだら普通に楽しめると思います。

 

あとがき

切れば……失明するっ………!

 

 

 

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