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「百年のワルキューレ」を読んだ感想・レビュー

百年のワルキューレ

 

自分の家族を皆殺しにされて、その仇が姿も隠さずに隣の国のトップとして君臨してたら、否が応でも血みどろの展開になりそうなもんですけど…。本作はそんなダークな雰囲気をあまり感じさせないファンタジー作品です。むしろちょっと素敵だなってくらいに思えます。

親の仇がそこまで憎たらしくないとか、100年に一度現れるワルキューレっていう設定とか、とにかく見所がたっぷりです。というわけで今回は、百年に一度の運命の恋が戦乱を呼ぶ「百年のワルキューレ(全2巻完結済み)」を紹介します。

 

 

百年のワルキューレ あらすじ

百年に一度、「ギフト」と呼ばれる超常現象が起こり、強大な力を持つ「神剣」がただ一人の男に与えられる世界。「剣乙女」――ワルキューレから愛と神剣を手に入れた一人の英雄が、最北の国・ローレシアで革命を成し遂げる。それから7年後。かつての革命で全てを失ったローレシアの皇子・ニコライ(クラウス)は、数奇な運命の巡り合わせで、新たな剣乙女と出会う。百年に一度の運命の恋が、世界に戦乱を呼ぶ――。

 

百年のワルキューレの見所をチェック!!

革命で刃を向けられた王族の生き残りが主人公

百年のワルキューレ1

 

絶大な力を手に入れた1人の男を中心とした団体が革命を起こし、皇帝や皇后らを切り伏せるところから始まるファンタジー漫画です。この始まり方はダークファンタジーって言っても問題なさそうだけど、そこまで暗い雰囲気や悲観的な感じがないので微妙なんですよね。

革命では王族を全滅させるはずだったのが、ちょっとした気まぐれによって2人の皇子が生き残ることになります。このうちのお兄さんの方が本作の主人公です。とは言え、もちろん恨みはあるんだろうけど復讐に燃えるという感じではなく、あくまで「弟と平和に暮らしたい」という感情の方が強そうな感じ。

親の仇がかつて自分が暮らしていた国で王様をやっているっていう何とも言い難い設定もそうだし、ただの気まぐれで拾ったはずの命の大きさや主人公の生き様に大きな魅力を感じられる作品です。

 

100年に1度のギフトとワルキューレの誕生

百年のワルキューレ2

 

本作の世界には大きな設定があって、百年に一度「ギフト」と呼ばれる超常現象が起こり、強大な力を持つ「神剣」がただ一人の男に与えられる世界となっています。簡単に言うと空から女の子が降ってきて、何かしらの条件をクリアすることでその女の子から最強の力(神剣)が与えられるというもの。

ちなみに主人公の家族が皆殺しにあった際の革命派のリーダーは、この神剣を手にして革命を起こし、現国王の座に就くことに成功しました。つまり現国王を倒そうと思ったら今回のギフトを絶対にモノにしなければいけないんだけど、果たして主人公にそういう野望があるかどうかって話です。

ちなみにワルキューレ本人には自分がそういう特別な存在であるという認識もなく、どうすればその最強の力を与えられるのかも把握していません。誰がどのような形でこの力を手にするのか、非常に大きな見所と言っていいでしょう。

 

ワルキューレを巡る争い

百年のワルキューレ3

 

かつてワルキューレの力で革命を起こした現国王側としては、何としてもワルキューレは手元に置いておきたいと考えるでしょうし、そうでなくても国を守る目的なんかがあれば力はあるに越したことはないでしょう。

そこでワルキューレを巡る戦争のようなものが起こることは想像に容易く、そもそもワルキューレ自身にもその自覚がないので、知らないところで奴隷として扱われたりっていうこともあるわけです。

自分を救ってくれた人間がいたとすれば、その人と一緒にいたいと思うじゃないですか?で、自分に強い力があるっていうことが分かっていれば、その人に渡したいって思うはず。でも圧倒的な力を持っている人間にかき回されて、その力はどこに向かうのかっていう一連の流れはめちゃくちゃ見応えありです。

 

百年のワルキューレ コミックス全2巻を読んだ感想・レビュー

全2巻だけどすごく読み応えのあるファンタジー(ダークファンタジー)でした。家族を皆殺しにされてその仇が今もなお国のトップとして存在しているわけですが、このパターンでそこまで復讐に燃えているっていうわけでもないっていうのは斬新だったような気がします。

そしてその仇も気まぐれとはいえ2人の皇子を殺さずに生かしたままにしてるし、革命を起こしたって言っても国民から恨まれている感じもないっていうね。敵が普通の敵っぽくないっていうのも面白いなぁと思いました。

個人的にはもうちょっとドロドロした感じにしてくれても良かったんだけど、非常に読みやすくて素敵なファンタジー作品なので、特にドラマチックな展開が好きだという人におすすめです。

 

あとがき

この世界は一人の女に狂っている。

 

 

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