記事内に広告を含みます

「空男」を読んだ感想・レビュー

空男表紙

 

もし空の世界を職場にしたいと考えたら、男はパイロット一択だと思っていました。もしくは空の世界に携わるという意味で、飛行機の整備士とかね。

しかし今は、男性のCA(客室乗務員)が少しずつではあるものの増えてきているそうです。明らかに的外れな男女平等の雇用機会がうんたらかんたらは嫌いだけど、本作を読んだら男性のCAは今後も少しずつ右肩上がりになっていくんじゃないかと思いました。

というわけで今回は、男性CA(客室乗務員)の職業漫画「空男(全4巻完結済み)」を紹介します。

 

 

空男 あらすじ

「別に今日死んでもいい」。人生をあきらめかけていた高校生空賀カケルだが、修学旅行中に生き生きと働くCAの妃と出会ったことで「空の世界で働きたい」と思うようになる。偶然手に入れた名刺から大手航空会社・日本エアラインサービスの社員、高殿に相談したところ、高卒採用のある日本アイランド航空のCAを目指すことになるが……。

 

空男の見所をチェック!!

完全なる女社会へ挑戦する青年の物語

空男2

 

最近は男女平等の声が大きくなってきていて、これ自体は非常に良いことなんだけど「そこまで50:50を求める!?」くらいのことも珍しくありません。個人的には保育士・看護師あたりならまだしも、レースクイーンやラウンドガールとかにまで男性の活躍の場を求めるのは違うと思っています(そもそもレースクイーンとか自体が不要って説はさて置き)。

そして保育士や看護師あたりは男性の方も増えてきたように思うんですが、空の世界はまだまだ女社会と言えるのではないでしょうか。今はキャビンアテンダントとか客室乗務員と呼ばれている人たちも、一時期はスチュワーデスって言ってましたけどね。看護婦とかナースじゃなくて看護師に統一されたのに似たような背景があるんでしょう。

いずれにしてもCAの世界における男性は、圧倒的な少数派であることは間違いありません。ハーレムな世界で羨ましいって思えそうな半面、実際に「じゃあお前やれるか?」って言われたら絶対に無理だと思うので、少数派の世界で働こうと決意した覚悟は大きな見所だと思います。

 

頑固な部分と柔軟な部分のバランス

空男1

 

初めて乗った飛行機に感動して、そこで空の世界を目指すんだとしたら「パイロット」が王道じゃないかと思います。しかし本作の主人公は男性としての客室乗務員を目指しました。

個人的にこれは「人の命を救いたいと言って、医者じゃなく看護師を目指す」みたいなことに近いんじゃないかと思ったんですが、この場合は最もな理由を喋ると思うんです。「より患者さんに近い位置にいたい」とか何でもいいんだけど、少なくとも「医者になるだけの学力もお金もない」とは絶対に言わないはず。

ところが本作の場合、「最初はパイロットになりたかったけど大学に行かなきゃいけないみたいだし、そもそも学力も必要だし、そんなん自分には無理!でも空の世界で働きたい」という感じで客室乗務員を目指しています。僕はこの柔軟な考えと素直な物言いが気に入りました。

面接の場を取り繕うかのような詭弁とか建前じゃない姿は、職業漫画として様々な学びを与えてくれるのではないかと思います。

 

やりたいことを見つけた男の必死さ

空男3

 

勝手なイメージだけど男性の客室乗務員ってスマートというか、文科系硬派なイメージがありました。それこそ草食系とかそっちのイメージです。淡々と業務をこなし、トラブルやクレームに対しても冷静で、休み時間には紅茶と甘いお菓子を嗜む…もちろん全員が全員そんな感じじゃないにしても、そういう印象を持っていました。

しかし本作の主人公は、割と熱血系の空気を纏っています。さすがに警察とか消防ほどの熱量はないにしても、自分の熱意とか必死さに関しては引けを取らないレベルです。何の仕事であっても、これだけ必死に取り組んでいる様子を見せられたらカッコ良いって思うし、応援したいって思います。

 

空男 コミックス全4巻を読んだ感想・レビュー

僕はここ10年で飛行機に乗っていないので、男性の客室乗務員を見たことがありません。…が、ニュースでは少しずつ増えてきていると聞いたことがあります。その背景の一部を覗くことができるのが本作です。

憧れっていう意味ではどうしてもパイロットの方に気持ちが傾いちゃうんだけど、男性の客室乗務員はもっと重宝されてもいいんじゃないかと思いました。女性相手だから横柄な態度を取る男性客なんかも多そうだし…。

本作にも嫌な客とか、同僚との衝突みたいなシーンがあるんだけど、もうちょっと色んな角度からのトラブルと解決までの道筋を楽しみたかったです。全4巻はちょっとボリュームが少なくて、駆け足っぽくなってしまっているのが残念でした。

でも職業漫画として男性の客室乗務員にスポットが当たったのは稀有な例だし、すごく貴重な作品だと思います。主人公の必死さが光る全4巻、一気読みできるボリュームなので気になる人は読んでみては?

 

あとがき

こうなると女性パイロットの漫画も読みたくなる。

 

 

全5巻以内で完結する面白くておすすめの漫画を紹介する