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「絶望の楽園」を読んだ感想・レビュー

 

個人的には信心深さとかが驚くほどないんで、宗教に心を寄せる人って全然理解できないんだけど、中には「最初は恐怖で支配されることによって、最終的には精神が崩壊する」ってパターンもあるのかなぁと。

本作はちょっと危険な思想を持った宗教集団の物語です。地下の強制労働施設みたいなところで管理されて、選別やら何やらの対象になりながらも「果たしてここを無事に脱出できるのか」みたいな話。

というわけで今回は、危険な思想を持った宗教団体によって拉致されるところからスタートする「絶望の楽園(全6巻完結済み)」を紹介します。

 

 

絶望の楽園 あらすじ

17歳の初夏、母を亡くした。忙しい毎日の中で、少しずつ拡がった胸の穴を、彼女の笑顔だけが埋めてくれた。夏の盛り、青年は“楽園”に連れ去られた。地下労働、腐った食事、狂信的な信者たち。この地獄から脱け出す方法はただひとつ。偽りの信仰を捧げ、全てを騙せ──!

 

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カルト宗教の教団施設からの脱走

 

本作の当初の目的は「拉致によって連れてこられた謎の施設から生きて脱出する事」です。もちろんその過程で仲間が出来たりして、自分だけ助かればいいっていう感じじゃなくなってくるから少しずつ複雑になっていくんだけど。

まぁプリズンブレイクみたいな感じで「収容されている施設から逃げ出す」っていう展開は、非常にスリリングで読者の気持ちを引きつけるんじゃないかと思います。綿密な計画と大胆な行動のギャップとか、ドキドキする要素が詰まってるし。

上手くいけばいいけど失敗した時に命の保証がないかもしれないし、なんなら死んだ方がマシっていう展開が待ってるかもしれないって思ったら手のひらにじわっと汗が滲んでくるはず。

 

カルト宗教における主人公の立場

 

本作で描かれているカルト宗教は常識から逸脱しています。神殿と呼ばれる建造物を地下に建設していたり、腐った弁当をありがたく食べていたり、儀式と称して首を斬られたり…。

まぁ神殿を作るための労働を強いられている人たちは奴隷的な立場の人たちで、いわゆる信者って人たちです。主人公が完全に洗脳されておらず、信者の立場としてここに居なきゃいけないのであれば、そりゃ脱走したくもなるだろって思うんだけど…。

本作の主人公の立ち位置は「教祖の息子」となっていて、僕みたいな読者からするとぶっちゃけ羨ましく感じる部分も多々あります。軽いハーレムみたいな感じもあって、ゲスイことを言うと「このまま教祖になっちゃおうかなー」くらいの感じ。

ただし教祖には何人も息子がいて、そのほとんどが後継者候補という扱いなんで、そこに漏れてしまうと処分される可能性があるっていうね。どっかの国の総書記だの委員長みたいな感じにも見えて、羨ましさ3割、恐怖7割みたいな感じです。

 

死者の蘇生

 

そして本作の重大テーマの1つが「死者の蘇生」です。ここは本作のどういう要素に期待しているのかによって賛否あるんじゃないかと思うんだけど、本作が単なるオカルト漫画じゃなくてダークファンタジー的な要素を持っている要因になってます。

ここでそれが何なのかはネタバレになるので言及はしないけど、まぁ現実的なものではないです。これがまかり通るなら、まぁカルト宗教と一括りにもできないというか、そりゃ信者がいても別におかしくないよなぁという感じ。

同時に「大切な誰かを亡くしてしまった人」が信者になるのも頷けます。このトリックというか「どうやって死者を蘇生させているのか」っていう部分は本作の大きな見所と言えるでしょう。

 

絶望の楽園 全6巻を読んだ感想・レビュー

パッと見た感想としては「ドラクエ5の強制労働施設みたいだなー」っていう感じ。まぁドラクエの方は肉体労働をさせるための奴隷ってのに対して、本作の方は宗教が大きく絡んでくるから読み進めていくと全然違うってことには気付くんだけど。

最初はエロ要素なんかも結構あって、それこそ「教団の上層部が私利私欲を肥やすために信者から搾取する様子」という感じだったのが、気が付いたら見事なまでに邪教・カルト宗教を思わせる描写に変わっていたんで思わず驚きました。

最初はミステリアスな恐怖感と好奇心が刺激されてガンガン読み進め、中盤からは裏切ったり裏切られたりの連続で読者の精神も疲弊してくるって感じでしょうか。黒幕の目的とかここに至るまでの経緯とか…読んでてめっちゃ気になる。

 

個人的にちょっとだけ不満だったのは、現実と非現実の境目が分かりにくいってところです。「こんなカルト宗教あるわけないやん」っていう人は多いだろうけど、これの魅力は「もしかしたらどこかにあるかもしれない」っていう恐怖感じゃないかと思うんです。

だから教祖が見せる奇跡にはタネがあって、洗脳やトリックを奇跡のように見せていたって方が個人的にはしっくりくるというか、死者が生き返るってネタに対しても蓋を開けてみれば「なんだ、そんなことか」ってのが重要だと思っていたんで、その辺の境界が分かりにくくて最後に「???」ってなってしまいました。

 

あとがき

絶望の楽園と希望の地獄ならどっちかね。

 

 

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