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「金のひつじ」を読んだ感想・レビュー

金のひつじ表紙
Ⓒ金のひつじ

小学生の頃、そこまで仲が良かったわけではないんだけど同じ高校で会った友達が、急に下校中に煙草を吸い始めたのにびっくりした記憶があります。その時「あー、人ってこうやって変わっていくんだな」って思いました。

本作は小学校の時の仲良し四人組が、高校生になって同じ高校で再会するという物語です。というわけで今回は、高校生男女4人組が織りなす青春と再生の物語「金のひつじ(全3巻完結済み)」を紹介します。

金のひつじのあらすじ

小学生の頃、大の仲良しだった継(つぐ)、空、優心、朝里。変わらないと信じていた絆には、いつしかヒビが入っていた……。高校生男女4人組が織りなす青春と再生の物語。

金のひつじの見所をチェック!!

幼少の頃の友人たち

金のひつじ2
Ⓒ金のひつじ

あなたには幼少の頃に離れ離れになってしまった友達がいますか?僕は生まれた時から一度も転校をしたことはなかったけど、仲の良い友達が転校してしまったケースは結構あって、今でも悲しかった気持ちを覚えています。

本作はそんな感じのスタートを切る青春漫画です。コミックス1巻の表紙になっている女の子が引っ越してしまうことになり、高校生になってから再会するという流れになっています。この当時に異性としての好き・嫌いの感情があったとしたら、高校生になった今からまたその恋が動き始めるみたいな展開があるかも。

男二人、女二人の幼馴染たちが再会したとき、今までと変わらない関係でいられるのか、過去の絆は残っているのかという部分に注目です。

数年後に同じ高校からリスタート

金のひつじ3
Ⓒ金のひつじ

実際に自分のことのように置き換えてもらえれば分かるけど、いくら仲の良かった友達でも人が変わってしまうってケースは山ほどあるわけで、特に男子の場合はおとなしくて泣き虫だった子がびっくりするくらいの不良になってるケースなんかもあるじゃないですか?

本作は小学校の時に離れて行ってしまった主人公が、高校生になったときに幼馴染たちと同じ高校で再会することになります。ぶっちゃけこの展開が穏やかなわけがないというか、何か不穏な空気を感じずにはいられないでしょう。

そもそも小学生の頃に仲が良かった友達同士が、高校に入っても仲良くいられるケースがどれくらいあるのか…。そして仮に仲が良かったとしても、ここに過去の幼馴染が一人入ってくることによって均衡が崩れる可能性も考えられるはず。

青春時代ならではのアンバランスな感じや、不器用だったり無機質な部分にも見所がたっぷりです。

穏やかじゃないシリアスな展開から動き出す運命

金のひつじ1
Ⓒ金のひつじ

本作は読み始めて間もないタイミングで、四人の関係性を大きく揺るがす大事件が発生します。ここから物語は一気に加速していくわけですが、ぶっちゃけ軽くイライラするというか胸糞悪い感じの展開があるんですよね。

そしてそこからの展開はちょっと意外なもので、でもそこからまた四人の歯車が回り始めるっていう感じになっています。覆水盆に返らずって言葉もあるし、一度壊れたものは直らないって説もあるけど、果たしてこの四人の関係性はどうなのかっていうのが本作最大の見所と言っていいでしょう。

金のひつじ 全3巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

テーマは非常に重くてシリアスな展開の作品なんだけど、かなり前向きに仕上がっているのでそこまで暗い気持ちにならない青春漫画だと思いました。「一度してしまった大きな失敗は、時間がかかるかもしれないけどきっと取り返せる」みたいなメッセージがあるんじゃないかと思います。

個人的には素敵な話ではあると思ったんだけど、ちょっと美談にしようと傾けてる感じがしたのが気になりました。この物語を読んで僕のように許せないって思う人もいれば、許せるって思う人もいて、どういう感想を持つかによって見え方は大きく変わってくるはずです。

いずれにしても子供のままではいられないし、小学生の頃から変わってしまうのが普通だと思います。それが良いのか悪いのかは分からないけど、本作で描かれている関係性もまた数ある例の一つなんだろうと思いました。

ちょっとシリアスな展開が続くだけに万人にはおすすめできないけど、辛いことがあっても前向きに生きていくっていう決意表明みたいなストーリーが好きな人にはおすすめです。

あとがき

金のひつじと緑のたぬき。