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「爆音列島」を読んだ感想・レビュー

爆音列島表紙

 

僕が住んでいる家は近くに国道があって、暖かくなってくるとバイクの音が聞こえてくるんですが、時には夜中に爆音で走っているバイクもあって、部屋に虫が入ってくるのよりも先に夏の訪れを感じます。

暴走族に対して寛容になれる器量は持ち合わせていませんし、今でも無駄に爆音で走っているバイクにはうるさいと感じるものの、過去には不良に憧れた時期もあったし、暴走族みたいな世界観に魅力を感じるという人は多いのでは?

そういう人にとっては喉から手が出るほど魅力的な漫画がこちら。というわけで今回は、暴走族としての生きざまと濃密な十代の時間を描いた「爆音列島(全18巻完結済み)」を紹介します。

 

 

爆音列島 あらすじ

『地雷震』『スカイハイ』の高橋ツトムが描く1980年、東京。歪んだ青春が幕を開ける! 転校、ダチとの出会い、集会への誘い。そして咆吼と暴力の渦中、圧倒的な解放感が支配する「族」の世界へ! 濃密な時間のなか、「少年」から「不良」へ瞬く間に変貌を遂げるタカシだったが……!? 世代を問わず「不良」に感応する読者の絶大なる共鳴を集め、「アフタヌーン」にて大好評連載を果たした青春群像劇!!

 

爆音列島の見所をチェック!!

最初は割と普通な優等生から徐々に不良、暴走族の道へ

爆音列島1

 

特攻服を着て前線を走り、警察を挑発しまくっている暴走族だって最初から不良だったわけではありません。少しずつ悪いことを覚え、徐々にそのような世界に踏み込んでいったという意味では「友人」の存在が大きいのではないかと。

本作の主人公は友達と無断欠席をして喫煙していたところを学校に見つかり、親がそれを嫌って中学校を転校させたところから始まります。元々、ワルだったというわけではなく、ただの好奇心で1回やってみたらたまたま学校に見つかってしまったというだけの話です。

当然、知り合いも誰もいない環境というのは心細いわけで、格好や持ち物を見ては「共通点」を見つけて類友が寄ってくるのは必然と言えるでしょう。後に暴走族となる彼ですが、なんら普通の人らと変わらない様子に何かを思わずにはいられません。

 

少しずつ気合の入った暴走族の一員に成長

爆音列島2

 

胡散臭い雑誌を見ていると、気合の入りまくった写真と共に「喧嘩最強」という自負が語られていることがあります。でもほとんどの場合、最初から最強だった人なんていないはずです。本作の主人公も最初は暴走族の真似事から入り、抗争相手に捕まった時は「どうやって逃げるか」しか考えられない少年でした。それが徐々に変わっていきます。

「仲間がやられた」とか「先輩からヤキを入れられた」とか…。理由は色々あるし、これを「成長」って言っていいのかどうかは分からないけど、暴走族の一員としては間違いなく大きな存在になっていきます。

それを見てしまうと誰も無縁とは言い難いというか、友達や境遇によっては「自分もそうなった可能性があるかもしれない」という意識を捨てきれず、まるで他人事じゃないようなリアルなストーリーとして楽しめるでしょう。

 

「若気の至り」という言葉じゃ足りないくらいの濃密な時間

爆音列島3

 

十代の多感な時期には色んなことを経験するので、非常に濃密な時間となります。これは善悪関係なく、実際に経験した人、誰にでも平等に訪れるものです。

こと暴走族に関して言えば、決して褒められることではないにしても「仲間たちと過ごした時間」のような仲間意識みたいなものは大きな糧になるはず。特に「自分が危機の時に命を張って助けてくれた仲間」みたいなものは一生涯の宝物になるかも。

実際に親、社会に迷惑をかけるシーンがたくさんあるので、単純に「かっこいい、憧れる」みたいな賞賛の言葉を向けることは憚れるんだけど、僕みたいに何事も中途半端でスカスカな人生を送ってきたという読者には、大いに刺さる濃密な時間が見所です。

 

爆音列島を読んだ感想・レビュー

コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

1巻時点ではまだ導入部の少しずつ悪いことを覚え始めている段階で、、不良ごっこをしている段階です。ただし家庭環境が険悪になってきたり、交友関係にもヤバそうな連中が増えてきた感はあって、これから徐々に危うくなっていくんだろうなぁという雰囲気が漂っています。

例えば数に利のあるシチュエーションにおいて、絡んだ相手が実は格上の人間で後で返しに遭うなんてのはよくある話ですが、今後そういう危険な場面に足を踏み入れていくことが増えてくると予想される1巻でした。

絵の迫力も抜群で、物語のダークな雰囲気とマッチしています。一般的な不良漫画、ヤンキー漫画にあるようなギャグ的な要素はほとんどありませんが、悪の道に染まっていく一部始終のような重厚な物語を求めている人には文句なしにおすすめです。

 

コミックス全18巻を読んだ感想・レビュー

不良漫画的な要素が大きいんだけど、全部読んだうえで思うのは「青春群像劇」ではないかと思う点です。暴走族といえば仲間でツルんであれこれやってるイメージがあるものの、その実、本当は独りぼっちというか「いつまで暴走族をやっていられるのか」っていう葛藤みたいなものが重くのしかかってくるというか。

この辺は暴走族に限らず、ミュージシャンとか高校野球とかでもいいんだけど、頑張れば頑張るほど突き抜けないと徐々に居場所がなくなっていくという焦燥感見たいなものを見せつけられたような気がします。

で、ミュージシャンとか高校野球なら死人は出ないし警察の厄介になることもないから、その辺が僕みたいな一般の読者からすると新鮮に感じて、読み物として楽しめる魅力に溢れていました。特に中だるみもなく、恋に喧嘩に家庭環境に…とにかく濃密な時間を堪能できる18巻です。読んで後悔しないレベル。

 

あとがき

クロマニョン人っぽいからマニョン。

 

 

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