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「哲也~雀聖と呼ばれた男~」を読んだ感想・レビュー

哲也~雀聖と呼ばれた男~表紙
Ⓒ哲也~雀聖と呼ばれた男~

完全にヒラで打つ麻雀漫画って「次に何の牌をツモるか」っていう部分が完全に漫画家さんの手によるものなので、その見せ方が重要になってくるじゃないですか?だから個人的にはイカサマありきの方が楽しめたりするんですけど、それにもまた程度があるわけで。

本作はとにかく凄いイカサマの応酬が描かれている麻雀漫画です。スキあらば積み込みもやるし、麻雀の皮をかぶった魔法バトルと言っていいかもしれません。というわけで今回は、伝説の勝負師の人生を振り返る形の麻雀漫画「哲也~雀聖と呼ばれた男~(全41巻完結済み)」を紹介します。

哲也~雀聖と呼ばれた男~ あらすじ

勝負の世界でしか生きられない人々がいる。人は彼らをギャンブラーと呼ぶ……。「雀聖(じゃんせい)」蘇る!! 伝説の勝負師、無頼作家・阿佐田哲也(あさだ・てつや)の青春! 昭和20年――終戦。16歳の哲也は生きる希望を見失うが、博奕場の真剣勝負を体験することで気力を取り戻す。もっと強くなりたい! もっと勝負がしたい! そんな哲也は運命の糸に導かれて、進駐軍の米兵が支配する横須賀の裏通りに向かった。命をやり取りする闇麻雀の世界で、駆け出しの“坊や哲”は生き残れるのか……。

哲也~雀聖と呼ばれた男~の見所をチェック!!

最強の麻雀打ち(玄人)が主人公の麻雀漫画

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Ⓒ哲也~雀聖と呼ばれた男~

麻雀は技術と運のバランスが極めて秀逸にできているゲームの一つだと思うんだけど、そんな麻雀で生計を立てている麻雀打ち(玄人)が主人公の物語です。最初から強かったわけではないんだけど、ある天才雀士みたいな人に弟子入りしてからメキメキ強くなっていくっていう感じで、コミックスで言えば2巻くらいの段階で既に最強になります。

最強とは言っても適度に負けるし、何なら新キャラが出てきた時はそのお膳立てのために一回負けるのがデフォです。アンパンマンも最初はバイキンマンに負けるけど、顔が変わってから逆転するっていうのがデフォじゃないですか?まさにそんな流れの麻雀漫画と言っていいでしょう。

麻雀に限らずギャンブル全般には根拠のない「流れ」みたいなものがあって、漫画っていう時点でそれを都合良く操作できる仕様ではあるんだけど、その流れを引き寄せるための駆け引きがしっかりと描かれているのが特徴です。

相手にバレないようなイカサマあり

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Ⓒ哲也~雀聖と呼ばれた男~

本作の登場人物の多くはイカサマを使用して麻雀を打ちます。コンビで卓について手渡しで牌を交換するっていうアナログなものから、一瞬で天和をアガる積み込みまで基本的には何でもありです。

そして流れを引き寄せるために左手芸などを使ってヤマの牌をすり替えたり、コンビでアイコンタクトをしたりして、強引に運を引き寄せていくという流れになっています。流れさえ引き寄せれば、あとはヒラで打っても大きい役があがれるっていうシステムの麻雀漫画と言っていいでしょう。

イカサマをしなくても十分に強い麻雀打ちっていう前提があるし、そのイカサマも相手によっては簡単に使用できない場面もあったりするので、ありとあらゆる手段を使って運を引き寄せようとする駆け引きが見応えたっぷりです。

対戦相手は特殊な能力を持っている

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Ⓒ哲也~雀聖と呼ばれた男~

イカサマをするのは主人公側だけでなく、対戦相手も余裕でやってきます。で、それぞれに通り名みたいなのがあって、その特殊能力を生かせる打ち方をするという感じです。

例えば「絶対に放銃しない」というキャラもいれば「安い役でもドラがアホみたいに乗る」というキャラもいます。これがイカサマによるものなのか天運によるものなのかはそのキャラによるという感じ。

イカサマでそれをやっているという場合は初見時に主人公が負け、その後で相手の本質を見抜いてリベンジするっていうのが基本的な流れになっています。やっぱ最初から勝つよりも逆転したほうが盛り上がるからね。

その時の勝ち方としては相手にイカサマをさせないではなく、相手のイカサマを逆手に取るでもなく、相手のイカサマの更に上を行くイカサマをするというパターンが多いので迫力ある駆け引きが堪能できるでしょう。

哲也~雀聖と呼ばれた男~ 全41巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

悪く言えば同じことの繰り返しっていう感は拭えません。「新たな土地で凄腕の玄人の話を聞く→対局して負ける→リベンジ」というのをずっと繰り返しです。ただし主人公が一回負ける描写があるので、そこに主人公の人間っぽさというか万能じゃない感を感じられて、この世界の麻雀は運だけでは勝てないというのを痛感します。

実に色んなキャラが出てくるんだけど、過去に登場したキャラが出てくる時なんかはテンションが上がるし、たまに仲間割れみたいなこともあったりして、人間ドラマ的な要素としても見所があるんですよね。

麻雀ゲームにもなったようなタイトルなので対局時の迫力は折り紙付き。必殺技の応酬、運や流れが来ている時に相手を食い尽くすという展開が好きな人にはおすすめです。

あとがき

房州さん…。