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「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」を読んだ感想・レビュー

裁判長!ここは懲役4年でどうすか表紙
Ⓒ裁判長!ここは懲役4年でどうすか

過去に何度か裁判を傍聴しに行ったことがあります。最初は軽いノリで行ったら意外と面白くて、犯罪とは言ってもライトなやつを選んで傍聴に行ってたんだけど、結構ヘビーなやつに当たった時に面白いと思えなくなっちゃって、そこからは行ってません。

こんな感じで完全に野次馬でいられるか、当事者側の気持ちに立っちゃうかで印象は大きく変わってしまう漫画ではありますが、かなり際どい所に切り込んでいる裁判の漫画があるんです。というわけで今回は、チャラい系のノリが魅力の裁判傍聴漫画「裁判長!ここは懲役4年でどうすか(全13巻完結済み)」を紹介します。

※コミックス1巻部分のみ、軽いネタバレがあります。

裁判長!ここは懲役4年でどうすか あらすじ

ふとした興味から、裁判所の傍聴席に初めて座った北尾太郎。殺人・強姦・詐欺・離婚にDV…。傍聴する北尾に、赤の他人の赤裸々な人生が垣間見える──。時には被告に同情し、また時には検事の論理に頷く北尾は次第に法廷の傍聴に魅せられて行く。そこには紛う事無い、リアルが有った。

裁判長!ここは懲役4年でどうすかの見所をチェック!!

弁護士や検察の物語ではなく、傍聴人の話

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Ⓒ裁判長!ここは懲役4年でどうすか

タイトルを見た限りだと「裁判を題材にした弁護士、又は検察をテーマにした漫画」と思ってしまいがちですが、本作は裁判を傍聴することに魅了されてしまった傍聴人の物語です。もちろん事件の概要、被告人の人となりなんかは紹介されますが、あくまで第三者の野次馬目線となっています。

イメージするなら芸人の阿蘇山大噴火さんのような感じでしょうか。本人が大真面目なのかどうかは分からないけど、常識を逸脱した行動や態度、裁判という緊張感漂う場に流れるシュールな空気感みたいなものが溢れています。

例えば交通事故を起こしてしまった人間が裁判でドクロの服を着てくるっていうのは、事件の当事者じゃない部外者としては結構面白いと思うんです。これをふざけていると感じるか、不器用だと感じるか。

情状酌量のために涙を流す凶悪犯だっていますからね。このようなブラックジョークにも似た笑いが溢れているのが本作の大きな見所と言えるでしょう。

笑えるか笑えないかのギリギリのライン

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Ⓒ裁判長!ここは懲役4年でどうすか

裁判をネタにするという時点で似たような経験をした人は笑えないと思うし、何より本作の主人公は第三者の野次馬です。それこそワイドショーで不倫ネタを見て喜んでる層となんら変わりません。

だから痴漢の裁判に行って「男なら触ってみたいよな!」と平気で言います。これは女性の読者や娘を持つ男性読者は笑えないんじゃないかと(現にKindleレビューでも酷評されてます)。

ま、このエピソードは「被告人の夫婦事情なんかを聞き、被告人が出来心で痴漢をしてしまったことに少なからずも共感してしまったものの、触ったわけじゃなくて露出したことによる痴漢罪だった」という話なんだけど、笑えるか笑えないかギリギリのラインを攻めているような気がしました。

少なくとも僕は笑えたし、もし僕の彼女とか身近な女性が痴漢被害者だったら笑えなかったとも思うし…。絶妙なラインって敬遠しがちなんで、こういう作風ってだけでも価値があると思います。

胸糞悪くなる事件のドキュメンタリー要素あり

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Ⓒ裁判長!ここは懲役4年でどうすか

本作の主人公はあくまで傍聴人なので、裁判で事件の概要を知り、そのまま裁判のやり取りから判決までの流れを簡易的に追うという流れかと思いきや、事件の詳細がドキュメンタリーチックに描かれているエピソードもあります。

例えば暴行致死罪とかなら、その事件に至るまでの詳細も描かれているという感じ。傍聴だけだと詳細が見えてこないけど、ここも漫画で描かれちゃうと事件の内容によってはかなり胸糞悪いです。

この辺りもまた読者を選ぶんじゃないかとは思いますが、個人的にはダークな雰囲気が好きなので、こういう凶悪犯にどういう刑が下されるのかという部分まで楽しむことができました。そして「こんだけのことをやって、たったこれだけで出てこれんの!?」っていう驚きったらないです。

裁判長!ここは懲役4年でどうすか 序盤を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

色んな種類の犯罪があるように、色んな種類の裁判があって面白いです。それこそ面白いって言っていいのかどうか微妙なものから、割とくだらないものまで幅広く取り扱っているという感じ。

あとは裁判上の駆け引きなんかにも見応えがあって、罪を認めるのかどうかから始まり、罪を少しでも軽くするための思惑とか、口を割らずに懲役に行く人間の覚悟とか…。かなり見応えある漫画だと思いました。

ただし、覚せい剤を売りさばいた罪で捕まったヤクザの組長に対して「責任を果たした男の顔だ」とか言ったり、陰部の露出で捕まった男性サラリーマンに対して「男なら触れよ」と言ったり、かなりの野次馬っぷりなのでここに嫌悪感を感じる人は少なくないんじゃないかとも思います。

個人的には胸糞悪くなるような事件の概要も含め、続きが気になる漫画という印象です。凶悪事件や冤罪事件のドキュメンタリーみたいな、色んな角度から事件を追うっていうコンテンツが好きな人には刺さりそう。

あとがき

罪にもよるけど「懲役4年って別に大したことないなぁ」って思った僕は既にオッサン。